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    omoti_022

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    omoti_022

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    KKと疲れてヘロヘロの暁人。

    コンビニ飯自炊がめんどくさい。一人暮らしだったら誰でも1度は思う事である。食材を選ぶことすらめんどくさいし、洗い物など以ての外。台所にもたちたくない。等と思ってしまう日はある訳で。
    特に酷く疲れた日は、何もする気など起きないだろう。

    今日の暁人は、寝坊をして慌ただしく家を飛び出し、大学に登校した。
    寝坊した理由というのがレポート、課題の提出が重なっていたという事だったが、無事に提出出来たので良しとする。期限を被らせた教授に殺意は沸いたが。
    閑話休題。
    ホッと一息着いたのもつかの間。今度はゼミの準備、後片付けに駆り出され、昼休みが押した。三限目もあった為、落ち着いて昼食が取れず、午後の授業をやり過ごした。
    そして、放課後も課題のレポートに必要な文献を調べて図書館に籠り、帰路に着いたのは一般的に夕飯時と言われる19時頃。
    疲労からボロボロになりながらも腹を空かせていた暁人。思えば、今日は朝から満足に食事をとっていない。今になって主張してきた腹の虫が忌々しい。こっちは疲れているんだ。このまま寝たいんだ。
    けれど、日頃から大食漢な暁人に空腹は耐え難く、到底無視できなかった。それでも、身体の疲労も無視出来ず。
    そこでふと、視界に移ったコンビニ。何も迷わず中に入り、カゴを持って直ぐにデイリー品コーナーに足を運んだ。おにぎり、牛丼、変わり種のフェア商品等など。その中から自分の食べたいものをカゴに見境なく入れていった。財布の事情は、疲労と欲の前には無力。
    頑張った自分へのご褒美。と言い聞かせ、見境なく食べたいものを手に取る。ふと妹の事を思い出した、彼女の好物も手に取った。そして、カゴがひとつ、埋まる頃。
    「お前、それ全部食うのかよ」
    話しかけてきた男の声に隣を向くと、見知った男がペットボトル片手に立っていた。
    「KK」
    「おぉおぉ…疲れてんなぁ」
    「ん」
    最早返事をする気力もない。顔馴染み、否、恋人である彼に甘え、必要最低限の言葉を返した暁人。頭を撫でてきたKKにカゴを押し付けた。KKは素直に受け取り、ずっしりとしたカゴの重さに乾いた笑いを零す。
    相当な額になるのではないか。と危惧していると、暁人が戻ってきた。数個の冷凍食品をカゴに入れて。
    「……食えんのか?」
    「ん」
    KKに問いかけに首を縦に振り、レジに向かう。その後ろにKKも続き、レジカウンターにカゴを置いた。カゴに入った食品の量に、店員は少し驚いた様子だったが、直ぐにバーコードのスキャンを始めた。ピッピッと商品を読み込む音と店員の値段を読み上げる声を聞き流し、暁人はレジ横のフライヤーに目を向けた。
    KKはそれを見て悟る。
    こいつ、まだ買う気だ。
    「すみません。コロッケ2個、唐揚げ5個、アメリカンドッグ2本、焼き鳥塩5本お願いします」
    案の定、とんでもない量を口にした暁人に、店員はスキャンの手を止めて、一瞬呆けてしまった。
    「……え、あ、す、すみません。もう一度お願いします」
    コロッケ2個、唐揚げ5個、アメリカンドッグ2本、焼き鳥塩5本。を再度口にし、店員は必死に打ち込んでいった。そして、2人がかりでレジとフライヤーの詰め作業を行う。今、他に客が居なくて良かったと、シフトの店員は胸を撫で下ろしたのだった。
    それから、何とか全ての商品を袋に詰め終わり、KKが会計を済ませて店外に出た。その間、暁人は無言で、KKはそんな彼に仕方ないと寄り添っていた。

    夜風が冷たい。すれ違う人も少ない道を、二人で肩を並べて歩く。
    会話はなかったが、代わりにゴソゴソと袋からフライヤー商品を取り出した暁人。紙袋を外し、半分だけ出したコロッケにかぶりついた。
    サクッ。と衣の良い音が小さく鳴る。よく咀嚼し、飲み下す。甘いじゃがいもの味が優しい。
    「……KK」
    「あ?」
    「お金、ありがと」
    少量でも食べ物を口にした事で、暁人の活力が会話するまでは戻ってきた。そんな彼に、KKは笑った。
    「奢ったんだから全部食えよ?」
    「それは勿論」
    続けて一口、コロッケが暁人の口の中に消えていった。
    「KKも食べる?」
    差し出されたのは食べかけではなく、暁人が持つ袋。中には買ったフライヤー商品がまとめられているため、その中から選べという事なのだろうが。
    KKは袋ではなく暁人の腕を引き、食べかけのコロッケにかぶりついた。
    「あ」
    口の端に着いた食べかすを舌で絡め取り、小さく笑った。
    「こっちでいい」
    「……新品食べればいいじゃん」
    「丸々1個は腹にくんだよ」
    「おっさん」
    「歳とればお前もこうなるんだぞ、暁人くん」KKは茶化し、缶コーヒーを煽った。
    「でも、まだ僕には先だろ」
    「いや、急にくんだよ。老いは」
    「ふ~ん?」
    いまいちよく分からない感覚。自分にはまだまだ未知の世界だな。とコロッケの残骸を小さく纏め、コンビニの袋に入れた。それから、今度は唐揚げに手を伸ばす。
    「おい、帰る頃には全部なくなってんぞ」
    「大丈夫だよ、それぐらいあるし」
    そう言って、唐揚げを一口。ジュワリと溢れた肉汁に舌が幸せに包まれた。思わず、トロリと目を緩ませる。そんな彼に、KKはまぁいいかと甘い思考をしていた。
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