Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    周一周

    @amaneichika

    旧どつ書くひと
    https://www.pixiv.net/users/1901413

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 3

    周一周

    PROGRESS小説 ホラー ささらとろしょが事故物件に住むはなし カプタグつけてるけどnot腐な旧どつ 申し訳程度の謎解き要素も入れるつもり

    2022/04/30 ver0.1
    05/01 ver0.2
    05/19 ver0.3
    05/23 ver0.4
    12/11 ver0.5
    12/17 ver0.9
    恐い間取り花園北にあるそのアパートは、利便性のみを評価するなら最高の物件だった。大阪環状線が目と鼻の先にあり、路線を越え通天閣を過ぎると、そうかからないうちにミナミの繁華街へ行くことができた。大阪の中心地に近いにも関わらず、大国町を境に家賃相場がより良心的なものに変わるため、学生や、難波の劇場を根城とする芸人たちが、少なからずその周辺に住むことを選んだ。おまけにその賃貸は、近辺にある似たような間取りのどの部屋よりも、安い価格で借りることができた。

    そんな好条件を有していながら、しかし件(くだん)の物件は、長らく住み手の見つからないままでいた。理由はひとつ明白に、その物件には居住する際の「告知事項」が存在していた。5階建てアパートの最上階、10畳ワンルーム、風呂トイレ別、バルコニーあり、ロフト付き。小洒落た造りをしたその部屋にはかつて、都心の大学へ通う女学生が住んでいた。その人は大学三年生を迎える春に突如として連絡が途絶え、様子を伺いに田舎からやってきた両親が、ロフトの柵で首を吊っている彼女の死体を発見した。警察が彼女の身辺調査を行った結果、当時その女性と付き合っていた彼氏が消息を絶っているという不可解な事実が判明したが、二人の関係は特別悪くなかったそうだ。彼女は果たして自死か他殺か、また彼氏はどうして消えてしまったのか、どちらも決定的な手がかりを掴めぬまま、自殺という仮の結論のままその事件は処理された。そうするとすぐ部屋には特殊清掃が施され、人が住む前のまっさらな状態に繕い直された。西日の多く差し込むその部屋は、今もがらんどうの口を開け、再び誰かが出入りするのを待っている。
    14145

    related works

    recommended works

    みち@ポイピク

    DONE1/9インテのささろ無配。
    元ネタはロ`ノグコ→トダ〇ィ堂〇が後輩に配っていたアレです。
    宝くじを買わない俺ですが、いつの間にか宝くじに当たっていました。 大晦日前日の午前一時、盧笙はテレビで流れる深夜バラエティを見ながらテーブルに積まれたコピー用紙にはさみを入れていた。すでに空になった缶ビールと、食べ終わったピザの空き箱が片づけられないままにそこらに散乱している。盧笙が手にしたコピー用紙には、簓がボールペンで描いた招き猫が印刷されていた。それを線に沿ってちょきちょきと切っていく。隣で簓が切り取られた紙片に黙々と数字を書き込み、零はちびちびと持ち込んだ日本酒を飲みながら数字を書いた紙を束にしていく。
    「なんで俺らは夜中にこんなことしとんねん……」
     盧笙は文句を言いながらもはさみを動かし続ける。点けっぱなしのテレビには一昨年爆笑王で優勝した漫才コンビの初冠番組が流れていた。あんなに大きな賞を獲ったにも関わらず、まだ彼らは東京に進出するつもりはないらしい。関西ローカル局の深夜番組で身体を張ったロケをしながら、劇場で地道に漫才の研鑽を重ねている。その姿勢はとても好ましく、尊敬に値すると盧笙は感じていた。自分たちだったらどうしただろうか。もし爆笑王で優勝していたら、東京に進出して全国区の番組MCを目指してしたのだろうか。それともオオサカに残って漫才を続けていただろうか。きっと簓は劇場で漫才を続ける道を選んだだろう。簓は漫才がしたくてお笑いを目指したのだから。きっと、たぶん、隣に自分がいないから簓はMCや全国区の番組出演にも手を広げることを受け入れたのだ。今となっては考えても仕方がない選ばれなかった未来に、盧笙の心がちくりと痛む。
    10265