嘆く男今さらなことかもしれないし、今頃言ってどうするつもりだと思われても仕方がない。
竹谷は目の前に置いてある一枚の紙を前にして冷や汗をだらだらかいていた。
「そろそろ年貢の納め時だ」
「木下せんせぇ…」
「情けない声を出すな。どうしても必要な事だろうが」
「ですけど…」
しょんぼりと項垂れてしまった竹谷の頭を木下はわしわしと撫でる。乱暴だけれど、痛くない手の温度に泣きそうになった。
「そんな顔をしてもほだされんぞ」
「うう…」
「お前、哀車の術も修行が必要そうだな」
「そんなんじゃないです…」
もごもごと答えると、木下はトントンとある一文を指さす。
『五年生は全員参加』
「ううう」
「お前が毎年逃げ回るからだろう。嫌いではないのだろう?」
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