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    たすけて

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    たすけて

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    昔お世話になった探偵に会いに来た若モリくんの若モリホム

    ホープレス捜査の過程で、誘拐された子供を助け出すことに成功した。救い出した子供の情報により、誘拐犯を追い詰めることは容易だった。かくして、おぞましき誘拐犯はスコットランドヤードへと身柄を引き渡す事となった。
    子供の両親からはひどく感謝され、何度も涙ぐみながら礼を述べられた。
    という数年前の事件のあらましを被害者であった当時子供であった青年から説明を受ける。ニコニコと人好きのしそうな笑みを浮かべながら、彼は親しげに私に接する。
    「あの時のあなたの推理は素晴らしかった! あなたがいなければ、今の僕はいなかったでしょう」
    「そうかい」
    正直、忘れていた事件に対して熱く語られても、なんの感情も湧くことはない。私の中では終わった事件なのだ。
    当時子供だった少年は青年へと成長し、何故か私に会いに来た。何故このタイミングで? と疑念が湧く。
    「礼を述べるためだけに私に会いに来たのかい?」
    私の探偵としての勘が違う、と告げていた。この人好きのしそうな好青年に見える男は油断ならないと直感している。笑みを浮かべているはずなのに、その瞳の中に捕食者のような鋭い視線が入り交じっている。
    腰掛けていた椅子から立ち上がり、彼が目の前に立ち塞がる。警戒心を抱きながら、足を組み直し彼を見上げる。漆黒の瞳の中にどろりとした醜い感情が宿っていた。先程まで、椅子に座っていた好青年の姿は消えていた。
    「やはりあなたは素晴らしい。私が出会ったものの中で一等、美しい」
    「有難う、と言うべきかな?」
    彼を見上げながら、じっとその表情を見つめる。彼がふっと息を吐き、背もたれに手を付く。距離がグッと近づく。目と鼻の先に彼の顔がある。
    「.......未来ある教授がする行為ではないのでは?」
    「さすがです、名探偵殿」
    忠告してみるが、彼が離れることは無い。
    「ある計画があるのですが、その下準備がようやく済みそうなのです。下準備が済んでも、今度は資金調達に走らねばならないのですがね」
    するりと頬を撫でられ、無意識に体が後ずさるが背もたれがあり、上手く動けない。
    「きっとあなたを楽しませる」
    耳元でそう囁くと、彼は呆気なく体を離し、私の手の甲に恭しく口付ける。
    「私を刻みつけて、シャーロック・ホームズ」
    取り返すように手を引っ込めれば、そこがいつまでも熱を持っているようで辟易する。
    嗚呼、捕らわれた、と私はようやく理解したのだ。
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