Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    @t_utumiiiii

    @t_utumiiiii

    ・オタクの二次
    ・文章の無断転載・引用・無許可の翻訳を禁じています。
    ・Don't use, repost or translate my Fanfiction Novel without my permission. If you do so, I ask for payment.

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍰 🎈 🎁 🍮
    POIPOI 130

    @t_utumiiiii

    ☆quiet follow

    探偵パロ泥庭同人誌(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12268948)の時空で潜入調査をすることになったけどピアソン君はワルツ踊れるの? という趣旨の二次

    ワルツの踊り方※探偵パロ泥庭 ピアソンの雇い主である、うら若き「探偵」――彼女が自らそう名乗る上、腕が立つというのか頭が切れるというのか、その職務遂行の場面を間近に見ることの多いピアソンに言わせてみれば、それは「イカれている」というのに近いのだが、兎角業績は確かに上げているため、「真理の令嬢」という二つ名までついている――は、珍しく安楽椅子に膝を揃えてちょこんと腰掛けながら、窓の向こうから差し込んでくる、秋めいた午後の日の光を一心に浴びつつ、インバネスコートを模したワンピースを通した腕で腕組みをしていた。可憐なぐらいのすらっと細い背中を丸めて、頬のそばかすに顎の輪郭の微かな丸みが幼気な印象を与える可愛らしいその顔を真面目くさったように硬くして、何かを考え込んでいる。
     彼女が事務所の壁に立てかけられた藁のカカシ(この事務所を訪れる依頼人は必ず、事務所のインテリアとしては不気味の過ぎるそれを見るや否や、ぎょっと目を瞠る代物)を相手に話し込んでいたことを盗み聞きしたところによると、何でも、依頼人の領主の御婦人が、お忍び不倫のついでに近郊の村でやっているといういかがわしい催し――表面上は収穫祭の体を取っているらしいが――の現場を押さえる方策を練っているらしい。
     「話し相手」のカカシを壁に立てかける程の事務所には「助手」を控えさせておくための椅子がないのもあってか、来客があるときには依頼人が座るソファにどっかり腰を下ろしていても咎めを受けたことのないピアソンは、だらしなく下がった口端に煙草を引っ掛けながら片膝に曲げた足を載せ、ブラシに靴墨をつけて履いている靴を磨きつつ(それは外見を整えることはそれなりに大事なのと言い出した彼女から渡されたものだったが、そもそもは彼女の主治医から彼女宛てに渡されたものらしい。たぶん、この女の靴を磨くためにあの女医が渡したもので、この女が「自分の靴を磨く」ということがピンとこなかったから、そのままクリーチャーに寄越してきたものだろうな、と、ピアソンは薄々察しがついているものの、他でもないクリーチャーが貰ったんだから、後であいつのブーツをどうにかする必要があるにしても、取り敢えず自分で使ってみるかというところだった。)、珍しく考え込んでいるようにも見える雇い主を横目で眺めてはいた。
     しかし、それはあくまで「目の保養」として眺めていただけで、特段彼にアイデアがあるわけでもなかった。元はある程度「名の知れた」慈善家でもあった彼の副業は泥棒であって、「助手」として求められるのは、もっぱらその方面で培ったスキルである。他でもない雇い主が、クリーチャーにその場に潜行をしろと命じるならやってやるし、その分給料に色を付けろといったところだが、いずれにせよ、それは雇い主様のする判断であって、そこが決まる前から、私がとやかく言うことではない。クリーチャーは弁えている。

     なので、彼が注意深く一方的に眺めていたところから、不意にエマが顔を上げて、目線がかちあったときはギョッとした。
    「どうかしたの?」
     鈴を転がすような声で尋ねられて、かえって安心する。『ピアソン君はどう思うの?』と、カカシを相手に話し込むときの声色で、意見を求められなかったからだ。この女は時々、クリーチャーになにか意見を言ってみるように言い出し、それが全く的を外していると判断すると、憐れむような目で私を見ながら溜息を吐くことがあって、クリーチャーはそれを不快に思っていた(彼女が言うことには、クリーチャーの反応を「普通はどう考えるのか」の目安としているらしいが、その度にこうも癇に障る真似をされるのも腹立たしい。)。
    「なっ、な、なん、何でも、な、ないっ!」
     た、たまたまだ、たまたま! 目が合っちまっただけだろ、と口籠りながら、ピアソンはトーンの明るくなった自分の靴を、仕上げにボロ布で磨くことに集中するフリをしたが、そろそろいいだろうかと恐る恐る顔をあげると、ニッコリと微笑んでいる彼女の青い目と目が合って、肋骨の内側で縮んでいる心臓がきゅっと跳ねる。これはよくない兆候だ。この女が、クリーチャーに向かって可愛く笑いかけてくるときは、ほとんどろくなことになった試しがない。
    「ピアソン君!」
     なんだクリーチャーに何か用か、そんなわけがないよな!? と言う具合に先手を挫いてやろうとピアソンが口を開いて二度三度酸欠の魚のするようにパクパクしているところで、淑女のようにというには稚いやり方で笑う雇い主が、先んじて彼を呼びつけた。
    「ダンスはできる?」
     彼女はそう問いかける口調で続けながら、ピアソンの返答を待たずに、それまで深く座っていた安楽椅子から弾みをつけて立ち上がると、出し抜けの質問に豆鉄砲を食ったような様子で目を丸くしているピアソンの顔に手を伸ばして、そこに手を添えるように彼の髭の生えた顎をじょりじょりと撫でて、「髭は剃った方が良いわね」と独り言ちている。
    「いっ、居酒屋で、やるのなら……」
     まあ、で、できなくも、なっ、ない、が、と、吃音のせいでどうにもたどたどしく続けながら、靴墨に汚れた布を握ったままの手で、さながら腰を掴むように宙を鷲掴みにすると、掴んだ宙に向かってへこへこと腰を押し付ける下品な動きをして見せれば、エマは一瞬目を丸くした後に、口をきゅっと噤むと、咎めるように首を振る。
    「ステップは後で教えてあげるから、覚えてほしいの。」
    「ほ、本気かよ……」
     うら若い少女のような雇い主があくまでもピアソンを役に立てるつもりらしいことを見ると、彼は非難半分の溜息をもらす。これで見込み無しとなかったことにしてくれれば、それはそれでよかったようにも思う(そもそも、下層階級の出身に何を期待してやがる。という話だ)し、これの手を握って腰に手を回しても許されるというのなら、それはそれで役得だった。
    「本気なの!」
     ピアソンのため息交じりの声を揶揄うように高い声で続けたエマは、(ピアソンに言わせてみれば)頭の軽そうなくすくす笑いをしながら、事務所の奥にある自分の部屋に引っ込んでいく。そうと決まれば早速トランクでも取りに行ったのか。
     それにしても、潜入先になるような如何わしい催しとはいえ、ペアで行かなければ目立つような畏まった場に行くのなら、「ウ、ウッズさんあんた、い、行くのはいいが、さ、先にさ、くっ、靴でも、み、磨いた方がいいんじゃないかい」と、ピアソンは文句を言うようにぶつくさと続けながら、煙草の火を来客用のローテーブルの天板の裏で揉みつぶし、吸い殻をシャツの襟の内側に引っ掻けつつソファから立ち上がると、部屋の奥に引っ込んだ彼女をいそいそと追う。

     外聞もなく堂々と開け放たれている寝室のドアを、申し分程度にノックしながら入口に立って中を見ると、彼女はちょうどクローゼットから、ライトグリーンのドレスを取り出しているところだった。若く金に困っていない家の娘の着るように襟元や首元にフリルが施され、布地のなみなみと広がるようなスカートには黄色の薔薇飾りがあしらわれている。
     ドレスを肩先に当てて見せながら、「前にね、先生が送ってくれたの!」と言う彼女を前に、ピアソンは微妙な顔をした――というのも、社交界との付き合いがどうのというには、手首足首の露出すらない、さながら令嬢のお出かけ向けのようなそれは、ピアソンが前に聞いているエマの年齢の割には、幼過ぎるのではないかと考えたからだ――が、田舎の収穫祭と言うのだから、夜会に出ると言う訳でもないんだろうと思い直す程度の能は彼にもあった。
     一方のエマは、先生からの贈り物を見せびらかすのが随分楽しいらしく、助手が(一応ノックはしているが)寝室まで入ってきているのを咎めるでもなく、ライトグリーンのドレスをベッドの上に伸ばして見せると、「帽子と靴とね、日傘もあるのよ」と得意げにはにかみながら、花飾りが縫いつけられた鍔広の麦わら帽子と、スカートにあしらわれているそれと揃いの黄薔薇の模様が続く日傘、そして花飾りのついたエナメル靴を、白い箱の中から取り出して見せてくる。
     あんたの年の割には幼いんじゃないか、と思うところを率直に口に出すかどうか暫く迷っていたピアソンは、それを見せびらかしてくるエマが得意げに笑い、いかにも同意しか求めていないように彼女の助手の目を覗いてくる様を承知すると、言いたいことを呑み込むように唾を飲んでから、「く、靴を磨く必要は、な、ないってこと、だな」とだけ言った。
     エマの求めるようにその送り主を素直に褒めるわけでもない、何となれば無愛想なぐらいの助手の態度に、しかしエマはそう気を悪くした風もなく、「ピアソン君は、前に買ってあげたのを着てね」と何気なく返した。それが、「あまり薄汚いと悪目立ちする場面もあるわ」と率直に言う彼女が少し前にピアソンに買い与えた、新品であることがわかる労働階級のサスペンダーと、何の変哲もないチェックのスラックス、汚れのないシャツと形の整っているハンチング帽を指しているのだろうとピアソンにも理解はできた。
    「そ、そそ、それは、かっ、構わないが……」
     確か質に入れたりはしていなかったはずだと、不確かな記憶を思い浮かべつつ若干焦り気味に首を竦めるピアソンを見咎めるでもなく、エマは「ミラー夫人の“パーティー”は、仮面舞踏会の体を取っていると聞いているの。」と、話を続けた。
    「だから、それにくり抜いたカボチャを被っておけば、少なくとも、ピアソン君だってことはわからないと思うわ!」
     そうして、さもいいことを思いついたように、何の懸念もなさそうに微笑みながら続けるエマに、ピアソンは、いずれにせよ雇用主の考え次第であることを承知しつつも、「だ、だったら、ひ、髭を剃る必要も、な、無いんじゃないかい……」と、不満げに唇を尖らせた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏❤👫🔧🔦💉😍😍❤❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    @t_utumiiiii

    DOODLE試合でフールズ・ゴールドにぶん殴られて意識がぶっ飛んだ心眼が幼年期探鉱者と遭遇する二次妄想 ※日記のないキャラクターの言動を捏造 ※サバイバーが全員荘園で生活しているタイプの自由な荘園妄想
    壊れた鳥籠(探鉱者又はフールズ・ゴールドと心眼) ヘレナは目の前の景色が「見える」ことに気が付くと、すぐにそれが夢であることを理解した。彼女が視力を失ったのはほんの幼い頃であったが、それでも無意識はかつて見た景色を覚えているようで、彼女は時に夢の中で、窓から指し込んでくる明るい日の光に照らし出された、懐かしい我が家の内装を、ほんの低い視点から見上げることがある――が、目の前の景色は穏やかな昼下がりを迎えた家の光景とは全く異なり、まるでネズミかモグラが地面に掘った穴の中にいるのようで、自分が穴の中にいることを考えればその天井はそれなりに高く、人が動き回るには十分広いとはいえ、絶対的な空間としては狭く、こもった臭いがして、薄暗い。穴の中に敷かれた線路の枕木を文字通り枕にしながら、着の身着のまま土の上に横たわっていた彼女の顔を上から覗き込んでくる男の子の顔が無ければ、彼女はそれが夢だと(つまり、自分が今「目が見えている」ことに)気付くのはもう少し遅れただろう。
    5268

    @t_utumiiiii

    DOODLE背景推理や荘園の記憶がない弁護士ライリーさんがエミリー先生の顔を見て凄い引っかかるものを覚えたのでナンパしてみたらうまくいったのでプロポーズまで漕ぎ付けるような仲になったんだけど……という二次(現パロ弁医)
    restoring the balance(弁護士と医師)※現パロ 世間における一般的な理解として、事前の内諾があることを前提にした上でも、「プロポーズ」という段取りには何らかのサプライズ性を求められていることは、ライリーも承知していることだった。彼は弁護士という所謂文系専門職の筆頭のような職業に就いていることを差し引いた上でも、それまでの人生で他人から言い寄られることがなく、また、それを特別に求めたり良しとしたりした経験を持たなかったが、そういった個人的な人生経験の乏しさは兎も角、彼はそのあたりの機微にも抜かりのない性質である――つまり、そもそも万事において計画を怠らない性質である。
     その上で、彼は彼の婚約者に対して、プロポーズの段取りについても具体的な相談を付けていた。ある程度のサプライズを求められる事柄において、「サプライズ」というからには、サプライズを受ける相手である当の本人に対して内諾を取っておくのは兎も角、段取りについての具体的な相談を持ちかけるということはあまり望ましくないとはいえ、実のところ、彼女がどういったものを好むのかを今一つ理解しきれておらず、自分自身もこういった趣向にしたいという希望を持たないライリーにとってそれは重要な段取りであり、その日も互いに暇とはいえないスケジュールを縫い合わせるようにして、個人経営のレストランの薄暗い店内で待ち合わせ、そこで段取りについてひとつひとつ提案していたかと思うと、途中でふと言葉を止め、「待て、もっとロマンチックにできるぞ……」と計画案を前に独りごちるライリー相手に、クリームパスタをフォークで巻き取っていた彼女は、見るものに知的な印象を与える目尻を緩め、呆れたような気安い笑い方をしてそれを窘めてから、考え事を止めたライリーが彼女の顔をじっと見つめていることに気付くと、自分のした物言いに「ロマンチストな」彼が傷付いたと感じたのか、少し慌てる風に言い繕う。いかにも自然体なその振る舞いに、彼は鼻からふっと息を漏らして自然に零れた微笑みを装いつつ、「君の笑顔に見惚れていた」といういかにもな台詞をさらっと適当に言ってのける。雰囲気を重んじている風に薄暗いレストランの中、シミ一つないクロスを敷かれた手狭なテーブル――デキャンタとグラス、それに二人分の料理皿を置くと手狭になる程のサイズ――の中央に置かれている雰囲気づくりの蝋燭の光に照らされている彼女は今更驚いた風に目を丸くすると、柳眉
    8813

    @t_utumiiiii

    DOODLE弁護士の衣装が出ない話(探偵と弁護士) ※荘園設定に対する好き勝手な捏造
    No hatred, no emotion, no frolic, nothing.(探偵と弁護士) 行方不明となった依頼人の娘を探すため、その痕跡を追って――また、ある日を境にそれ以前の記憶を失った探偵が、過去に小説家として活動する際用いていたらしいペンネーム宛に届いた招待状に誘われたこともあり――その荘園へと到達したきり、フロアから出られなくなってしまった探偵は、どこからが夢境なのか境の判然としないままに、腹も空かず、眠気もなく、催しもしない、長い長い時間を、過去の参加者の日記――書き手によって言い分や場面の描写に食い違いがあり、それを単純に並べたところで、真実というひとつの一枚絵を描けるようには、到底思えないが――を、眺めるように読み進めている内に知った一人の先駆者の存在、つまり、ここで行われていた「ゲーム」が全て終わったあと、廃墟と化したこの荘園に残されたアイデンティティの痕跡からインスピレーションを得たと思われる芸術家(荘園の中に残されたサインによると、その名は「アーノルド・クレイバーグ」)に倣って、彼はいつしか、自らの内なるインスピレーションを捉え、それを発散させることに熱中し始めた(あまり現実的ではない時間感覚に陥っているだけに留まらず、悪魔的な事故のような偶然によって倒れた扉の向こうの板か何かによって、物理的にここに閉じ込められてもいる彼には最早、自分の内側に向かって手がかりを探ることしかできないという、かなり現実的な都合もそこにはあった。)。
    2791