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    @t_utumiiiii

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    @t_utumiiiii

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    探偵パロ泥庭同人誌(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12268948)の時空で潜入調査をすることになったけどピアソン君はワルツ踊れるの? という趣旨の二次

    ワルツの踊り方※探偵パロ泥庭 ピアソンの雇い主である、うら若き「探偵」――彼女が自らそう名乗る上、腕が立つというのか頭が切れるというのか、その職務遂行の場面を間近に見ることの多いピアソンに言わせてみれば、それは「イカれている」というのに近いのだが、兎角業績は確かに上げているため、「真理の令嬢」という二つ名までついている――は、珍しく安楽椅子に膝を揃えてちょこんと腰掛けながら、窓の向こうから差し込んでくる、秋めいた午後の日の光を一心に浴びつつ、インバネスコートを模したワンピースを通した腕で腕組みをしていた。可憐なぐらいのすらっと細い背中を丸めて、頬のそばかすに顎の輪郭の微かな丸みが幼気な印象を与える可愛らしいその顔を真面目くさったように硬くして、何かを考え込んでいる。
     彼女が事務所の壁に立てかけられた藁のカカシ(この事務所を訪れる依頼人は必ず、事務所のインテリアとしては不気味の過ぎるそれを見るや否や、ぎょっと目を瞠る代物)を相手に話し込んでいたことを盗み聞きしたところによると、何でも、依頼人の領主の御婦人が、お忍び不倫のついでに近郊の村でやっているといういかがわしい催し――表面上は収穫祭の体を取っているらしいが――の現場を押さえる方策を練っているらしい。
     「話し相手」のカカシを壁に立てかける程の事務所には「助手」を控えさせておくための椅子がないのもあってか、来客があるときには依頼人が座るソファにどっかり腰を下ろしていても咎めを受けたことのないピアソンは、だらしなく下がった口端に煙草を引っ掛けながら片膝に曲げた足を載せ、ブラシに靴墨をつけて履いている靴を磨きつつ(それは外見を整えることはそれなりに大事なのと言い出した彼女から渡されたものだったが、そもそもは彼女の主治医から彼女宛てに渡されたものらしい。たぶん、この女の靴を磨くためにあの女医が渡したもので、この女が「自分の靴を磨く」ということがピンとこなかったから、そのままクリーチャーに寄越してきたものだろうな、と、ピアソンは薄々察しがついているものの、他でもないクリーチャーが貰ったんだから、後であいつのブーツをどうにかする必要があるにしても、取り敢えず自分で使ってみるかというところだった。)、珍しく考え込んでいるようにも見える雇い主を横目で眺めてはいた。
     しかし、それはあくまで「目の保養」として眺めていただけで、特段彼にアイデアがあるわけでもなかった。元はある程度「名の知れた」慈善家でもあった彼の副業は泥棒であって、「助手」として求められるのは、もっぱらその方面で培ったスキルである。他でもない雇い主が、クリーチャーにその場に潜行をしろと命じるならやってやるし、その分給料に色を付けろといったところだが、いずれにせよ、それは雇い主様のする判断であって、そこが決まる前から、私がとやかく言うことではない。クリーチャーは弁えている。

     なので、彼が注意深く一方的に眺めていたところから、不意にエマが顔を上げて、目線がかちあったときはギョッとした。
    「どうかしたの?」
     鈴を転がすような声で尋ねられて、かえって安心する。『ピアソン君はどう思うの?』と、カカシを相手に話し込むときの声色で、意見を求められなかったからだ。この女は時々、クリーチャーになにか意見を言ってみるように言い出し、それが全く的を外していると判断すると、憐れむような目で私を見ながら溜息を吐くことがあって、クリーチャーはそれを不快に思っていた(彼女が言うことには、クリーチャーの反応を「普通はどう考えるのか」の目安としているらしいが、その度にこうも癇に障る真似をされるのも腹立たしい。)。
    「なっ、な、なん、何でも、な、ないっ!」
     た、たまたまだ、たまたま! 目が合っちまっただけだろ、と口籠りながら、ピアソンはトーンの明るくなった自分の靴を、仕上げにボロ布で磨くことに集中するフリをしたが、そろそろいいだろうかと恐る恐る顔をあげると、ニッコリと微笑んでいる彼女の青い目と目が合って、肋骨の内側で縮んでいる心臓がきゅっと跳ねる。これはよくない兆候だ。この女が、クリーチャーに向かって可愛く笑いかけてくるときは、ほとんどろくなことになった試しがない。
    「ピアソン君!」
     なんだクリーチャーに何か用か、そんなわけがないよな!? と言う具合に先手を挫いてやろうとピアソンが口を開いて二度三度酸欠の魚のするようにパクパクしているところで、淑女のようにというには稚いやり方で笑う雇い主が、先んじて彼を呼びつけた。
    「ダンスはできる?」
     彼女はそう問いかける口調で続けながら、ピアソンの返答を待たずに、それまで深く座っていた安楽椅子から弾みをつけて立ち上がると、出し抜けの質問に豆鉄砲を食ったような様子で目を丸くしているピアソンの顔に手を伸ばして、そこに手を添えるように彼の髭の生えた顎をじょりじょりと撫でて、「髭は剃った方が良いわね」と独り言ちている。
    「いっ、居酒屋で、やるのなら……」
     まあ、で、できなくも、なっ、ない、が、と、吃音のせいでどうにもたどたどしく続けながら、靴墨に汚れた布を握ったままの手で、さながら腰を掴むように宙を鷲掴みにすると、掴んだ宙に向かってへこへこと腰を押し付ける下品な動きをして見せれば、エマは一瞬目を丸くした後に、口をきゅっと噤むと、咎めるように首を振る。
    「ステップは後で教えてあげるから、覚えてほしいの。」
    「ほ、本気かよ……」
     うら若い少女のような雇い主があくまでもピアソンを役に立てるつもりらしいことを見ると、彼は非難半分の溜息をもらす。これで見込み無しとなかったことにしてくれれば、それはそれでよかったようにも思う(そもそも、下層階級の出身に何を期待してやがる。という話だ)し、これの手を握って腰に手を回しても許されるというのなら、それはそれで役得だった。
    「本気なの!」
     ピアソンのため息交じりの声を揶揄うように高い声で続けたエマは、(ピアソンに言わせてみれば)頭の軽そうなくすくす笑いをしながら、事務所の奥にある自分の部屋に引っ込んでいく。そうと決まれば早速トランクでも取りに行ったのか。
     それにしても、潜入先になるような如何わしい催しとはいえ、ペアで行かなければ目立つような畏まった場に行くのなら、「ウ、ウッズさんあんた、い、行くのはいいが、さ、先にさ、くっ、靴でも、み、磨いた方がいいんじゃないかい」と、ピアソンは文句を言うようにぶつくさと続けながら、煙草の火を来客用のローテーブルの天板の裏で揉みつぶし、吸い殻をシャツの襟の内側に引っ掻けつつソファから立ち上がると、部屋の奥に引っ込んだ彼女をいそいそと追う。

     外聞もなく堂々と開け放たれている寝室のドアを、申し分程度にノックしながら入口に立って中を見ると、彼女はちょうどクローゼットから、ライトグリーンのドレスを取り出しているところだった。若く金に困っていない家の娘の着るように襟元や首元にフリルが施され、布地のなみなみと広がるようなスカートには黄色の薔薇飾りがあしらわれている。
     ドレスを肩先に当てて見せながら、「前にね、先生が送ってくれたの!」と言う彼女を前に、ピアソンは微妙な顔をした――というのも、社交界との付き合いがどうのというには、手首足首の露出すらない、さながら令嬢のお出かけ向けのようなそれは、ピアソンが前に聞いているエマの年齢の割には、幼過ぎるのではないかと考えたからだ――が、田舎の収穫祭と言うのだから、夜会に出ると言う訳でもないんだろうと思い直す程度の能は彼にもあった。
     一方のエマは、先生からの贈り物を見せびらかすのが随分楽しいらしく、助手が(一応ノックはしているが)寝室まで入ってきているのを咎めるでもなく、ライトグリーンのドレスをベッドの上に伸ばして見せると、「帽子と靴とね、日傘もあるのよ」と得意げにはにかみながら、花飾りが縫いつけられた鍔広の麦わら帽子と、スカートにあしらわれているそれと揃いの黄薔薇の模様が続く日傘、そして花飾りのついたエナメル靴を、白い箱の中から取り出して見せてくる。
     あんたの年の割には幼いんじゃないか、と思うところを率直に口に出すかどうか暫く迷っていたピアソンは、それを見せびらかしてくるエマが得意げに笑い、いかにも同意しか求めていないように彼女の助手の目を覗いてくる様を承知すると、言いたいことを呑み込むように唾を飲んでから、「く、靴を磨く必要は、な、ないってこと、だな」とだけ言った。
     エマの求めるようにその送り主を素直に褒めるわけでもない、何となれば無愛想なぐらいの助手の態度に、しかしエマはそう気を悪くした風もなく、「ピアソン君は、前に買ってあげたのを着てね」と何気なく返した。それが、「あまり薄汚いと悪目立ちする場面もあるわ」と率直に言う彼女が少し前にピアソンに買い与えた、新品であることがわかる労働階級のサスペンダーと、何の変哲もないチェックのスラックス、汚れのないシャツと形の整っているハンチング帽を指しているのだろうとピアソンにも理解はできた。
    「そ、そそ、それは、かっ、構わないが……」
     確か質に入れたりはしていなかったはずだと、不確かな記憶を思い浮かべつつ若干焦り気味に首を竦めるピアソンを見咎めるでもなく、エマは「ミラー夫人の“パーティー”は、仮面舞踏会の体を取っていると聞いているの。」と、話を続けた。
    「だから、それにくり抜いたカボチャを被っておけば、少なくとも、ピアソン君だってことはわからないと思うわ!」
     そうして、さもいいことを思いついたように、何の懸念もなさそうに微笑みながら続けるエマに、ピアソンは、いずれにせよ雇用主の考え次第であることを承知しつつも、「だ、だったら、ひ、髭を剃る必要も、な、無いんじゃないかい……」と、不満げに唇を尖らせた。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定

    マーサが香水使ってたらエブリンさん超怒りそう みたいな
    嫌いなもの:全ての香水の匂い(広義のウィラマサでエブマサ) チェス盤から逃れることを望んだ駒であった彼女は、空を飛び立つことを夢見た鷹の姿に身を包んでこの荘園を訪れ、その結果、煉獄のようなこの荘園に囚われることとなった。そこにあったのは、天国というにはあまりに苦痛が多く、しかし地獄というにはどうにも生ぬるい生活の繰り返しである。命を懸けた試合の末に絶命しようとも、次の瞬間には、荘園に用意された、自分の部屋の中に戻される――繰り返される試合の再現、訪れ続ける招待客(サバイバー)、未だに姿を見せない荘園主、荘園主からの通知を時折伝えに来る仮面の〝女〟(ナイチンゲールと名乗る〝それ〟は、一見して、特に上半身は女性の形を取ってはいるものの、鳥籠を模したスカートの骨組みの下には猛禽類の脚があり、常に嘴の付いた仮面で顔を隠している。招待客の殆どは、彼女のそれを「悪趣味な仮装」だと思って真剣に見ていなかったが、彼女には、それがメイクの類等ではないことがわかっていた。)――彼女はその内に、現状について生真面目に考えることを止め、考え方を変えることにした。考えてみれば、この荘園に囚われていることで、少なくとも、あのチェス盤の上から逃げおおせることには成功している。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEクリスマスシーズンだけど寮に残ってる傭兵とオフェンスの象牙衣装学パロ二次妄想ですが、デモリー学院イベントの設定に準じたものではないです。
    the Holdover's Party(傭兵とオフェンス ※学パロ) 冬休み期間を迎えた学園構内は火が消えたように静かで、小鳥が枝から飛び立つ時のささやかな羽ばたきが、窓の外からその木が見える寮の自室で、所持品の整理をしている――大事に持っている小刀で、丁寧に鉛筆を削って揃えていた。彼はあまり真面目に授業に出る性質ではなく、これらの尖った鉛筆はもっぱら、不良生徒に絡まれた時の飛び道具として活用される――ナワーブの耳にも、はっきりと聞こえてくる程だった。この時期になると、クリスマスや年越しの期間を家族と過ごすために、ほとんどの生徒が各々荷物をまとめて、学園から引き払う。普段は外泊のために届け出が必要な寮も、逆に「寮に残るための申請」を提出する必要がある。
     それほどまでに人数が減り、時に耳鳴りがするほど静まり返っている構内に対して、ナワーブはこれといった感慨を持たなかった――「帝国版図を広く視野に入れた学生を育成するため」というお題目から、毎年ごく少数入学を許可される「保護国からの留学生」である彼には、故郷に戻るための軍資金がなかった。それはナワーブにとっての悲劇でも何でもない。ありふれた事実としての貧乏である。それに、この時期にありがちな孤独というのも、彼にとっては大した問題でもなかった。毎年彼の先輩や、或いは優秀であった同輩、後輩といった留学生が、ここの“風潮”に押し潰され、ある時は素行の悪い生徒に搾取されるなどして、ひとり一人、廃人のようにされて戻されてくる様を目の当たりにしていた彼は、自分が「留学生」の枠としてこの学園に送り込まれることを知ったとき、ここでの「学友」と一定の距離を置くことを、戒律として己に課していたからだ。あらゆる人付き合いをフードを被ってやり過ごしていた彼にとって、学園での孤独はすっかり慣れっこだった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE象牙衣装泥庭二人とも怪我してるみたいで可愛いね🎶という趣旨の象牙衣装学パロ二次妄想(デモリー学院イベントの設定ではない)です
    可哀想な人(泥庭医 ※学パロ) 施設育ちのピアソンが、少なくとも両親の揃った中流階級以上の生徒が多いその学園に入学することになった経緯は、ある種“お恵み”のようなものであった。
     そこには施設へ多額の寄付したとある富豪の意向があり、また、学園側にもその富豪の意向と、「生徒たちの社会学習と寛容さを養う機会として」(露悪的な言い方になるが、要はひとつの「社会的な教材」として)という題目があり、かくして国内でも有数の貧困問題地区に位置するバイシャストリートの孤児院から、何人かの孤児の身柄を「特別給費生」として学園に預けることになったのだ。
     当然、そこには選抜が必須であり、学園側からの要求は「幼児教育の場ではない」のでつまりはハイティーン、少なくとも10代の、ある程度は文章を読み書きできるもの(学園には「アルファベットから教える余裕はない」のだ)であり、その時点で相当対象者が絞れてしまった――自活できる年齢になると、設備の悪い孤児院に子供がわざわざ留まる理由もない。彼らは勝手に出ていくか、そうでなければ大人に目をつけられ、誘惑ないしだまし討ちのようにして屋根の下から連れ出されるものだ。あとに残るのは自分の下の世話もおぼつかないウスノロか、自分の名前のスペルだけようやっと覚えた子供ばかり――兎も角、そういうわけでそもそも数少ない対象者の中で、学園側が課した小論文試験を通ったものの内の一人がピアソンだった。
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    recommended works

    @t_utumiiiii

    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
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