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    @t_utumiiiii

    @t_utumiiiii

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    @t_utumiiiii

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    ジークアクス5話でエグザベ少尉(マチュを強奪犯として認識していない)がマチュニャアのどっちを追うか迷ってからマチュの方を追ったのって、どっちかはジークアクスのこと知ってるかもっていうのと同時に「軍警察相手に金的した奴の方が捕まったら予後が悪そう(保護対象)」と思ったからかな~という二次妄想です。

    照らす(広義のエグマチュ) エグザベはあの日、ジークアクスを盗んだ犯人の顔を覚えていなかった。彼が覚えているのは、武装したザクからジークアクスへ向かって、身一つで飛び移る姿――それも、遠目で見上げるばかりであったので、仔細はわからないものの、迂闊にも開いたままのコックピットに向かって飛び乗った華奢な影は、それが本物か偽装かはエグザベには知る由もない(コモリであればそれも分かったのかもしれない)が、どこかの学校の制服を着ているように見えた。その時は、その目で見たとはいえ、それがまさか本当に民間人だとも思わなかったが――と、クランバトルの中継で映されるコックピット内の姿だけだ。(勿論、華奢な男子生徒という可能性も捨てきれないが、)恐らくは、女子生徒だろう。
     彼が駅で見かけた二人連れの女子生徒は、あの日彼が目にした犯人の背格好とも似ていた。とはいえあの日はっきりと顔を見たわけではないので、はっきりとした確信を持てる訳でもなかったのだが、他にそれらしい手がかりのない(ジークアクス捜索の任務を言い渡されたものの、中古モビルスーツの管理謄本も無い中でしらみつぶしに当たったところで、屈強な用心棒を雇っている、もしくは、そもそもが屈強な連中によって、入り口から叩き出されるのがオチだった)中で、それは、一つの重要な手がかりであった。
     防犯強化のアナウンスがしきりに繰り返される駅構内を連れ立って歩く赤い髪のボブと、黒の長髪の二人をエグザベがそれとなく目で追っていると、軍警の鋭い呼びかけが二人を呼び止めた。「そこ!」という鋭い指摘の口調に、長髪の方はぎくりと身体を強張らせている。彼にとっても、その仕草は身に覚えのあるものだった。
    (長髪の方は難民だろう)
     制服を着ているのだから、今は誰かしらの好意の上なんかに落ち着いて、どこかの学校に通っているのか、それとも、制服のようなものを着て、そのように見せかけているだけなのか。いずれにせよ、あれは難民だろう。それは、傍観者に過ぎないエグザベの目にも明らかであった――というのも、彼にもまた、難民として過ごした境遇があったからだ。今となっては、道を歩いているだけで、それを高圧的に指摘され、他人の目に触れたことを咎めるように身分証を求められることもない。しかし、軍の制服に袖を通すよりも前は時折、彼にも「ああいうこと」があった。ただ歩いているだけで、まるで現行犯を押さえたと言わんばかりの厳しい口調で呼び止められる。治安維持を生業とする彼らは殊更、何かの第六感が働いているかのように、「難民」の境遇にあるものを嗅ぎ分ける力があるようだった。
     警棒を威圧的に振りながら、軍警があの二人連れに近寄っていく。赤い短髪の方が前に出ようとするが、長髪の連れにそれとなく制されている。長髪の娘が身分証を探している――その時だ。赤髪が、ミニ丈のスカートを振り乱しながら、軍警の股間を蹴り上げた。
    (何だ、あの娘は!?)
     エグザベは素知らぬ顔でそれとなく様子を窺っていたことも忘れて思わずベンチから立ち上がると、すっかり目を瞠りながら驚きの声を漏らしていた。軍警は蹴り上げられたところを押さえ内股になりつつ床に蹲り、「このガキ」と苦し気な呻き声をあげる。馬鹿な子だ。ああいうのはやり過ごすのが定石だろう! 何か余程後ろ暗いところ(例えば禁止区域にこっそり潜入しているとか)がないのであれば、精々身分証を床に投げ落とされ、そこに唾を吐き掛けられる程度で済む。軍警に反抗して現行犯逮捕の口実を与えるよりも、そちらの方が、余程被害が少ない。だが――目の前で突発した状況にエグザベが頭の中で注釈を入れている内に、公務執行妨害の現行犯となった女子生徒二人は顔を見合わせたかと思うと、それぞれ別々の方向へ一目散に走り去る。

     彼が現在従事している任務は、ジークアクスの捜索である。エグザベは彼の任務中にジークアクスを強奪した例の民間人が、学校の制服を着た、おそらくは女子生徒だというところまでは把握していたが、今目の前で一目散に、それぞれ別方向へと走り去る二人の内、どちらの方がより強奪犯に背格好が近いかは、正直判断しきれなかった。しかし、どちらがより無茶をする方かは今わかった。
     それに長髪の方の娘は、仮に捕まったとしても、何だかんだ上手くやるだろう。咄嗟にやらかすのはあの赤髪の方だ。実際軍警に明らかに暴行を振るったのはあの娘の方で、彼女がどういう身分かはわからない――少なくとも彼女は難民ではないというのが、エグザベの見立てだった。赤い髪の方は長髪の娘と比べ、軍警に呼び止められてから振り返るまでにもぎくしゃくとした感がなく、ただ呼び止められただけという風に淡々と、それでいて堂々と振り返っていた。彼女は警察に目を付けられたという経験も無ければ、自分の存在が、それだけで「不逞分子」として眼差されることを想像したこともないのだろう。
     それが何故、軍警の横暴ささえ窺える(しかし、ただ横暴なだけの)態度に向かって、ああも敢然と歯向かったのか? あの娘は連れ立っていた長髪の娘に、一度は制されているように見えた。その上で、赤い髪の娘があそこまで強く反発したのは、あの長髪の、そして難民の、つまり、彼女の友達の為に、なのだろうか(その友情はある種、彼の胸の隅を密かに打つ性質のものだった――それには、かつて難民として扱われ、命じられるがままに渡した身分証を投げ返された上、地面に落ちたそれを屈んで拾い上げようとした時に唾を吐き掛けられた過去のエグザベを掬い上げるかのような、きらきらとした眩さがあった。)。
     兎も角、あの娘が下手を打って軍警に捕まればあまり良いようにはならないだろうし、あの娘の方も、軍警を相手に事を荒立てずに振舞うということができないだろう。ジークアクスの強奪犯と似た身体的特徴を持ち、なおかつ、この後軍警に確保されればろくなことにならないに違いない赤い髪の娘の背を追って、エグザベは駆け出した。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定

    マーサが香水使ってたらエブリンさん超怒りそう みたいな
    嫌いなもの:全ての香水の匂い(広義のウィラマサでエブマサ) チェス盤から逃れることを望んだ駒であった彼女は、空を飛び立つことを夢見た鷹の姿に身を包んでこの荘園を訪れ、その結果、煉獄のようなこの荘園に囚われることとなった。そこにあったのは、天国というにはあまりに苦痛が多く、しかし地獄というにはどうにも生ぬるい生活の繰り返しである。命を懸けた試合の末に絶命しようとも、次の瞬間には、荘園に用意された、自分の部屋の中に戻される――繰り返される試合の再現、訪れ続ける招待客(サバイバー)、未だに姿を見せない荘園主、荘園主からの通知を時折伝えに来る仮面の〝女〟(ナイチンゲールと名乗る〝それ〟は、一見して、特に上半身は女性の形を取ってはいるものの、鳥籠を模したスカートの骨組みの下には猛禽類の脚があり、常に嘴の付いた仮面で顔を隠している。招待客の殆どは、彼女のそれを「悪趣味な仮装」だと思って真剣に見ていなかったが、彼女には、それがメイクの類等ではないことがわかっていた。)――彼女はその内に、現状について生真面目に考えることを止め、考え方を変えることにした。考えてみれば、この荘園に囚われていることで、少なくとも、あのチェス盤の上から逃げおおせることには成功している。
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    recommended works

    @t_utumiiiii

    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
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