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    pippieen

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    pippieen

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    原作軸穴埋め解釈小説になる予定

    倉庫の話「みんな~!ちょ~っと聞いてよ、素敵な話があるんだよ~~♬」
    毛皮の付いた袖の中から腕を引き抜き、手のひらを外気に晒す。少し寒いな。作り出した朗らかな声と笑顔に、なんだなんだと探検隊を見送った村人たちが寄り集まった。興味を隠し切れない面々を見渡し、発案者の俺はコホンと一つ咳ばらいをする。
    「なんと!三日後の一月四日は我らが千空ちゃんの誕生日!ってな訳で、サプライズで贈りものを用意しちゃおっかなって考えてるんだけど、どうかな~~?」
    贈り物。サプライズ。千空の誕生日。コハクや金狼銀狼をはじめ、皆の顔に浮かんだ表情に、メンタリストは笑みを深める。期待通りの反応だ。
    「ハ!無論賛成だ!何を用意する?」
    「オッホ~!千空、お礼とかあんまり受け取ってくれないし、いいんじゃない?ワクワクしちゃうの~~!」
    「っていうか千空の驚いた顔見る大チャンスなんじゃない!?いっつも僕ら驚かされてばっかりだし、もうなんか、とにかくスッッッッゴイの仕掛けようよ!」
    「スイカも、千空のことびっくりさせたいんだよ!」
    もともと善良で好奇心が強く、仲間想いの村人たち、村長となって科学で様々なものを村にもたらした千空に一矢報いる、一泡吹かせる────いや、率直に恩返しって言えばいいか。恰好の機会を得たことへの喜びが外まで溢れている。
    ────ま、それだけじゃあないんだけど。分かってるのかなあ。千空ちゃん。
    察しが良く情に厚く、それこそ人を想う気持ちは誰よりも熱いが、責任も覚悟も独り背負い込むタイプの男だ。目の前で無邪気にはしゃぐこの人たちが、もし君が裏で暗い気持ちを抱えていたと万が一知ってしまえば、きっとひどく傷つくし、怒るぞ。
    肝心なところでいまいち機微を捉え損ねていそうな彼に「そこら辺」が伝われば。
    「そうか!さきほどマグマに何やら耳打ちしていたのは」
    「三日後の夜までには千空ちゃん帰らしてね~って」
    金狼ちゃんはなかなか良く見ている。そういえば、と氷月ちゃん襲撃時のことを思い出した。橋で一対一に持ち込んでたり、俺の言葉の裏読めてたり、風貌や性格は堅物だけど思考の方はかなり柔軟だ。
    「マグマにか……?」
    「だってホラ、クロムちゃんそういう隠し事ダメそうっていうか、挙動に出ちゃいそうじゃない」
    たしかに、と頷いたコハクちゃんが物騒なことを口走る。
    「口は堅いのだが、何分猿芝居になってしまうからな、クロムは……まだマグマの方がマシかもしれない。いざとなったら攫って来れるしな」
    「いや攫って来いとまでは言ってないけどね!?」
    「……だとしても、ヤツが素直に」「で、何で『夜までに』なの?クロムに探検行かせたらぜんぜん帰ってこないから?」
    訝しむコクヨウちゃんからの追撃をどう捌くか思案する前に銀狼ちゃんから助け船が来たので、ラッキーとばかりに飛び乗る。本題に話を戻せるし。作るまでもなく自然と口角が上がり、俺の唇は「それはね……」とプレゼントの中身を告げる。
    「棒」「円」「キョウ???」
    あ、これ言う方ちょっと楽しいね、千空ちゃん。
    いつもながら耳慣れない科学の単語にみんなの頭が一様に傾く。同じようには魅せられないが、3700年前の生き証人として、俺だって。……まぁロードマップとかないけど行ける!行けるはず!!多分!!!

    ────後から思えば、ジーマーで呆れるレベルの見切り発車だったのだが、幸いにしてうろ覚えの記憶は正しかったようで、門外漢の集まりでも、なんとか一日で望遠鏡が形を成した。カセキちゃんの技術力と、金狼ちゃんの眼鏡があったのが功を奏したし、なによりみんなの協力がすんなり得られたのがよかった。これも村長の人徳のなせる業。ヒュウ~~~!この人たらし!
    誰かの驚く顔を想像して、丹念に準備をする時間はすごく楽しい。……それは俺が最も詳しい感情だ。
    「で、どこに置いてくのだコレは?星を見るのに使うのだろう。木の上とかか?」
    「あ〜、そうねぇ……」
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    pippieen

    DONE10/16 TheROCK9の無配でした。

    ゲンが千空に惚れ込んでいる部分がよく目につくんですけど、千空もゲンのよき理解者たろうとしてるんじゃないかなと思います……感情、あるよ……ファンブックありがとう。

    当日の朝にコンビニのコピー機に並びながら書き上げる限界っぷり。しかしそれもまたイベント(ちゃんと準備せえ!)

    タイトルは映画「ゼロ・グラビティ」の、とあるシーンの台詞です。
    where you go, I go  ――それが、こいつにとっては盲点なんだろう。

     ***

     包帯はともかく、傷口に薬を塗り込むのなんか染みただろうに、ゲンは目を覚まさなかった。厚みのない胸がゆっくりと上下する様子からして、すっかり寝入ってしまっているらしい。うなされてはいないようだから、痛みというよりは体力気力的な問題なのか。案外タフで、何よりかっこつけなこいつも人の背中で寝落ちることがあるとは。

     ゲンの身に何が起きたのか。
     情報源は、「迷った」と、あちこちの傷、足の捻挫。まあなんとなく察しはつく。でも、起きたらこいつの口から吐かせようと思った。

     ゲンは自分の話をするのが下手だ――というと、不正確かもしれないが、なんというか、そういう部分がある。例えば「司とはテレビの特番で会った」と、たったそんだけのことを聞くにしても、意外なほど時間がかかったというか、思い返せば随分後になってからのことだった。
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