朝方のぷおふと目が覚めるとベッドに一人だった。昨夜は愛し合った後一緒に風呂に入り、そのまま彼を抱き枕代わりに眠りについたはずだ。しかしその彼はいない。閉められたカーテンから漏れる光はまだ強くはなく、端末を手繰り寄せ時間を確認すれば午前5時。起きるにはまだ早い。予定がなければ尚更だ。
寝返りを打ち見慣れた室内を見渡すと、昨夜俺が丁寧に外し壁に立てかけた義足もそこになかった。家用の軽く負担が少ない彼の脚は付け外しも容易で、寝ている間にするりと抜け出て行っても気が付かないことはままある。トイレか、はたまた日課のランニングだろうか。眠りに落ちる前、彼はベッドで微睡ながら走りに行くのは無理そうだなと口にしていたが。彼が寝ていた場所のシーツに触れればまだ僅かに温度が残っていた。出て行ってからそれほど時間はたっていないはずだ。覚醒しきらない頭で上体を起こし、静まり返った室内で耳を澄ますも気配はない。残された彼の温もりを閉じ込めるように握りしめると何故だか無性に寂しい気持ちになった。
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