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    @t_utumiiiii

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    ※謎時空探偵パロ(1990年代を想定)
    Mr.ミステリーが男やもめのレオ・ベイカーの依頼を受けて失踪した娘の行方を探す二次妄想です(還…パロ)

    2Mr.ミステリーの探偵事務所に血相を変えて飛び込んできた巨躯の男はレオ・ベイカーと名乗った。改めて職業を聞けば工場経営だという。しかし、身なりからして彼の暮らしぶりは困窮しているのは明らかだった。

    「軍需工場に変えてからというものどうにも上手く行かなくなったが、今はまだ我慢のときだということだろう……」と、自分でもその言い分を信じていない風に卑屈に笑うレオを相手に、Mr.ミステリーは(時期を見誤ったんだな)という程度のことを思うに留め、敢えてコメントはしなかった。
    Mr.ミステリーが、かつて従事していた傭兵業を休止して私立探偵に勤しんでいるのも、まさに昨今の軍需産業の縮小による影響を受けてのことだというのは確かだが、それをわざわざこの依頼主に突きつけるまでもなく、それは、彼自身が一番良く理解していることだろう。

    一人娘のリサと住んでいたという労働者向けアパートは、リビング、キッチン、洗面所、寝室と子ども部屋、それらをつなぐ廊下があるという間取りとしては平凡であるが、「人が住んでいる」にしては異様にがらんとして、一種の荒涼とした雰囲気さえあった。
    色とりどりの督促状のちょっとした束が隅で雪崩を起こしている床の上には、かつて家具が置いてあった痕跡が目立つ。
    その代わりに今の部屋に置かれているものは、机と椅子程度の最低限の家具のほかは、十字架を素地にした奇妙なシンボル、物々しい香炉。見慣れない意匠を拝んでいることからして、新興宗教に嵌まり込んでいるのだろう。
    壁にはいかにもな額縁に入った奇妙なシンボルや救世主、取ってつけたようにそこばかりが典型的な聖母子の絵が、妻の顔だけがタバコの火によって消し潰されている家族写真や、子供の描いたのだろう絵と並んで、何枚もかけられている。

    気が滅入るような内装に取り囲まれているだけでなく、事実、部屋の空気はむっとして淀んでいた。香なんかを焚く割に、換気には無頓着のようだ。絨毯にでもこぼした酒が染み込んでいるのか、アルコールと煙草、そして、そこに香のそれが煮詰まったような異臭が、部屋のどこにいてもうっすらと追いかけてくる。そこは有り体に言えば、部屋というより廃墟に近い、不快な空間だった。

    電気はまだ止められていないようだが、キッチンとリビング以外の部屋の電球は切れていたり、そもそも照明が割れていたりする。
    「部屋に強盗が入ったことはあるか?」
    Mr.ミステリーがその部屋の有様を前に率直に聞くと、レオは顔を強張らせ、ここ最近のことはあまり覚えていない、というようなことをもごもごと返した。Mr.ミステリーは部屋の状況とレオの態度やその身振りから酒乱の気を見て取り、それ以上の深掘りはしなかった。


    「これは?」
    部屋を一通り見回っていたMr.ミステリーは洗面所に入ると、その奥、何枚もの木板に釘を打って執拗に、それも物々しく封じられた部屋――自然に考えれば、この奥は浴室だろう――の前で立ち止まる。
    「ああ、それは…………」
    彼からの質問に、レオはこれといって言い淀むでもなく口を開きかけたものの、続く言葉が出てこないことに自分でも驚いたように目を丸くした後、痛々しい火傷痕の残る手で、髪の薄くなった自分の額を擦りながら「すいません」と、自分自身に対する苛立ちの滲む声で呟く。
    最近はどうにも記憶が飛んでいることが多く、故に、警察でも娘がいなくなった事実の他にははっきりとした供述ができなかったために、門前払いを食ったのだそうだ。
    「そうか」
    Mr.ミステリーは木板を何枚も重ね、やたらめったらに封じられている扉の前で目を細めた。
    明らかな異常だが、工具もなくこじ開けるのは骨が折れるだろうし、ここについては後回しにするべきだろう。まずは依頼内容を精査する――もとい、娘について調べていくべきだ。

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    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定

    マーサが香水使ってたらエブリンさん超怒りそう みたいな
    嫌いなもの:全ての香水の匂い(広義のウィラマサでエブマサ) チェス盤から逃れることを望んだ駒であった彼女は、空を飛び立つことを夢見た鷹の姿に身を包んでこの荘園を訪れ、その結果、煉獄のようなこの荘園に囚われることとなった。そこにあったのは、天国というにはあまりに苦痛が多く、しかし地獄というにはどうにも生ぬるい生活の繰り返しである。命を懸けた試合の末に絶命しようとも、次の瞬間には、荘園に用意された、自分の部屋の中に戻される――繰り返される試合の再現、訪れ続ける招待客(サバイバー)、未だに姿を見せない荘園主、荘園主からの通知を時折伝えに来る仮面の〝女〟(ナイチンゲールと名乗る〝それ〟は、一見して、特に上半身は女性の形を取ってはいるものの、鳥籠を模したスカートの骨組みの下には猛禽類の脚があり、常に嘴の付いた仮面で顔を隠している。招待客の殆どは、彼女のそれを「悪趣味な仮装」だと思って真剣に見ていなかったが、彼女には、それがメイクの類等ではないことがわかっていた。)――彼女はその内に、現状について生真面目に考えることを止め、考え方を変えることにした。考えてみれば、この荘園に囚われていることで、少なくとも、あのチェス盤の上から逃げおおせることには成功している。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEクリスマスシーズンだけど寮に残ってる傭兵とオフェンスの象牙衣装学パロ二次妄想ですが、デモリー学院イベントの設定に準じたものではないです。
    the Holdover's Party(傭兵とオフェンス ※学パロ) 冬休み期間を迎えた学園構内は火が消えたように静かで、小鳥が枝から飛び立つ時のささやかな羽ばたきが、窓の外からその木が見える寮の自室で、所持品の整理をしている――大事に持っている小刀で、丁寧に鉛筆を削って揃えていた。彼はあまり真面目に授業に出る性質ではなく、これらの尖った鉛筆はもっぱら、不良生徒に絡まれた時の飛び道具として活用される――ナワーブの耳にも、はっきりと聞こえてくる程だった。この時期になると、クリスマスや年越しの期間を家族と過ごすために、ほとんどの生徒が各々荷物をまとめて、学園から引き払う。普段は外泊のために届け出が必要な寮も、逆に「寮に残るための申請」を提出する必要がある。
     それほどまでに人数が減り、時に耳鳴りがするほど静まり返っている構内に対して、ナワーブはこれといった感慨を持たなかった――「帝国版図を広く視野に入れた学生を育成するため」というお題目から、毎年ごく少数入学を許可される「保護国からの留学生」である彼には、故郷に戻るための軍資金がなかった。それはナワーブにとっての悲劇でも何でもない。ありふれた事実としての貧乏である。それに、この時期にありがちな孤独というのも、彼にとっては大した問題でもなかった。毎年彼の先輩や、或いは優秀であった同輩、後輩といった留学生が、ここの“風潮”に押し潰され、ある時は素行の悪い生徒に搾取されるなどして、ひとり一人、廃人のようにされて戻されてくる様を目の当たりにしていた彼は、自分が「留学生」の枠としてこの学園に送り込まれることを知ったとき、ここでの「学友」と一定の距離を置くことを、戒律として己に課していたからだ。あらゆる人付き合いをフードを被ってやり過ごしていた彼にとって、学園での孤独はすっかり慣れっこだった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE象牙衣装泥庭二人とも怪我してるみたいで可愛いね🎶という趣旨の象牙衣装学パロ二次妄想(デモリー学院イベントの設定ではない)です
    可哀想な人(泥庭医 ※学パロ) 施設育ちのピアソンが、少なくとも両親の揃った中流階級以上の生徒が多いその学園に入学することになった経緯は、ある種“お恵み”のようなものであった。
     そこには施設へ多額の寄付したとある富豪の意向があり、また、学園側にもその富豪の意向と、「生徒たちの社会学習と寛容さを養う機会として」(露悪的な言い方になるが、要はひとつの「社会的な教材」として)という題目があり、かくして国内でも有数の貧困問題地区に位置するバイシャストリートの孤児院から、何人かの孤児の身柄を「特別給費生」として学園に預けることになったのだ。
     当然、そこには選抜が必須であり、学園側からの要求は「幼児教育の場ではない」のでつまりはハイティーン、少なくとも10代の、ある程度は文章を読み書きできるもの(学園には「アルファベットから教える余裕はない」のだ)であり、その時点で相当対象者が絞れてしまった――自活できる年齢になると、設備の悪い孤児院に子供がわざわざ留まる理由もない。彼らは勝手に出ていくか、そうでなければ大人に目をつけられ、誘惑ないしだまし討ちのようにして屋根の下から連れ出されるものだ。あとに残るのは自分の下の世話もおぼつかないウスノロか、自分の名前のスペルだけようやっと覚えた子供ばかり――兎も角、そういうわけでそもそも数少ない対象者の中で、学園側が課した小論文試験を通ったものの内の一人がピアソンだった。
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    recommended works

    @t_utumiiiii

    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
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