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    @t_utumiiiii

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    ※ハズビンホテルへようこそS1Ep8のネタバレを若干含みます
    アラスターは何でチャーリーに手を貸しているのか? という感じの妄想(広義のアラチャ)

    (アラチャ) 私が彼女を支援すると決めたのには、彼女が持つ「後継者」という地位が全くの無関係である、とはいえないだろう。地獄の王の後継者にしてリリスの娘。地獄のプリンセス。側近く取り入っておいて、まあ損にはならない肩書だ。それが今のところ、全く実を伴わない肩書きばかりの権威であろうと、それによって容易に開くドアが存在することもまた事実だ。物事を成し遂げねばならないときは反発の少ない道を選ぶほうが、より容易な目的達成につながる。彼女は特別な切り札、ともすれば、裏口の鍵に繋がるやも知れませんね。ええ、それは否定できない。
     とはいえ、それだけを目当てに、私はホテルの扉を叩いたわけではない。端から「地獄のプリンセス」を目当てにするならば、もっと早いうちから取り入る道もあっただろう(スポンサーだなんて回りくどい方法を取る道が最善とは限らない。)。それに、そもそも他人の権威を宛てにするのは趣味ではない。次に踏み上がるべき階段を見つけるために、肩書きやタイトルを持つ人物に目をつけることこそあれ、その点において、シャーロット・モーニングスターはほぼ無害、口だけ、肩書だけ、踏むべきステップではない。予め目をつけておくなんてことはしていなかった。道沿いの店にあるショーウィンドウに置かれたあの不格好な箱から、救済を高らかに歌い上げるその声を耳にするまでは。


     尻尾を巻いてのこのことホテルに戻ってきた私をチャーリーは一頻り歓待した後、忌々しいことにまだ治り切らない傷を腹に抱える私が、再会の席から早々に退散しようとするところ、彼女はこれまで殺人を犯してはいないのだろう白く柔い手で、何ら苦も無く振り払えそうな程の些細な力で以て、私の爪先を赤く彩った黒い手を握り、「アル、あなたのお陰よ」と、明け透けな好意と感謝を述べた。
    「あなたが居なければ、私たちには、天使に対抗する術も無かった。勿論、それよりも前に、私がもっと、上手くやれていればよかったんだけど……でも、あなたが居てくれて本当によかった。」
    『どういたしまして!』
     マイクのノイズを通して返礼を述べる。しかしチャーリーにはそれが聞こえていなかったのか、彼女は彼女自身の内側に燻る、言うなれば使命感と奉仕の感覚に燃える炎に突き動かされるように私の手を握ったまま、黒真珠もかくやという様子にその瞳を潤ませて、「私はきっとあなたの……あなたたちの気持ちに応えるわ。あなたたちと一緒に、私はきっと実現する……私の夢を。」などと感傷的に呟いていると、私を捕まえている彼女の周りに、彼女のガールフレンドやお友達が、地獄に似つかわしくなく優し気な微笑みと共に集まって、思い思いに彼女の肩を支え、腰を抱き、生暖かい人肌によるグループ・ハグの様相を呈し始める場に、私はどうにも居心地悪く片眉を引き上げながらもそこに留まったのは、彼女が「いえ、そうね、アル。あなたは死後の救済については、私と意見が異なるでしょうけれど、」と、まだ私に向けての話を続けていたからだ。話の途中で退出する程無礼なことはない。そうだろう?
    「アラスター、あなたの望みがどこにあろうと、あなたは、私を助けてくれたわ! 私はそのことについて、いくらでもお礼を言いたいの。心からね。」
    『チャーリー、マイ・ディア。この私、友を助けることにかわる喜びはありませんとも!』
     たっぷりの笑顔と共に向けた私の返事に、彼女はかえってぎこちない微笑みを返してきたが、勿論、その通りだ。ここで私の友情を信用するような、生易しいお姫様というわけでもないだろう。私の両手をしっかり握る彼女の白い手を指でそれとなく退かし、手と同じだけ白い頬を片手で抓むと、ふにふにと柔らかくあまり地獄らしくない手応えが返ってくるし、それ以上に、彼女の腰を抱いていた彼女のガールフレンドからの鋭い視線が突き刺さって、私はつい、口角が引きあがってしまう。
    『私はあなたの修道女! この献身を疑う必要はありませんよ。それは私が保証しましょう、ええ、勿論!』

     罪人の救済を演説する彼女の美しい夢は、この地獄に於いて存在することが信じられない程のふわふわに甘やかな夢であり、それこそが、私に必要なものだった。
     ある日唐突に地獄の世界に存在することになった私は、存在する以上の努めとして常に上昇することを目指し、勤勉にエンターテイメントを続けたが、この世界は、言ってしまえば易しく、生身で存在したあの地球よりも退屈なものだった。何せ、言ってしまえば、悪意は悪意以上のものには成り得ない。かつて与えられていたチャンスを棒に振ったろくでなしの吹き溜まり。この世は全て予定調和だ。全く以て死んでいる。地獄的な退屈。
     あの日私の耳に届いた「魂の贖罪」を謳う彼女の夢は、ここに蔓延る悪意とは対極にあるコンセプトであり、それこそが私に必要なピースだと、その時にピンと来た。この娘に手を貸そう。聞けば地獄のプリンセスと言う。側近く取り入って置いて損になる相手でもないだろう。ともすれば彼女こそが、バックドアの鍵になるやもしれない? 
     勿論彼女がそうであるからこそ、例の番組を通して私は彼女を知ることができたし、権威ある血筋に連なる彼女であるからこそ、そのふわふわな夢を下手に踏み躙られることなく、大事に抱えていることを許されたのであろうが、しかし、もし、そうでなくとも――彼女が地獄のプリンセスという地位でなかろうと、ひとたび彼女の全く地獄らしからぬ贖罪の夢を聞いたなら、私はたちまち手を差し伸べたに違いない。何せ、エンターテイメントの骨頂たりうる、最悪のカタストロフを引き起こすのは、往々にして善意と利他、この上なく甘やかな、思いやりの心に他ならず、その心はこの地獄に於いて殊に希少だ。その得難い夢が、そこら中に転がっている一山いくらのくだらない雑魚どもの横槍で中途半端に摘み取られることのないように、是非とも手を貸してやらなければ。

    『私は、あなたの夢の行き先を見たいのですよ、マイ・ディア。そのための尽力は惜しみませんとも。』
     彼女の頬をふにふにと生易しく伸ばしていた指を離してから、このあたりの景色にはあまり馴染まない明るいブロンドの髪を軽く撫でると、彼女の影であるようにぴっとりとそこに立っている彼女のガールフレンドが額にビキビキと青筋を立てる愉快な音が聞こえて来た。
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    Replies from the creator

    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定

    マーサが香水使ってたらエブリンさん超怒りそう みたいな
    嫌いなもの:全ての香水の匂い(広義のウィラマサでエブマサ) チェス盤から逃れることを望んだ駒であった彼女は、空を飛び立つことを夢見た鷹の姿に身を包んでこの荘園を訪れ、その結果、煉獄のようなこの荘園に囚われることとなった。そこにあったのは、天国というにはあまりに苦痛が多く、しかし地獄というにはどうにも生ぬるい生活の繰り返しである。命を懸けた試合の末に絶命しようとも、次の瞬間には、荘園に用意された、自分の部屋の中に戻される――繰り返される試合の再現、訪れ続ける招待客(サバイバー)、未だに姿を見せない荘園主、荘園主からの通知を時折伝えに来る仮面の〝女〟(ナイチンゲールと名乗る〝それ〟は、一見して、特に上半身は女性の形を取ってはいるものの、鳥籠を模したスカートの骨組みの下には猛禽類の脚があり、常に嘴の付いた仮面で顔を隠している。招待客の殆どは、彼女のそれを「悪趣味な仮装」だと思って真剣に見ていなかったが、彼女には、それがメイクの類等ではないことがわかっていた。)――彼女はその内に、現状について生真面目に考えることを止め、考え方を変えることにした。考えてみれば、この荘園に囚われていることで、少なくとも、あのチェス盤の上から逃げおおせることには成功している。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEクリスマスシーズンだけど寮に残ってる傭兵とオフェンスの象牙衣装学パロ二次妄想ですが、デモリー学院イベントの設定に準じたものではないです。
    the Holdover's Party(傭兵とオフェンス ※学パロ) 冬休み期間を迎えた学園構内は火が消えたように静かで、小鳥が枝から飛び立つ時のささやかな羽ばたきが、窓の外からその木が見える寮の自室で、所持品の整理をしている――大事に持っている小刀で、丁寧に鉛筆を削って揃えていた。彼はあまり真面目に授業に出る性質ではなく、これらの尖った鉛筆はもっぱら、不良生徒に絡まれた時の飛び道具として活用される――ナワーブの耳にも、はっきりと聞こえてくる程だった。この時期になると、クリスマスや年越しの期間を家族と過ごすために、ほとんどの生徒が各々荷物をまとめて、学園から引き払う。普段は外泊のために届け出が必要な寮も、逆に「寮に残るための申請」を提出する必要がある。
     それほどまでに人数が減り、時に耳鳴りがするほど静まり返っている構内に対して、ナワーブはこれといった感慨を持たなかった――「帝国版図を広く視野に入れた学生を育成するため」というお題目から、毎年ごく少数入学を許可される「保護国からの留学生」である彼には、故郷に戻るための軍資金がなかった。それはナワーブにとっての悲劇でも何でもない。ありふれた事実としての貧乏である。それに、この時期にありがちな孤独というのも、彼にとっては大した問題でもなかった。毎年彼の先輩や、或いは優秀であった同輩、後輩といった留学生が、ここの“風潮”に押し潰され、ある時は素行の悪い生徒に搾取されるなどして、ひとり一人、廃人のようにされて戻されてくる様を目の当たりにしていた彼は、自分が「留学生」の枠としてこの学園に送り込まれることを知ったとき、ここでの「学友」と一定の距離を置くことを、戒律として己に課していたからだ。あらゆる人付き合いをフードを被ってやり過ごしていた彼にとって、学園での孤独はすっかり慣れっこだった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE象牙衣装泥庭二人とも怪我してるみたいで可愛いね🎶という趣旨の象牙衣装学パロ二次妄想(デモリー学院イベントの設定ではない)です
    可哀想な人(泥庭医 ※学パロ) 施設育ちのピアソンが、少なくとも両親の揃った中流階級以上の生徒が多いその学園に入学することになった経緯は、ある種“お恵み”のようなものであった。
     そこには施設へ多額の寄付したとある富豪の意向があり、また、学園側にもその富豪の意向と、「生徒たちの社会学習と寛容さを養う機会として」(露悪的な言い方になるが、要はひとつの「社会的な教材」として)という題目があり、かくして国内でも有数の貧困問題地区に位置するバイシャストリートの孤児院から、何人かの孤児の身柄を「特別給費生」として学園に預けることになったのだ。
     当然、そこには選抜が必須であり、学園側からの要求は「幼児教育の場ではない」のでつまりはハイティーン、少なくとも10代の、ある程度は文章を読み書きできるもの(学園には「アルファベットから教える余裕はない」のだ)であり、その時点で相当対象者が絞れてしまった――自活できる年齢になると、設備の悪い孤児院に子供がわざわざ留まる理由もない。彼らは勝手に出ていくか、そうでなければ大人に目をつけられ、誘惑ないしだまし討ちのようにして屋根の下から連れ出されるものだ。あとに残るのは自分の下の世話もおぼつかないウスノロか、自分の名前のスペルだけようやっと覚えた子供ばかり――兎も角、そういうわけでそもそも数少ない対象者の中で、学園側が課した小論文試験を通ったものの内の一人がピアソンだった。
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