朝までそばにいて「モリアーティ?」
彼のために用意したソファで読書をしながら、居眠りをしているなとは思っていた。しかし、穏やかな寝息から呻き声に変化していた。眉間に皺を寄せ、どう見ても魘されている姿に胸が締め付けられる。早く解放してあげねば、という気持ちが募る。
「モリアーティ!」
強く肩を揺さぶれば、憔悴した表情を浮かべた彼がゆるゆると瞼を開ける。
「……どうしたの?」
小刻みに震えている姿は、何かに恐怖している様だった。眠る前はいつも通りの彼だった。では、なぜ? 夢? しかし、サーヴァントは通常、夢を見ないはずだ。
掌で顔を覆ったモリアーティが、ボソボソと零す。
「滝だ……瀑声が、……私を殺す物の音がする……ちがう、ぼくじゃない……ぼくはその経験をしていない……」
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