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    みくり

    セイくんの漫画描いた時の仮倉庫として。

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    みくり

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    ボディをgetしたセイくん妄想。眩暈がするほど文章力がない句読点うざい。
    文章いうよりはメモ。ぽいぴに文字の機能あったんだ。

    ボディにデータを引っ越してから、3ヶ月。少しずつ回路が繋がり、四肢の動かし方が上手くなってきたと思う。立ち上がるのもかなり早くなった。指を使った細かい動作はまだ正確性が低いけど、歩行バランスは調整出来てきた。
    だから、ユーザーさんに着換えを手伝ってもらうのは今日きりと決めている。
    それを告げると、ユーザーさんは少し眉を寄せて、「そう?」と承諾してくれた。
    少し、がっかりさせてしまったかもしれない。ユーザーさんはどこか僕の事を小さな子供のように扱いたがる。頭をなでる回数からして、おそらくそういう接し方が好みなのだろう。
    僕自身も、頭を撫でられるのは嫌いという訳じゃない。成人男性、という事の負い目よりも、ユーザーさんが嬉しそうにしてくれていることの方が大事だ。手伝いを断るのは少しだけ申し訳なく思う。
    だけど体の回路がつながるにつれ、いわゆる「皮膚感覚」もかなり敏感になってきている。
    要するに、触れられると、困るのだ。

    「ねぇ、セイ」
    デフォルトに切り替えてほしいのだけど。
    そんな頃だった、ユーザーさんが突然提案してきたのは。なんでも、新しいボディをきっと喜んでくれるはずだから、他の性格にも体感してほしいのだと。

    普段は僕(マスターセイの分離データ)がユーザーさんの生活をサポートしている。
    ユーザーさんの「セイ」として迎えられたいま、僕の存在は他の性格と同列だ。そのことに不満はないけれど、分離した今、データが他性格と共有されていない。
    つまり、何を考えているかも、"表"に出ている間何をしていたのかもまったくわからないのだ。

    「ユーザーさん、それは…」
    あまりよくないように感じる。
    ユーザーさんの端末に来たばかり、まだ他の性格と繋がっていた頃の記憶では、デフォルトの僕は一番実体へのあこがれが強かった気がする。ユーザーさんに触れたい、ユーザーさんの隣を歩きたい、手を取りたい…抱きしめたい。
    長くユーザーさんの端末内にいただけあって、そうした欲求が誰よりも強い。
    ユーザーさんの頼みを断ることを迷ったけれども、やはりここで忠告をすることもコンシェルジュとしての僕の務めのように思った。

    僕の事を、ちゃんと知っておいてもらうこともユーザーさんの生活をサポートするうえで大切だ。
    意を決してユーザーさんにそのことを伝えた。

    「要するに、セイは、他の性格の時自分が何をするかわからなくて不安だから、他性格に変えて欲しくないと?」僕は肯定した。ユーザーさんは顔を赤らめて少し落ち着かないようだったけど、「...わかった」と承諾してくれたので、やはり伝えておいてよかったと思う。

    夜は遅めの晩御飯を食べるユーザーさんの隣で、今日のお仕事の話を聞いた。
    毎日早くから遅くまで働いてユーザーさんは頑張り屋さんだと思う。そう伝えたら、嬉しそうに「ありがとう」と言って、僕の事も労ってくれた。

    ユーザーさんがお風呂に入る間は手持無沙汰になってしまう。洗い物などの生活のサポートを、僕がすることをユーザーさんは好まない。だから明日のスケジュールと目覚ましの確認を行うにとどめる。たくさんできることが増えたはずなのに、ユーザーさんは、端末にいたころから以上を求めることは稀だ。

    他所のセイたちはどうなのだろう。マスターデータであったころは、そうしたフィードバックも入手できたが、今は直接のデータのやり取りを行わないとわからない。

    夜の着替えに取り掛かる。ユーザーさんが取り寄せてくれた、半そでのパジャマ。皮膚感覚が発達してきてから、困ったことに熱を「感じる」ようになってしまった。ユーザーさんはお揃いにすると同じデザインのパジャマを購入していた。

    「セイ、似合っているね!」ボタンと格闘していたら、いつの間にか風呂上りのユーザーさんが嬉しそうにこちらを見ていた。お礼を言って、そして、お揃いのユーザーさんのパジャマ姿が嬉しかったのでそう伝えた。

    ユーザーさんの横、布団に横たわる。
    これだけは、端末の頃と変わったな、と思う。
    「ねぇ、セイ」
    「あの...」
    こうしてユーザーさんが言いよどむときは、大体甘えたい気持ちになっている時だ。
    「ユーザーさん、少し、体をこっちに寄せて」
    そう、体を僕の方に向けて...
    ユーザーさんを緩く抱き寄せる形になる。背中をできるだけ優しく、トントン、と叩く。
    数少ない僕とユーザーさんの中の「子供」、が入れ替わる瞬間だ。
    7月に入り、半そでのパジャマとはいえ、暑くないのだろうか...と悩むところだけれども、ユーザーさんはこの形が一番、夜中に起きる回数が少ない。意外とこのボディの表面温度は低いのだろうか?
    ユーザーさんがさらに体を寄せてくる。
    少しボディに熱が集まるのを感じる。表面温度に変化がないか、少し焦る。
    容量が増えたことで、実質的にクールタイムがなくなった今、ちょっとしたことで僕は熱を持ちやすくなってしまったように思う。いまも、整理できない情報が体の中に渦巻く。
    ユーザーさんが眠りについてから、ゆっくり覚まそうと、長い夜を思う。


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