第3話、主山姥切国広side
写に相応しい主だと思った。
それと同時に
「なん、、負けたん?」
これは人では無いのではとも思った。
「こんのすけやっけ。負けたんやけど、良ええん?」
大怪我を負った者を目の前にして、目の色を変えずたんたんと足元に居る狐に話し掛けていた。
「問題ありません。これも経験です。これから彼を手入れして頂きます。」
「あね。なるほど理解。」
こんのすけと呼ばれた狐の後ろをついて行く主。
俺も慣れない人の身を動かし、痛む傷を庇い、流れる血を抑えながらついて行く。
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「このまま…朽ちてても構わなかったんだがな……」
「それは色々面倒臭いから辞めて。」
たんたんと、ただ作業として。
しかし、それで構わないと思ってもいた。
所詮は写。
俺にはこれが似合いなのだと。
「次は刀装を作り、仲間を増やして再戦です。」
「はーい。やって、頑張れ。」
この人の身をした人を。
人の目をしていない人間を。
「あぁ…」
…だがこんな主だとしても、
やはり人の手の温もりは刀だった頃と変わりなく、心安らぐものだ。