審神者が審神者となった理由、2話山姥切国広 目線
主が来て数ヶ月が経った頃、
「審神者様にのみ、お伝えしたいことなので。」
そう言われ部屋の外へ締め出されてしまった。そしてご丁寧に防音の術まで。
「どうしたものか…まぁ、写しが出来ることなどたかが知れてるがな…」
近侍としてあまり主の傍を離れる訳には行かない。となると襖の前で大人しく主が出てくるのを待っているしかない。
「…………」
襖を背に、何故かこの数ヶ月を振り返っていた。
本当に人なのかと疑ってしまうほど冷たく、暗い目をしていた主。そんな主と過ごした数ヶ月、皆とすれ違い一時はどうなるかとも思ったが…蓋を開ければ臆病で不器用な主なのだと分かった。
そしてそんな主を持つ自分達も似てしまっていた。
故に、分かってしまえば、触れてしまえば、慣れるのは早かった。
「…ん、、」
考え込んでいると、夕餉の良い香りが鼻をくすぐる
「今日の夕餉は兄弟か。これはあれだ、”かれー”だな。」
早く話し合いが終わればいいが…でないと腹が鳴ってしまうかもしれん。
…そんな願いは届かず、未だに襖は閉ざされ主が出てくる気配はまだ無い。