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    🐣🐑が可愛くて好きすぎるんだよな……

    ふーちゃんは本を読むのが好きだ。オレにはちんぷんかんぷんな難しい小説から今どきの漫画や、あまつさえ図書館にあるような図鑑に至るまでなんでも読む。いつだったかびっしり文字でページが埋め尽くされた何かの専門書を面白そうに読んでいた時もある、自他ともに認める本の虫ってやつだ。
    どうしてそんなにたくさんいろんな本を読むのか、以前に聞いたことがある。それは単純な疑問とちょっとしたヤキモチで。ふーちゃんのことをジャマしたくないけど、どうしたって触れたくて寂しい時がある。そんな時ふーちゃんは優しいからすぐ気づいて「おいで」って言って頭を撫でてくれるのがとても嬉しくて、ちょっぴり悔しい。
    ヒトにはない不思議な銀色をした瞳が向けられるのは文字の羅列じゃなくてオレであってほしいとか。硬くて赤い光沢を放つ指先がなぞるのは紙ではなくてオレの髪がいいのにとか。そんなガキみたいな我儘ばっかり出てくるのは、この人にだけで。ただの本にすら嫉妬してしまう大人になれない自分が嫌になる。
    そんなオレのくだらない質問に、ふーちゃんは迷うことなく答えた。そこに世界があるからだと。自分の出来ない体験、知り得なかった知識、那由多の果てに出会う“誰か”の物語。それをゆっくりと己の中に一文字ずつ落とし込むことが好きなのだと。
    アーキビストという職業病からくるものかもしれないんだけどなと恥ずかしそうに笑う彼に、やっぱり敵わないなとつくづく思った。好きなものを好きだと話す好きなひとは目を細めてしまうくらい眩しくて。だからオレは本を読むふーちゃんを見るのが好きだ。
    「ふーちゃん、飲みもの持ってきたよ」
    「ああ。ありがとうぴおちゃん」
    隠し味にブランデーを少し入れたホットミルクを渡しながら、すっかり定位置になった膝の上にごろんと頭を乗せる。ふーちゃん家のソファはでっかい相棒がいるからオレの身体も悠々と伸ばせるくらいに大きい。そんなふわふわモフモフのコーカシアンシェパードは今は暖炉の前で幸せそうにぬくぬくしている。
    「うん、美味い。ぴおちゃんは良い子だな」
    「ふひひ。もっとほめてほめて」
    「はは!good boi,good boi」
    耳に心地好い低い声とともにわしゃわしゃと髪をかき混ぜるように撫でられて、ぽかぽかとしたあったかい気持ちが胸に満ちていく。XSOLEILのみんなや他のセンパイたちといるときとは違う、特別な感情。荒れに荒れていた頃の自分を知っている人間が今の有様のオレを見ても、きっと同一人物とは思わないだろう。
    パチパチと薪が火に焼ける音。彼がつけているお気に入りだという香水の匂い。微かに聞こえるドッゴの寝息。静かな部屋に落ちるページを捲る音。時おり髪をいじる指先に穏やかな眠気が落ちてくる。
    なんでもないふたりだけの時間。一緒に騒ぎながらゲームしたりするのも好きだけどこういうのも幸せだなあと目を閉じてうとうとと微睡んでいれば突然おでこに触れた柔らかい感触。“それ”の正体に気づいた瞬間にはすぐに離れてしまって。
    「ふ!ふ、ふ、ふーちゃん、いまのって」
    「さあ。なんだろうな」
    すっかり眠気なんてどこかへ飛んでいって、じたばたと身体を起こして裏返った声で吃るオレはいま絶対にカッコよくない。でもそんなことをまったく気にしてられないくらい心臓がドキドキしていた。わざとらしくこてりと小首を傾げるふーちゃんの顔にはいたずらっぽい笑顔が浮かんでいて。いつの間にか閉じられていた本はサイドテーブルの上に置かれていた。
    するりと首に回る両腕。ともすれば互いの鼻先がくっついてしまいそうな距離に一気に頬が熱くなる。
    「ぴおちゃんがワルい子になるなら、教えてやれるかもな?」
    ずるい、なんて言えないまま僅かに紫色が映った眸がゆっくりと閉じていく。ふーちゃんとの初めてのキスは、ほんのり大人の香りのするミルク味だった。
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    TRAINING #Fukuma #Psyborg #Shugur

    結婚する👹🐑と片思いの🔮と👟の独白/女装有り
    ふちゃにただ黒無垢を着せたかっただけなのでパッションだけで書いた散文
    Lotus今日、ふーふーちゃんが結婚する。
    控え室のドアを二回ノックすると、向こう側から入っていいぞと声が返ってくる。いつもと変わらない大好きな声。ドアを開けるとそこには着付け前のふーふーちゃんが椅子に座っていて、真っ白な襦袢を着たその姿に言葉に詰まってしまったのを誤魔化すために微笑んだのだけど、上手く表情を作れていたかはわからない。
    オレはふーふーちゃんのメイクを任されている。オレじゃなくても他にメイクが上手いメンバーもいるし、なんならヘアメイクだって付けれるはずなのに、ふーふーちゃんは「浮奇にしてほしい」と言ってきた。嬉しくて、でも少しだけ残酷だなって思ったのは内緒だ。
    ふーふーちゃんの肌は人形みたいに真っ白だから、余計なものは必要ない。化粧水と乳液をぱぱっとつけてあげて、下地を塗ってから薄くファンデーションを伸ばしてあげるだけで充分だ。オレなんかいっぱいスキンケアしてるのに、本当に羨ましいったらない。ぱたぱたとパフでお粉を叩いたら、次はアイシャドウ。どの色にしようか迷って、やっぱり赤かなと手に取る。赤はふーふーちゃんと、あいつの色だ。
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