宴会執事⚰️×黒刺🏈の話②翌朝、隣でまだぐっすり眠っているエリスさん。
その寝顔を見てから身支度を始める。
それからエリスさんが朝とお昼に食べるようの食事を用意する。
食事なんて作るのも食べるのも面倒だと思っていたけど、エリスさんが食べているのを見るのは幸せだし、美味しいと食べてくれるエリスさんを思い浮かべて作る料理は楽しい。
これがエリスさんが来てからの日課だ。
毎日、朝が来るのが憂鬱だった。
でも今は、目を覚ますのが楽しみで仕方がない。
エリスさんを見れるのだから。
今日もエリスさんはどんなに可愛いんだろう。
どんな幸せを僕に与えてくれんだろう。
そう思うと胸がいっぱいになる。
⚰️「行ってきますね。エリスさん♡」
そう小さく言い、エリスさんの頬にそっと触れた。
⚰️「お先に失礼します。お疲れさまでした。」
「お疲れさま~」
人通りの少ない場所まで着て、そっと携帯を取り出す。画面の中のエリスさんの様子を窺うと布団にくるまっていた。
ああ、可愛い。愛おしい。ただ布団に入っているだけなのにエリスさんがするとなぜこんなに可愛いのだろう。
緩んでしまう口元を隠すようにして帰宅路を急ぐ。
すると朝は無かった張り紙を見つけた。
「私達の仲間を探しています。見つけた方はご連絡ください。電話番号。○○-○△○-✕✕」
⚰️「ーーーーー。」
家に帰り、エリスさんが居る部屋の前で身だしなみを整える。
⚰️「よしっ…エリスさん、ただいまです♡」
🏈「っ…っっ、はぁはぁっ!」
僕が声をかけ部屋に入ると、中に居るエリスさんは呼吸が荒くなっていた。
⚰️「えっ……」
彼の異変に落ち着きを保てなくなってしまう。
なぜだ??店を出る時、カメラで確認した様子は普通だったのに!
落ち着け、僕がなんとかしないと、エリスさんは過呼吸になっている様子だ。だから袋、いや今は水か?
⚰️「エリスさん!今っ、お水をご用意します!」
急いで水を取りに行き、今きた廊下を走って戻る。
🏈「ゲホッ、はぁっ!」
⚰️「ゆっくりとお飲み下さい。」
エリスさんの背中をさすりながら水の入ったグラスを手渡す。
🏈「んっ…ケホッ、げほっ…」
震える両手でグラスを掴み、受け取ってくれたのはいいものの、うまく飲めずに水は零れてしまう。
このままではまずいと思った僕は、エリスさんの持っているグラスを取り、中の水を口に含んだ。
そのままエリスさんの口へ水を運ぶ。
🏈「…んくっ…はぁっ、はぁはぁ…はっ、ケホッ…」
先程よりも落ち着いた様で、僕の思考もまとまってきた。
⚰️「ゆっくり、深呼吸をしてみましょうか。僕が十秒程数えますから、ゆっくり息をお吐きください。一…二…三、」
🏈「げほっ、かひゅっ…けほっ」
⚰️「大丈夫、大丈夫ですよ。何度でも数えますから、では最初から一、二…三、四、五…六、七、八…九、十…」
🏈「はぁーっ、はあっー……っ」
⚰️「そうです。上手ですよ。」
🏈「ふーっ…ふーっ………」
エリスさんの呼吸が落ち着いてきた頃、僕もやっと気を抜くことができた。
焦っていたから気づかなかったが、抱き締めた状態で介抱をしてしまっていた。
⚰️「また帰ってきたばかりなのに抱きついてしまいました。すいません。寒くないですか?」
そう聞いて近くにあった布団をエリスさんの肩にかけた。
🏈「ありがとう…あんた……もしかして良いやつ、なのか…?」
⚰️「?今まで、エリスさんにとっての僕は悪いやつだったのでしょうか?」
🏈「い、や………まぁ?」
⚰️「うーん、そうなんですね。まぁ、いいです。何か暖かい飲み物でも持ってきますね。」
僕が立ち上がろうとした時、エリスさんは僕の服の裾を少し引っ張った。
🏈「……もう少し、ここに居てくれ…な、いか?」
⚰️「勿論いいですよ。貴方の気が済むまで、いえ、一生側に居ますよ…♡完全に落ち着いたら一緒にお風呂入りましょ♡」
🏈「ああ…ありがとうな」
⚰️「いえいえ…♡」
ああ、甘い甘い…甘いものは苦手なはずなのに、貴方に会ってから知らない僕に沢山気づく。
大好きです。僕のウィリアム・エリス。
「なぁ、この間さカンフー?異国の装いで訪ねてきた人って知ってるか?」
「ああ、あの旅の人か確か、ウィ✕✕ム・✕リ✕って名乗ってたな。いや派手な客だったし覚えてるよ?それがどうした?」
「街で行方不明のチラシが出てんだよ。写真があったから間違えないよ」
「うーん…でもな旅人なんか戸籍とか探しても出てこねぇだろうし、見つかんないんじゃないか?」
「イソップ、何か知ってるか?」
⚰️「いえ、残念ですが。何も…」
「そうだよなーお前外出しないらしいし」
⚰️「はい、全く知りませんね。」