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    @t_utumiiiii

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    ※謎時空探偵パロ(1990年代を想定)
    男やもめのレオ・ベイカーの依頼を受けて失踪した娘の行方を追うMr.ミステリーの前に“幽霊”が現れる二次です(還…パロ)

    5レオの住むアパートはただでさえ薄暗く、部屋によっては明かりがつかない。Mr.ミステリーは夕暮れになったところでその日の現場での調査を打ち切り、「何か思い出したら連絡をするように」と、事務所の番号を書いた名刺をレオベイカーに渡した。
    なんとなれば、記憶のあやふやな父親の証言を当てにするより、周辺情報から探ったほうが話が早いかもしれない……レオの元妻や、“ジョーンズ医師”について調べる方が先決だろう。
    さらに、仮に元妻や医師による連れ去りが原因だったとして、その当時の連れ去り行為の合法性が争われるとはいえ、事件性はないだろうというのがMr.ミステリーの見立てである。
    何せ、持ち出してきたリサベイカーの診察券に記載の生年月日に間違いがないのであれば、リサは今22歳になっているはずだ。レオが言う「娘がいなくなった」のは、明らかにここ数日のことではないだろう。

    Mr.ミステリーが現時点での見立てを立てながら事務所に戻ると、暗い部屋の中央に青白い人影が立っていた。
    彼は軍属の経験から幽霊や超常現象に対してドライな立場を取るが、事務所の中央に立つ見慣れない人影を取り押さえようにも、手が動かない。
    『こんばんは、探偵さん!』
    鈴を鳴らすように高く、若い娘の声が笑った。青白い人影は戸口で立ち尽くす探偵に向かって近寄ってくるが、それは透き通るように青白いワンピースを着て、頭に花をあしらった麦わら帽子を被る娘の姿をしている。(リサ・ベイカーか)と直感をぶつけてみようと彼は口を開いてみるが、喉から声が出てこない。悪夢を見ている時のようだ……と思い、Mr.ミステリーは思わず息と、苦くなった唾とを呑み込んだ。

    『クローゼットにはね、リサの大事なものが入っていたの』
    『でも、お父さんが捨てちゃった。うちには借金があるんですって……』

    青白い人影は、戸口で降参するかのように両膝をついてしまったMr.ミステリーの周りを二度三度、子供がハンカチ落としをして遊ぶときのような調子でくるくると歩き回った後、それで気が済んだのか、彼の真後ろでぴたりと足を止める。
    『あのね、パパのお話を聞いてくれてありがとう。でもね、リサを探さないでほしいの』

    目を覚ますと、Mr.ミステリーはソファの上で寝そべっており、全身にはびっしりと冷たい汗を掻いていた。
    悪夢を見ていたのだろうか? 彼は額を覆う粘ついた汗を手の甲で拭いながら、インバネスコートのポケットからパイプを取り出した。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE弁護士の衣装が出ない話(探偵と弁護士) ※荘園設定に対する好き勝手な捏造
    No hatred, no emotion, no frolic, nothing.(探偵と弁護士) 行方不明となった依頼人の娘を探すため、その痕跡を追って――また、ある日を境にそれ以前の記憶を失った探偵が、過去に小説家として活動する際用いていたらしいペンネーム宛に届いた招待状に誘われたこともあり――その荘園へと到達したきり、フロアから出られなくなってしまった探偵は、どこからが夢境なのか境の判然としないままに、腹も空かず、眠気もなく、催しもしない、長い長い時間を、過去の参加者の日記――書き手によって言い分や場面の描写に食い違いがあり、それを単純に並べたところで、真実というひとつの一枚絵を描けるようには、到底思えないが――を、眺めるように読み進めている内に知った一人の先駆者の存在、つまり、ここで行われていた「ゲーム」が全て終わったあと、廃墟と化したこの荘園に残されたアイデンティティの痕跡からインスピレーションを得たと思われる芸術家(荘園の中に残されたサインによると、その名は「アーノルド・クレイバーグ」)に倣って、彼はいつしか、自らの内なるインスピレーションを捉え、それを発散させることに熱中し始めた(あまり現実的ではない時間感覚に陥っているだけに留まらず、悪魔的な事故のような偶然によって倒れた扉の向こうの板か何かによって、物理的にここに閉じ込められてもいる彼には最早、自分の内側に向かって手がかりを探ることしかできないという、かなり現実的な都合もそこにはあった。)。
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    recommended works

    @t_utumiiiii

    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
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