お母様と父彦と『ねぇ天彦、また皆さんを連れてくるのもいいし。歓迎するわ』
む?天彦と電話か。あの一件以来たまに連絡をとっていると聞いたが。
『あら、そんなことないわよ。賑やかでいいじゃない』
まさかまたあの6人を呼ぶつもりか!?天彦だけでも手に負えんというのに、ありえん、とんでもない!
『ねぇ、ウチの何がそんなに嫌なの?やっぱりお父様?』
やっぱりとはなんだ。そんなわけあるか。確かに天堂家の人間が定職にもつかずフラフラしていたら小言ぐらいは言うが、しかしそれも天彦のことを思って
『あぁそうなのね。天彦はお父様のどこが嫌なの?』
そうなのか!?天彦、そうなのか!?
『うん、うん、そうねぇ、うん……うん、あら天彦それは、うん……、あぁそうなの』
天彦がこの父に嫌なところ?聞いたことも無いぞ。
『うん……ええ?でもそれは、うん……』
天彦、父の嫌なところが長くないか?
『うん……そうね、それは母も思っています』
何をだ!?何を思っているんだ、二人して父のどこに思う所があるというのだ。
『うん……うんそうなのね、あのね天彦、一旦整理、うん……あらそうなの、それで?……うん』
父の嫌なところ止まらんなぁ!天彦お前そんなに喋れたのか。この間帰ってきたとき全部の会話合わせても父とは140文字も交わさなかったんじゃないか?
『あぁ、それわかるわ!そうなのよね、そーそーそー!そーいうところよね!』
何を盛り上がっているんだ。どういうところだ、父のどういうところが嫌だと言うんだ。天彦!
『え、それは天彦の思い違、何度も?そうなの?うん……あらら……うん』
だーいぶ父は天彦に嫌がられてるようだな。
『でもほら、そう、好きなところ!お父様の好きなところもあるでしょ』
おお!いいぞ、そうだ!天彦は父のどこが好きなんだ。
『うん、そうね。それで…………うん?他には無、あ、そうなの?えーっと、じゃぁその、さっき言ってた帰省の話に戻るけどね』
短いっ!天彦が好きな父の良いところあまりにも短くないか!妻がこの場にいない(と思っている)父に気を使って話題を変えている!天彦、そんなにか、そんなに父の好きなところが無いか。そうなのか天彦!
『うーん、わかりました!じゃぁ家の裏に鍬があったでしょ?それに使用人の佐藤さん、鈴木さん、山田さんにも言っておくから。それならどう?みんなに聞いてみてくれる?……天彦ありがとうー!母は嬉しいわぁ、うん、是非お願いね、楽しみにしてるわ。じゃぁね、セクシー!うふふ』
妻よ、鍬をどうするんだ?天彦は何に了承したんだ?佐藤と鈴木と山田に何を言っておくんだ?妻よ、天彦はくるのか?天彦が来た日、父はどうなってしまうんだ?
父彦は再び3日程寝込んだ。