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    @t_utumiiiii

    @t_utumiiiii

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    POIPOI 148

    @t_utumiiiii

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    オルフェオ時空のクリピは放っておいたら「リサの家」の土地を買収して店を存続させたかったら付き合えと迫ってると思いますが、オルフェオのウッズさんは庭師日記4のウッズさん(リサ・ベイカーの復讐者)なので返り討ちにするでしょうし、エミリー先生は薄々ウッズさんのやったことに気付いても見守ってくれるからハッピーエンドですね!

    夢境の幕間(泥庭、エマエミ) ホワイトサンドストリート周辺での不動産売買で財を成した――彼が自分自身で吹聴する程の名声があるわけではないが、その業績と所業は全くの無名というわけでもない――投資家ことクリーチャー・ピアソンは、夜道を肩で風を切るように歩いてくると、掛かっている「Closed」のプレートを一瞥もせず花屋のガラス扉を何食わぬ顔で押し開け、ドアベルを臆面なく鳴らしながら、まだ明かりの付いている店内に入った。そして、従業員を先に帰して一人、レジの締め作業を続けていた花屋の店主に向かって、挨拶をするというには下卑たにやつき方で笑いかける。
     それは珍しいことでもない。花屋「リサの家」の経営で成功を収め、いくつかの店舗を経営するうら若い店主のエマ・ウッズにピアソンがやたらと言い寄っているのは、今に始まったことでもなかった。
     上質な布を使った白い帽子――上品な紫のリボンが巻かれ、店のシンボルでもあるアザミのハットピンで留めてある――の丸い鍔の下から闖入者の顔をちらりと見るや否や、エマはそばかすの散る若く可愛らしい顔を、苦いものを噛んだときのように顰めながら「閉店よ」とうんざりしたように言うが、ピアソンはそれに堪えた風もなく「き、客じゃないからな」と、にやにや応じる。
    「俺はさ、たっ、大切な、話をしに来たんだ、大切な、わかるだろう? 客がいちゃ話にならない。ふ、二人きりじゃなくちゃあ、あ、あんただって、こっ、困ると思うが……」

     かくして閉店後の「リサの家」に押し入ってきたピアソンが、まっさらな白の上着のポケットから、いかにも勿体ぶった風の身振りで取り出したのは、数枚の土地の権利書であった。
     折り目正しく畳まれていたそれをレジの目の前に置かれて開かれると、その内容は嫌でもエマの目に入るし、そこに書きつけられていた住所はどれも、彼女にとって馴染みのある場所だった。それらはすべて、彼女が経営するここらでは有名な花屋こと「リサの家」がテナントに入っている場所だったのだ。つまり、今目の前でエマをにやにや見遣っている投資家に、それらの店舗の生殺与奪を握られているらしい。という現況を理解するのは、不動産に明るい訳では無いが店舗経営者であるエマにとって、何ら難しいことではない。
     見せびらかされた権利書を前に、レジの中身を確認する手を止めていたエマは、およそ屈託らしいものを感じさせない明るさのなかに、若干二十歳そこそこの年齢にして複数店舗経営を実現する才気が伺えるようにも見える深緑の目を丸くして、驚いた風の顔を作ってみせた(数年来彼女に執拗に言い寄っているピアソンの生業と性根を考えれば、それは別段驚くべきことでもなかったが、「あなたなら、そういうことをいずれしてくると思ったの」などと言ったところで、話が進むようにもエマには思えなかった。)。それから、うんざりするようにも困ったようにも取れる具合に眉尻を下げ、にわかに唇を尖らせながら、「こういうことをされると困るの」と零してみる。
    「わ、私だって! し、したくはないさ、こ、こんなことは……」
     エマの困り顔に満足するように薄ら笑っていたピアソンは、諸々の策を弄して地主を買収した側にも関わらず、自分が薄ら笑ったことを誤魔化したがる具合に肩を竦め、恐縮して見せるように腰を折って、鼻につくほど大仰な一礼をして見せたと思うと、次の瞬間には、腰を折って見せたのはポーズばかりで、大して反省をしているわけでもなさそうなことを隠しもしない機敏さで頭を上げながら、どうにも愉快でたまらないのか、やはりせせら笑う具合に緩んだ口元で「で、でもなぁ、」と切り出した。
    「これは、ウッズさんだって悪いと思うよ。い、いや、まあな、恥ずかしがるのも、可愛いもんだが、っげ、限度ってもんがさ、あ、あるだろう?」
     彼は続けて、「五年だ」と、ピアソンがきまってエマに向ける媚びるような猫撫で声から媚態が薄らぎ、その代わりに執拗さと、望むものを与えられないことへの不機嫌さが加わった不気味に低い声色でしきりに年数を復唱しながら、エマの前に手の平を広げて見せていたかと思うと、その手を下ろし、レジのテーブルの上に広げている権利書を手のひらで押さえながら、身を乗り出した。
    「っご、五年だよ……クリーチャーは五年も待ったが、あんたは返事の一つも寄越しやしない……」
     ピアソンはぶつぶつと言い募りながらさらに片手を伸ばしてくると、レジを一旦閉じていたエマの手首を掴もうとする。それに、習い性から――流石に彼にとっての外聞もあり、やたらと触ろうとしてくることはこれまでになかったが、この男から迫られること自体は、彼女にとって、今に始まったことではない――後退るエマに、男は下卑たぐらいのにやつき顔はそのまま、警告めいていっそう目を細めながら、「今日こそ、っへ、返事をさ、き、聞かせてくれ……聞かせてくれる、よな?」と言う。

    「こっ、ここからは、あ、あんた次第だよ、ウッズ“店長”……」

     その、さも取ってつけたような、いかにもわざとらしい言い方に気分を害したエマは顔を顰めたものの、掴まれた腕を振り払いはしなかった。目の前の男が何をするかわからないという恐怖から体が竦んでいる、というわけではなかった。
     それどころか、彼女はピアソンに腕を掴まれた格好のまま、微かに息を漏らし、「くすっ」と笑いすらした。そして、意中の相手から目の前で微笑まれた結果、毎度時間を掛けて丁寧に整えている顎髭を生やした顔を(直前で脅しつけるような身分相応の真似をしておきながら)年甲斐もなく赤らめている投資家が、彼女の店が入っている土地の権利書を押さえつけている手に、若々しく滑らかな女のものの手をそっと重ねると、「あのね、ピアソンさん」と、何時になく親密に、可愛らしく、甘やかな声で続けた。
    「エマから、ひとつ提案があるの、聞いてくれる?」
     そして、大人ぶった子供のするままごとめいて、声に笑いを含みながら小さく首を傾いで、上目遣いに見上げて来る彼女に、これは落ちただろうと、いかにも自分の目論見通りに話の進んだことを喜ぶほどの余裕もなく、あれ程望んだ愛情の兆しを受けてやたらと飛び跳ねる心臓にかえって困惑するように目を泳がせながら、ピアソンは引きつった顔で「ック、クリーチャーは、かっ、かか、か、構わないが」と、先刻の不機嫌さはどこへやら、すっかり熱っぽい声を上擦らせつつ、辛うじて取り繕った風に応じてくる。
     エマはそれに、少し拍子抜けをした、とでもいうように軽く首を竦めながらも、あくまで親しげな可愛らしい微笑みを崩さず、重ねた手の指を動かし、彼の手の甲に浮いた節をなぞりつつ、「ここだとちょっと、お話し辛いから……奥に来てくださる?」と、さも恥じらうように声を潜めながら続けた。



    ***


     翌日はロンドンでは珍しい程の清々しい晴れの日で、春めいて暖かな陽気に誘われるようにやたらと出歩く人々で、ホワイトサンドストリートは少し混み合っている程だった。
     通り沿いの孤児院で医師として活動をするエミリーが、彼女の良き友人であるエマが商う花屋である「リサの家」を訪れるのは珍しいことでもなかったが、その日は別の用件があった。彼女が活動するホワイトサンド孤児院の経営者でもあるクリーチャー・ピアソンが、昨晩から戻っていないという話を聞いており、その事情を伺うためというのが、今日の彼女の用件だった。

     彼は何も年端の行かない子供ではないので、一日二日音信が不通であろうと誰も気にしないし、エミリーの活動の場であるホワイトサンド孤児院にも、何ら支障はない。ピアソンは名目上、ホワイトサンド孤児院の経営者だったが、その実態は本当に金だけを出すだけの文字通りの投資家であり、孤児院の運営や管理は雇われの神父に丸投げの状態であることを、エミリーは関係者として適切に把握している。
     それでも、エミリーが敢えて、そのことを理由にエマの元を訪れた理由は、至極単純な直感だった。嫌な予感がした。彼女が何か、恐ろしいことに手を染めてしまったような……。(けれど、どうしてそんな根拠のない想像が、頭から離れなくなってしまったのかしら)エミリーの自問自答に、未だ答えは出ていない。
     エミリーは医師という――その場での適切かつ迅速な判断を必要とされることが少なくない――職業柄、根拠のない確信に頼ることが一切ないとは言えないものの、非科学的なそれにあまりの重きを置くことに、負い目を感じないこともない。何より、彼女にとって憂鬱なことは、自分の心がその瞬間、最良の友人を、まるでこの上なく疑っているような動きをしたことだった。つまり、彼女のことを、私は信用していないの? エマは、そんな恐ろしいことをするような人ではないわ――問題があるのは、むしろあの男の方――けれど、そこには何とも言い難い違和感があった。

     聞けば最近のピアソンは、例のお寒い「ウッズさんとのラブロマンス」のことをしきりに口にしていたらしい(最近でなくとも、誰かから水を向けられれば、所構わず喋っただろうが)。年単位で付き纏って返事も得られないのに、よくやるわね。というのがエミリーの所感であるが、「厄介なクリーチャー」はエミリーの呆れ等は露知らず、『近々彼女は良い返事をくれるだろう』と言って、やたらに帽子の角度を直してみたり、鏡の前に立ってみたりしていたらしい(し、エミリー自身その現場を見たことがある。)。
     エマは外見で相手を選ぶような女の子ではないことをよく知っているエミリーは、そんな物分りの悪い「厄介なクリーチャー」の言動を見聞きするたび、呆れる具合に鼻白んだものだが、その例の男と連絡が取れない――何らかの約束をすっぽかしたらしい――という話を孤児院で耳にしたとき、ふと、最近のピアソンのやたらに浮かれた様子を思い出し、それが妙に気にかかった。
     愛想がいいというにはどこか貼り付けたようで如何わしい奇妙な笑顔を口元に浮かべながら、結構な身分の方々に孤児院を案内するか、そうでなければ、明け方に酒臭い息で孤児院に“視察”に来たかと思うと、鍵をかけていたはずの空き部屋に入り込んで、子供用の二段ベッドの下で寝こけているような、しょうもない経営者、それでいて、エマから袖にされてもなかなか諦めない、厄介で物分りの悪い男という目で呆れるように眺めていると、つい忘れることがあるが、あの男は、曲がりなりにも、身一つで成り上がった――つまり、品行の良さというものや遵法の意識、過程の美しさというものにあまり心を砕かない、手段を選ばない――事業家であり、その生業は不動産投資だということだ。
     それが「近々いい返事が来る」と言って、やたらにはしゃぎまわっていた。あの男、やたらとエマに付き纏って鼻の下を伸ばしているだけでも気持ちが悪いのに、さらに自分の生業を、文字通り、己の私利私欲のために動かして、彼女の事業――「リサの家」の経営に、不利益が働くように動いたのではないか(そして、不利益に堪えかねた彼女が自分相手に“便宜”を求めてくることをわかっていて、「“時間の問題”」などと吹聴したのではないか?)(そして何より、その時に、エマが恐ろしいことに手を染めさせられてしまったのではないか)というのが、エミリーの見立てであり、注意深く観察をすれば、その痕跡らしいものはいくつか見えた。

     「エミリーが折角来てくれたから」といっそう楽しげなエマに言われるがまま、流石に生活スペースではないが、簡単な給湯設備と休憩スペースが設けられている店の奥に普段通り通されたエミリーは、その床が異様に掃き清められていることに気が付いた。そこは常に散らかされているわけではないが、まるで大掃除をしたばかりという風の床に店頭と裏を忙しく行き来するエマが持ち込んだのだろう花弁や砂埃が申し分程度にぱらぱらと散っている様には違和感があった。
    「何かあったのかしら?」
     すごく綺麗ね、とまで言うべきか否か少し迷ったエミリーが言葉を濁しながら聞いてみると、紅茶を煮出すためにやかんをコンロにかけているエマは「ちょっと掃除したの」と何気なく、普段どおりの明るい声で答えた。
    「最近暖かくなったでしょう?」
     冬場には目につかなかった埃が気になっちゃって、というようなことを微笑み混じりに続ける彼女に、エミリーは「ええ、そうね 本当に……」と頷いて見せる。そして、彼女が今しがた述べた春の陽気に誘われる風に、窓辺に立って中庭を覗いてみると、そこでも、洗ったばかりという風のシャベルが一本だけ、壁に立てかけてあるのが目に留まる。
    「……シャベルも洗ったのね」
    「ええ だって、今日はよく晴れているでしょう?」
     エマは普段通りの柔らかな、そして可愛らしい笑顔を口元にそう言いながら、テーブルに雑然と積まれた、売り物にならない花で彼女がよく編んでいる色とりどりの花のリースを、書類の類と一緒に抱えて、その端に寄せている。
    (そう、他は普段と変わらないのに、床だけがやたらに綺麗だから、気にかかったんだわ……)
     エミリーは頭を過るその思考に蓋をするように、ゆっくり瞬きをした。中庭はあくまで普段と様相を変えず、手を入れすぎないナチュラルな草地に、「リサの家」を有名にした要素の一つであるアザミが、見事に咲き誇り――何気なく庭を眺めていたエミリーは、そこで違和感を覚え、一点に目を留めた。
     中庭の一角に、土がむき出しの一角がある。まるで、掘り返したみたいな? 暖かな風が吹いて、一瞬日差しを遮っていた雲が流れて、再び太陽光に照らし出されたむき出しの土のそばに、なにか光るものがある。あれは――
    「あらエミリー、もう見つけたの?」
     気付けば、エマがすぐそばに立っていた。何とはなしの気まずさからエミリーがぎくしゃくと口角を上げて誤魔化すように笑う一方、エマはあくまで普段通りの調子で、「昨日の夜に思いついたんだけどね、お庭に新しいものを植えようと思って、少し掘り返したの」と口ずさむような調子で言いながら、エミリーがじっと見つめていたその庭の一角を指差す。
    「あそこに何を植えるかをね、貴女とお話したいと思ってたの……そう思ったら、エミリーが来てくれたのよ!」
     そういって楽しそうにきゃらきゃらと笑う素直な彼女の両腕が肩に触って、そのまま懐くように抱きついてくるのを、エミリーは止めはしなかった。止める理由がない。だって私はただ、この子を守りたい、救いたいだけだ。彼女が恐ろしいことをしたとしても、彼女が恐ろしい目に遭うより数段マシだ。私は二度と、この子を、一人ぼっちで、恐ろしい目には遭わせない……。

    「私の天使には、何でもお見通しなのね!」
     歌い出しそうな上機嫌さで喜ばしげな声を上げるエマに、彼女の腕の中に収められながら少し考え事に耽っていたエミリーは、思わず強張った。まるで、考えていることを――彼女を疑っていることを、見透かされたような気分になった。エミリーはその申し訳のなさから、美しい形をした細い眉尻を下げたまま、曖昧に微笑みつつ、「エマ」と、彼女の名前をよく確かめるように、慎重に、それでいて優しく、真摯な響きで呼ぶ。
    「なにか困ったことがあったら、一番に、私に相談して頂戴ね。」
     そして、僅かに曇ったブラウンの瞳を穏やかに伏せながら、「私はいつでも、あなたのために、最善を尽くすと誓うわ……」と続けるエミリーに、エマはにっこりと、いっそう無垢めいて可愛らしく微笑むと、「ほんとうに、夢みたいね!」と独り言ちる。
    「エマ?」
     彼女の様子を気に掛けるエミリーの呼びかけに、エマは頬への親愛のキスで応えると、「だって、そうでしょう?」と、形の上ではエミリーに同意を求めるように言うが、その深緑の目は、どこでもないところ――少なくとも、「ここ」には居ない筈の存在――それでいて、彼女たちのやりとりを観測している「あなた」を、確かに捉えている。

    「エマね、昔のことなんて、もうどうでもいいの。だって、私達は運命に勝利して、対価を分かち合ったんだもの。だから私達はずっと一緒で、二度と離れないの。二人で幸せに暮らすの……そう、あなたの夢物語よね」

     冷や汗の伝う息苦しい微睡みの中で仮定と推論は意味を失い、「あなた」(探偵)の意識は、暗く混沌とした淵へと落ちていく。
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    👏👏👏😂😂😝🐒😇😇😇
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    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
    5388

    @t_utumiiiii

    DOODLE※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定

    マーサが香水使ってたらエブリンさん超怒りそう みたいな
    嫌いなもの:全ての香水の匂い(広義のウィラマサでエブマサ) チェス盤から逃れることを望んだ駒であった彼女は、空を飛び立つことを夢見た鷹の姿に身を包んでこの荘園を訪れ、その結果、煉獄のようなこの荘園に囚われることとなった。そこにあったのは、天国というにはあまりに苦痛が多く、しかし地獄というにはどうにも生ぬるい生活の繰り返しである。命を懸けた試合の末に絶命しようとも、次の瞬間には、荘園に用意された、自分の部屋の中に戻される――繰り返される試合の再現、訪れ続ける招待客(サバイバー)、未だに姿を見せない荘園主、荘園主からの通知を時折伝えに来る仮面の〝女〟(ナイチンゲールと名乗る〝それ〟は、一見して、特に上半身は女性の形を取ってはいるものの、鳥籠を模したスカートの骨組みの下には猛禽類の脚があり、常に嘴の付いた仮面で顔を隠している。招待客の殆どは、彼女のそれを「悪趣味な仮装」だと思って真剣に見ていなかったが、彼女には、それがメイクの類等ではないことがわかっていた。)――彼女はその内に、現状について生真面目に考えることを止め、考え方を変えることにした。考えてみれば、この荘園に囚われていることで、少なくとも、あのチェス盤の上から逃げおおせることには成功している。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEクリスマスシーズンだけど寮に残ってる傭兵とオフェンスの象牙衣装学パロ二次妄想ですが、デモリー学院イベントの設定に準じたものではないです。
    the Holdover's Party(傭兵とオフェンス ※学パロ) 冬休み期間を迎えた学園構内は火が消えたように静かで、小鳥が枝から飛び立つ時のささやかな羽ばたきが、窓の外からその木が見える寮の自室で、所持品の整理をしている――大事に持っている小刀で、丁寧に鉛筆を削って揃えていた。彼はあまり真面目に授業に出る性質ではなく、これらの尖った鉛筆はもっぱら、不良生徒に絡まれた時の飛び道具として活用される――ナワーブの耳にも、はっきりと聞こえてくる程だった。この時期になると、クリスマスや年越しの期間を家族と過ごすために、ほとんどの生徒が各々荷物をまとめて、学園から引き払う。普段は外泊のために届け出が必要な寮も、逆に「寮に残るための申請」を提出する必要がある。
     それほどまでに人数が減り、時に耳鳴りがするほど静まり返っている構内に対して、ナワーブはこれといった感慨を持たなかった――「帝国版図を広く視野に入れた学生を育成するため」というお題目から、毎年ごく少数入学を許可される「保護国からの留学生」である彼には、故郷に戻るための軍資金がなかった。それはナワーブにとっての悲劇でも何でもない。ありふれた事実としての貧乏である。それに、この時期にありがちな孤独というのも、彼にとっては大した問題でもなかった。毎年彼の先輩や、或いは優秀であった同輩、後輩といった留学生が、ここの“風潮”に押し潰され、ある時は素行の悪い生徒に搾取されるなどして、ひとり一人、廃人のようにされて戻されてくる様を目の当たりにしていた彼は、自分が「留学生」の枠としてこの学園に送り込まれることを知ったとき、ここでの「学友」と一定の距離を置くことを、戒律として己に課していたからだ。あらゆる人付き合いをフードを被ってやり過ごしていた彼にとって、学園での孤独はすっかり慣れっこだった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE象牙衣装泥庭二人とも怪我してるみたいで可愛いね🎶という趣旨の象牙衣装学パロ二次妄想(デモリー学院イベントの設定ではない)です
    可哀想な人(泥庭医 ※学パロ) 施設育ちのピアソンが、少なくとも両親の揃った中流階級以上の生徒が多いその学園に入学することになった経緯は、ある種“お恵み”のようなものであった。
     そこには施設へ多額の寄付したとある富豪の意向があり、また、学園側にもその富豪の意向と、「生徒たちの社会学習と寛容さを養う機会として」(露悪的な言い方になるが、要はひとつの「社会的な教材」として)という題目があり、かくして国内でも有数の貧困問題地区に位置するバイシャストリートの孤児院から、何人かの孤児の身柄を「特別給費生」として学園に預けることになったのだ。
     当然、そこには選抜が必須であり、学園側からの要求は「幼児教育の場ではない」のでつまりはハイティーン、少なくとも10代の、ある程度は文章を読み書きできるもの(学園には「アルファベットから教える余裕はない」のだ)であり、その時点で相当対象者が絞れてしまった――自活できる年齢になると、設備の悪い孤児院に子供がわざわざ留まる理由もない。彼らは勝手に出ていくか、そうでなければ大人に目をつけられ、誘惑ないしだまし討ちのようにして屋根の下から連れ出されるものだ。あとに残るのは自分の下の世話もおぼつかないウスノロか、自分の名前のスペルだけようやっと覚えた子供ばかり――兎も角、そういうわけでそもそも数少ない対象者の中で、学園側が課した小論文試験を通ったものの内の一人がピアソンだった。
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    recommended works

    @t_utumiiiii

    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
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