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    omoti_022

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    omoti_022

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    七つまでは神のうち。後日談のような続きのような。
    尻切れトンボです。

    「そんな思い出があんのか、それ」
    「そうなんです」
    緩んだ表情を隠さず、暁人は肯定した。それから、酒の入ったグラスを一口。
    「友達に話すと夢じゃないかって言われちゃうんですけど、僕はそう思わなくて」
    「ほぉ…」
    「またあの人と会えるって思うんです」
    「会ったらどうするんだ?」
    「う〜ん……また、お喋りしたいなぁっては思います。僕もお酒飲めるようになったんで、お酒でも飲みながら」
    酒の力があってか、良く口が回る。
    サークルの飲み会で来たどこにでもあるチェーン店の居酒屋。酔いを覚ますために集団から外れていた所に、客のひとりが近付いてきたのだ。全くの初対面であったが、ベラベラと自分の事について話している。酒が入っていなければ、話はしなかっただろう。男も男で、暁人の話を興味津々に聞くのだから、気分の良くなった暁人は思ったことをそのまま口にする。
    「会いたいなぁ…」
    少し不思議な年上の友達。ぶっきらぼうで優しい人だった。あれから二十年程経ったから、もうお爺さんだろうなぁと思いを馳せる彼に、男が問いかける。
    「そんなに会いたいか?」
    「勿論」
    暁人は迷いなく頷いた。
    「そうか」
    返された言葉は喧騒に紛れていった。暁人も地に足がついていないフワフワとした感覚に、男の声はよく耳に入っていなかった。
    「あ、僕の話ばっかりですみません」
    だから、男にとっては興味のない話をしただろうと案じた。しかし、男は笑いながら酒を煽った。
    「いや、いい事が聞けてよかった」
    「え?」
    暁人は言葉の意図が分からず、思わず隣を向いた。


    男は笑っていた。周囲の熱気の含んだ喧騒と対象的な、冷涼な美しい笑みが自身に向けられていた。
    その笑みに見覚えがあった。途端、ぶわりと幼い頃の記憶が鮮明に鮮烈に、頭の中に広がった。いつまでも思い出すことの出来なかったパーツが揃っていく。


    あの、茹だるような夏の日。小鳥の囀りがこだまする森の中。真っ赤な鳥居と少し朽ちかけた社。出会ったのは歳上の不思議な友人。
    「け、KK…?」
    揃った記憶の中で、今も左腕に輝く真っ赤な数珠をくれた友人の顔が、隣の男と合致した。
    「な、何で」
    なにも分からない。何も分からなかったから、思わず後ずさる。
    そんな暁人を見て、男の、KKの表情に喜が乗った。
    「久しぶりだなぁ、お暁人くん」
    「お、あ?え、えぇぇ!!!???」
    「そんな喜ぶなよ」
    「だって、KK、え!!???」
    未だに混乱して、明確な文章を口にできない暁人。KKは落ち着けと暁人のグラスに酒を注いだ。
    「お前があの時、『離れたくなぁい』ってビービー泣いたからそれやったんだぞ」
    KKは暁人の左腕の数珠を指さし、茶化すように暁人の声真似を披露した。余り似ていない真似に、憤慨したと暁人は反論する。
    「ぼ、僕、そんな事言ってないよ!?」
    「いいや、言ったね。記憶力はいい方なんでな」
    自らのグラスにも酒を注ぎ、一口煽る。
    「で、これも言っただろ」
    「え?」
    それから、徐に煙草を取り出し火をつけ、一呼吸置いた後、ふーー…と白煙を吐き出した。

    「迎えに行くってよ」

    何処かで、水滴が落ちた音がした。
    KKに気を取られていた暁人の耳にも届いたが、周囲を確認する前に、目の前いっぱいにKKの端正な顔が近付いていて。

    「迎えに来たぞ、俺の嫁さん」

    腰にガッシリとした腕が添えられ、唇には少しざらついた柔らかいものが触れた。
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    32honeymoon

    DONE◆勝手にお誕生日お祝い企画◆
    @krsmbk 様の漫画「転生小学生Kと人生に疲れたリーマン暁」に触発されて
    書かせて頂いたものになります。
    (事後ですが許可は取りました!アヤコ様ありがとうございます!!)
    どちらも記憶アリ転生している設定。そしてやっぱりKが暁くん好きすぎるマン。
    毎度紆余曲折の末ハピエンに落ち着く話しか書けない奴ですみません。K暁を幸せにし隊隊員なもので・・・(定期)
    「君と世界を、もう一度この手に」 「―暁人!」
    不意に後ろからその名前を呼ばれて、僕は咄嗟に立ち止まってしまった。
    もう「僕」はその名で呼ばれた人物ではないのに。
    そして「彼」もまた、僕の記憶に残るその人ではないと、言うのに。

    「待てよ、暁人!!」

    どくどくと鳴る心臓を他所に、その声の主は走ってこちらに近づいてくるようだった。

    ああ、どうして見つけてしまったの。
    あの時とは違う、高いボーイソプラノが遠くから自分を、否、自分だったものを、呼んでいる。
    でも振り返りはしない。そう、人違いだと、そのまま諦めてくれたらー

    ぐい。祈りも虚しく、強い力で腕を引かれる。
    ああ、懐かしいな。あの時もそうやって僕の手を取ってくれたっけ。
    でも、でもねー
    もう僕は、あんたの知ってる僕じゃ、ない。
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