ゴムの日走り書きゴムの日走り書き K暁
「暁人、これやる」
「なに?」
友人から小さな紙袋を渡され、中身を見ようとしたら止められた。
「帰ってからのお楽しみにしろ。貰い物だが、俺には必要のないものだ」
「え、貰い物をもらうの嫌なんだけど」
「まぁそう言うなって。どうせ今日も帰れば彼女がいるんだろ?仲良くしろよ」
「はぁ?どういう意味?」
何の意味もわからず、ニヤニヤする友人を小突いてみたものの答えは得られず、言われた通りただ持ち帰りKKに渡した。
「そういうことでこれもらったのか」
「うん、それなに?」
「端的に言えばゴムだな」
「……はぁ、アイツ」
「まぁそう怒ってやるなよ、悪くないんじゃないか?」
スマホでそのスキンのレビューを見ているらしいKKは、どうやら機嫌がいい。KKの機嫌がいいってことは僕にあんまりいいことないんだけど。
「何か特別なものなの?」
「んー、使う前に教えてやるよ。まずは飯食え、風呂入れ、話はそれからだ」
ぽいっとベッドに投げられたそれのことは一度頭から外して、目の前に出された作ってもらった夕飯に向き直る。どんな時でもご飯は美味しい。うん。
楽しく喋りながらご飯を食べて、珍しくバスクリン入りになっていたお風呂にのんびりと入って、それのことなど忘れていた。僕がその存在を思い出したのは、KKの手でこれでもかってほどイイトコロばかり触られすぎて前後不覚になってからだった。
「お前の友達、早漏か?」
「は……え?なに、え?」
「これなぁ」
ピッと開けられた風の中から出てきたのは潤滑ジェルでテカテカのスキン。違和感はある、何か特別なものなのだろう。
「極厚、って有名なメーカーだ。早漏の対策商品としても人気らしいぞ」
違和感の正体はその透けなさ、か。なんて呑気に考えている場合じゃない。早漏対策?!
「え!まって、それKKがつけちゃダメ!」
「は?なんでだよ」
ただでさえ遅漏のKKにそんなのつけられたら僕の身がもたない。もつわけない!
「なんでだよ、ほら、言ってみろよ」
ニヤニヤとしながら足を撫でられる。それだけで背中が落ち着かなくなるくらい高められているのに、ここからそんなのつけていっぱいされたら……それはそれでいいか。うん、たまにはそんな日があってもいいかもしれない。
「いや、今日はそれでしよう、僕も楽しむことにした」
「前向きだな」
「だって、優しくしてくれるでしょ?」
「そう言われちゃ、するしかねぇなぁ」
もう一度キスをしてから、しっかりと巻き下ろされた半透明のそれ。あーあ。
「今日はいっぱいしような」
「体力もつの?」
「泣き言言うまでやめてやらねぇからな」
煽り合い笑い合い、そこから始まる快楽地獄なんてその時の僕は知る吉もなかったんだ。
「で、どうだったよ」
「あのなぁ。あ、お前早漏なの?」
「は?ちげぇし」
「あっそうなんだ」
「信じてねぇな?」
「うん」
ニヤニヤしながら寄ってきた友達には話題をずらしつつ回避を試みる。言えるかよ、自分の出したものでドロドロになるまで抱き潰されました、なんて。
「ま、使ってくれてありがとな。それこそ俺には要らないもんだからさ、使う相手もいねぇし、ソロプレイにも要らん」
「今度極薄プレゼントするよ」
「要らん!」
「じゃあTENGA?」
「それは要る。でも貰い物だから気にすんなよ」
「あー、まぁ、結果的に気に入ってくれたからお礼?みたいな?」
事実、僕もKKも長い時間興じることができるってのは利点があって……体はかなりしんどかったけどその分いっぱい可愛がってくれるから、それはそれで僕としては嬉しかったのだ。KKにも内緒だけど、まぁバレてるだろうけど。あと疲れてきてからやっと達したKKがめちゃくちゃえっちだったからまた見たい。そういう発見があったってことも含めて、まぁちょっとしたお礼くらいしてもいいでしょ。
「暁人の彼女はロングプレイがお好きか」
「やめろ」