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    @t_utumiiiii

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    納棺師3年目手紙(イソップ・カールの実験ファイルの1ページ)の内容 バッツマンと納棺師 ※日記のないキャラについて背景推理等から無理やり妄想してる。

    Flying Batter(バッツマンと納棺師)「落ち着いて聞いてください、ミスター。」
     マスクの下から発された思いの外はっきりとした低い声に、バッツマンことガンジ・グプタの脳内に燃え盛る炎は一瞬だけ凪いだ。理由はわからない。彼自身にもよくわからない。そもそも、何故炎が燃え盛るように自分が憤っているのかがわからない。炎と言うからには、その冷静な声が、水のような調子を帯びていたからだろうか? などと、巡る思考も束の間、彼自身預かり知らぬところで受けた投薬によって、頭蓋骨の内側をぐるりと取り巻く不安が加速する。不安に締め上げられるようにして、ガンジは、クリケットバットを手に握りしめる。彼にとって一番良く馴染んだ攻撃の道具。他人に害をなすこの危険な男を、排除する必要がある! 彼は文字通り、使命感に燃えていた。
    「落ち着いて聞いてください、ミスター。」
     そのマスクの下から、同じ言葉の並びが、ゆっくりと、聞き取りやすいように繰り返される。その男がそのように言葉を発音することを、ガンジは知らなかった。ガンジはこのマスクの男、納棺師であるイソップ・カールとは、旧知の仲という訳ではなかった。つい数日前に初めて顔を合わせ、そして数日間だけ、「試合の参加者(ゲームのプレイヤー)」として、同じ屋根の下で過ごしただけに過ぎない関係である。
     顔合わせの際、必要なことだけを述べるといった調子で「納棺師」という職名を述べた時のイソップ・カールの声はもっと細く、常に身につけているマスクの下でくぐもった声は、ともすれば電球内の電線に電流の通る「ジジジ」というささやかな音に、うっかりかき消されそうな程の声量しかなかった。
     白皙の額、灰がかった眼差しに、隙なく生え揃った睫毛、マスクの下にあることがはっきりとわかる、高く形の整った鼻。バランスの整った小さな顔をしたこの男が、一見してはっきりと印象に残る程には、雰囲気のある美しい見目をしていることもあり、ガンジはこの男に、異境、なんとなれば、異界のものを見るような心地を覚えた。口が見えないことが余計に、この男の容貌が、美しさのための作りものであるかのような、生物らしからぬ異様さを加速させていた。
     だから、この男の持ち物から怪しげな――少なくとも、葬儀に使うものとは思えない、多くの薬剤や拘束具等――が現れた時、ガンジは心底納得したのだ。あれは攻撃のために磨かれた武具のような美しさのひとつであると。攻撃者! 攻撃者から無辜のものどもを守る必要がある、守らねば! 投薬により元より不安感を刺激されていた彼は、後先を考えるよりも先に、危険を排除する使命感にかられて飛び出した。
    「落ち着いて聞いてください、ミスター。」
     いつになく滑らかな艶があり、今となってははっきりと聞こえる、低く魅力的なその男の声が、ガンジを捕まえると、燃え盛るばかりの彼の思考を萎えさせた。元より浅黒い肌からすっかり血の気を失い、冷や汗を掻きながら土気色の顔で、はっ、はっ、と、尋常ではなく強張った浅い息ばかりを口からこぼす彼を、イソップのグレーの瞳は、冷徹に見つめていた。それは、ガンジの正気の在り処を探すように、タイミングを伺うように……機を狙う捕食者のように? 本能が背筋を走り、ぶるりとガンジを身震いさせる。
    「あなたはまだ、気付いていないのかもしれないが、」
     イソップはそこに機を見たように、初めて異なる言葉を発した。初対面時の自己紹介の、虫の羽音程もないあの声量とは異なる、はっきりとして聞き取りやすいほどの、低く、魅力的な声。
    「あなたは死んでいるんですよ、ミスター。」
     まるで意味がわからなかった。自分は紛れもなく生きていると、ガンジは荒い口調で低く唸る。唸った調子に零れた一筋の唾液が顎まで伝う。その返答を嘆くように、イソップは悲し気に白い瞼を伏せたが、やがて、晴れ間のある時の曇り空のような、淡いグレーの瞳が、再びガンジを射抜く。そこには、使命感めいた、確固たる意志の光が見えた。

    「在るべき場所に還らなくては、ミスター。これ以上、あなたは彷徨うべきではない。」

     その言葉が、悲鳴のような音を立てながら焼き切れるような感覚の暴走と、ひどい不安感を催すガンジの頭に染み込んだ。彼は自分自身を、束となった枯れ草のようだと捉えていた。一度燃やされると制御ができないからだ。
     スポーツは常に最も公平だ。温厚で大人しい天才を好まない者はいないだろう? しかし、理想の彼岸というものは、ただの蜃気楼だ。体面な玩具は、鋭利な軍刀に抗えない。紳士たちはただ玩具が欲しかっただけなのだ。
     怒りは星々を燃やし黒煙を払う。灰と化すまで体良く懺悔する時間は十分にあることを、紳士たちにも理解させる。可笑しなことに彼らは風格など持ち合わせておらずただ単に更なる服従を渇望している。私は家に帰りたい。そうだ、私は、家に帰りたい。
    「さあこちらに、ミスター」
     望みを思い出し、燃やし尽くされた炭のように黒々とした目を驚きに見開いてイソップを凝視するガンジに、イソップは手を差し伸べた。過度な熱を持ち続け、今やこのまま蝋のようにぼとぼとと溶け落ちそうな程傷む脳みそを抱え、ガンジはその手を取った。

     乾いた泥が水を含んで、みるみる崩れていくように重い足を引きずるガンジをよそに、彼の手を引いて室内の椅子に座らせた、イソップの手際は鮮やかだった。脱脂綿でのアルコール消毒、液体に満たされた注射器。
     彼の言うところの「支度」が済むと、それまで淀みなく流れるように動いていた男の細く、作りの繊細な手の動きが止まり、彼は作業に集中する具合に伏せていた瞼を開けて、「あなたのお名前は、ミスター」と問いかけた。ガンジがそれに、掃除されることなく燃え残りの残滓が溜まり続けた怠慢な暖炉、そこに積みあがった灰の底からのような、くぐもった小声で答える。イソップは聞き返さなかった。
    「ガンジグプタ」
     男の低く美しい声は、彼の舌に馴染みのない異国の音の並びを丁寧に復唱してから、ガンジに目配せをする訳でもなく、自分の内側に向ける仕草として一つ頷くと、一時停止していた作業を淀みなく再生し、ガンジの腕の内側に針を入れる。
    「さあ力を抜いて、もう彷徨うことはない……」

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    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定

    マーサが香水使ってたらエブリンさん超怒りそう みたいな
    嫌いなもの:全ての香水の匂い(広義のウィラマサでエブマサ) チェス盤から逃れることを望んだ駒であった彼女は、空を飛び立つことを夢見た鷹の姿に身を包んでこの荘園を訪れ、その結果、煉獄のようなこの荘園に囚われることとなった。そこにあったのは、天国というにはあまりに苦痛が多く、しかし地獄というにはどうにも生ぬるい生活の繰り返しである。命を懸けた試合の末に絶命しようとも、次の瞬間には、荘園に用意された、自分の部屋の中に戻される――繰り返される試合の再現、訪れ続ける招待客(サバイバー)、未だに姿を見せない荘園主、荘園主からの通知を時折伝えに来る仮面の〝女〟(ナイチンゲールと名乗る〝それ〟は、一見して、特に上半身は女性の形を取ってはいるものの、鳥籠を模したスカートの骨組みの下には猛禽類の脚があり、常に嘴の付いた仮面で顔を隠している。招待客の殆どは、彼女のそれを「悪趣味な仮装」だと思って真剣に見ていなかったが、彼女には、それがメイクの類等ではないことがわかっていた。)――彼女はその内に、現状について生真面目に考えることを止め、考え方を変えることにした。考えてみれば、この荘園に囚われていることで、少なくとも、あのチェス盤の上から逃げおおせることには成功している。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEクリスマスシーズンだけど寮に残ってる傭兵とオフェンスの象牙衣装学パロ二次妄想ですが、デモリー学院イベントの設定に準じたものではないです。
    the Holdover's Party(傭兵とオフェンス ※学パロ) 冬休み期間を迎えた学園構内は火が消えたように静かで、小鳥が枝から飛び立つ時のささやかな羽ばたきが、窓の外からその木が見える寮の自室で、所持品の整理をしている――大事に持っている小刀で、丁寧に鉛筆を削って揃えていた。彼はあまり真面目に授業に出る性質ではなく、これらの尖った鉛筆はもっぱら、不良生徒に絡まれた時の飛び道具として活用される――ナワーブの耳にも、はっきりと聞こえてくる程だった。この時期になると、クリスマスや年越しの期間を家族と過ごすために、ほとんどの生徒が各々荷物をまとめて、学園から引き払う。普段は外泊のために届け出が必要な寮も、逆に「寮に残るための申請」を提出する必要がある。
     それほどまでに人数が減り、時に耳鳴りがするほど静まり返っている構内に対して、ナワーブはこれといった感慨を持たなかった――「帝国版図を広く視野に入れた学生を育成するため」というお題目から、毎年ごく少数入学を許可される「保護国からの留学生」である彼には、故郷に戻るための軍資金がなかった。それはナワーブにとっての悲劇でも何でもない。ありふれた事実としての貧乏である。それに、この時期にありがちな孤独というのも、彼にとっては大した問題でもなかった。毎年彼の先輩や、或いは優秀であった同輩、後輩といった留学生が、ここの“風潮”に押し潰され、ある時は素行の悪い生徒に搾取されるなどして、ひとり一人、廃人のようにされて戻されてくる様を目の当たりにしていた彼は、自分が「留学生」の枠としてこの学園に送り込まれることを知ったとき、ここでの「学友」と一定の距離を置くことを、戒律として己に課していたからだ。あらゆる人付き合いをフードを被ってやり過ごしていた彼にとって、学園での孤独はすっかり慣れっこだった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE象牙衣装泥庭二人とも怪我してるみたいで可愛いね🎶という趣旨の象牙衣装学パロ二次妄想(デモリー学院イベントの設定ではない)です
    可哀想な人(泥庭医 ※学パロ) 施設育ちのピアソンが、少なくとも両親の揃った中流階級以上の生徒が多いその学園に入学することになった経緯は、ある種“お恵み”のようなものであった。
     そこには施設へ多額の寄付したとある富豪の意向があり、また、学園側にもその富豪の意向と、「生徒たちの社会学習と寛容さを養う機会として」(露悪的な言い方になるが、要はひとつの「社会的な教材」として)という題目があり、かくして国内でも有数の貧困問題地区に位置するバイシャストリートの孤児院から、何人かの孤児の身柄を「特別給費生」として学園に預けることになったのだ。
     当然、そこには選抜が必須であり、学園側からの要求は「幼児教育の場ではない」のでつまりはハイティーン、少なくとも10代の、ある程度は文章を読み書きできるもの(学園には「アルファベットから教える余裕はない」のだ)であり、その時点で相当対象者が絞れてしまった――自活できる年齢になると、設備の悪い孤児院に子供がわざわざ留まる理由もない。彼らは勝手に出ていくか、そうでなければ大人に目をつけられ、誘惑ないしだまし討ちのようにして屋根の下から連れ出されるものだ。あとに残るのは自分の下の世話もおぼつかないウスノロか、自分の名前のスペルだけようやっと覚えた子供ばかり――兎も角、そういうわけでそもそも数少ない対象者の中で、学園側が課した小論文試験を通ったものの内の一人がピアソンだった。
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