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    nakanecoco

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    nakanecoco

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    雇い主オクと従者3人。オリプトもぺくすも存在しているアース。
    ゆるゆるほんわかな世界線でただただオクが幸せになってほしい人間の都合の良い妄想。

    セコムスーツ組まだ外は薄暗く、日が昇る前の空気は汗ばんだ体にはひんやりとしていて気持ちがいい。欠かさず毎日行っている日課のランニングを終え、身体が冷えないうちにそそくさと家に帰った。
    マンションのエントランスには、いつものように緑のスーツを纏った男が一人、見慣れた光景。近づけば、俺の首にかかっていたタオルがするりと抜かれ、慣れた手つきで洗濯されたふわふわの白いものへと取り替えられた。

    「サンキュ」

    礼を口にすればふわりと優しく笑む男。そうしてタイミングよく開いたエレベーターに一緒に乗り込んだ。偶然ではなく必然だということにはもはや触れない。こんな早朝にエレベーターを使う人間だってそう多くないんだし、少しぐらい独占したって何の問題もないだろ。デバイスで覆われた指先で押された最上階のボタンが点灯する。彼は俺のほうへ向き直り、先ほど首にかけたタオルで優しく俺の首筋から顎、耳の後ろへとなぞるように汗を吸わせていく。そうしてたどり着いた後頭部全体を覆うようにして、わしゃわしゃと、だけど優しく、労るように拭った。

    「ん、」

    両側から包まれて少しくすぐったい。そんな俺をまっすぐ見つめたまま男は緩く笑った。身長差はさほどないはずなのに、体格の差からか、扉を背負った男にすっぽり覆われてしまったように感じる。タオルの端で前髪の生え際をとんとんと数回、叩くように汗を吸わせると、程なくして到着を告げる音がなった。

    エレベーターホールから通路に出ると、玄関の扉を閉じないよう片手で抑えた赤い男が見える。これも、いつもの光景。

    「おかえり」
    「おう、ただいま」

    額にキスを落として向かい入れられる。以前、汗かいてるからと拒否しようとしたら「何か問題でも?」と不満げにされたので、それ以来好きにさせてやることにした。緑と赤の二人の男を連れて自宅に入り廊下を進む。俺はリビングへは行かず、そのままシャワーへ。脱ぎ散らかした服は彼らが片付けてくれるだろう。汗を流し終えて扉を開けるとやはり綺麗さっぱり片付けられていて、代わりにバスタオルと下着、Tシャツ、ハーフパンツと着替え一式揃えられていた。仕事が早くて助かる。バスタオルを手に取り顔をうずめると、僅かにフローラルの香りが鼻腔を抜ける。いつもと同じ洗濯洗剤。俺の家の匂い。ゆるりと口角があがる。顔を上げ、全身の水分を雑に拭って下着を履いた。早く朝食をとりたい。Tシャツに手を伸ばしたところで扉の音がして顔を向けると、これらを用意したであろう黒い男が入ってきた。彼はあっという間に近づくと俺の手からバスタオルを攫って、くるりと反転させた背中を優しく拭いていく。

    「背中が濡れている、ちゃんと拭いてから服を着ろ」
    「はいはい」

    小言を言いながらもその手つきは壊れ物を扱うように優しい。そのまま服を着せられ椅子に座らさられると義足も外された。頑丈で、ちょっとやそっとじゃ壊れない、無機質な鋼鉄の脚。俺から離れていても、俺の体の一部として労わるように、丁寧にタオルに包まれていく。むず痒い気持ちになりながら彼を横目に、持ってきてくれていた家用の軽いものを装着する。ぐう、と腹の虫が鳴いて、黒い男が僅かにほほ笑んだ。

    「朝食にしよう」

    彼は義足を抱え扉を開けると、促すように一歩引いた。こういうスマートなちょっとした動作が、この男たちは本当に良く似合う。リビングへ着くと、くつろいでいた緑と赤の男が、嬉しそうにテーブルへと集まってくる。

    「オク、今日は何時に帰ってくる?」
    「んー、多分ゲームが終わったらそのまま帰ると思うぜ」
    「連絡をくれないか、迎えに行こう」
    「いいよ別に、ガキじゃあるまいし。それに今日はいつもより終わるの早いからさ」
    「確かに心配しているのもあるが、時間帯は関係ない、俺が早く会いたいんだ」
    「ふはっ、本当俺のこと好きだな?」
    「そうだ、だから迎えに行かせてくれ」
    「あーでも、エリーが店来いって言ってたんだよな、明日オフだし行くかも」
    「チッ……あのおっさん」
    「オクタビオ、今日はお前の好きなものを用意するよ」
    「おいおいおい、そんなに嫌か!」
    「正直なことをいうとあの胡散臭い男がお前を視界に入れていると考えるだけで虫唾が走る」
    「JAJA!すげー嫌われようだな!!?」
    「可愛いお前が心配なんだ」

    会話をしながら赤い男が引いてくれた椅子に座り、黒い男が作ってくれた目の前の料理によって自然と唾液が出て、緑の男が注いでくれたグラスの水を煽った。

    「まだわかんねーけど、決まったら連絡するから」

    ほら、と促すと、三人とも渋々といった様子で自分たちの席に着く。各々希望は伝えてくるが、俺の気持ちは何があっても絶対に尊重してくれる。雇い主とその従者、当然と言えばそうだが、俺はこいつらのそういうところが好きだ。

    「ヤト、デビ、ファジ」

    黒赤緑と順に名前を呼んで視線を合わせる。緩く首を傾ければ、小さく息を吐く者と、唇を尖らせたまま視線を逸らす者、そして困ったように微笑む者と、三者三様の反応。可愛いかわいい俺の従者。ごめんな、明日はオフだし、ちょっとぐらい遊んできてもいいだろ?ちゃんと日付が変わる前には帰るからよ。





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    nakanecoco

    MEMO雇い主オクと従者3人。オリプトもぺくすも存在しているアース。
    ゆるゆるほんわかな世界線でただただオクが幸せになってほしい人間の都合の良い妄想。
    セコムスーツ組まだ外は薄暗く、日が昇る前の空気は汗ばんだ体にはひんやりとしていて気持ちがいい。欠かさず毎日行っている日課のランニングを終え、身体が冷えないうちにそそくさと家に帰った。
    マンションのエントランスには、いつものように緑のスーツを纏った男が一人、見慣れた光景。近づけば、俺の首にかかっていたタオルがするりと抜かれ、慣れた手つきで洗濯されたふわふわの白いものへと取り替えられた。

    「サンキュ」

    礼を口にすればふわりと優しく笑む男。そうしてタイミングよく開いたエレベーターに一緒に乗り込んだ。偶然ではなく必然だということにはもはや触れない。こんな早朝にエレベーターを使う人間だってそう多くないんだし、少しぐらい独占したって何の問題もないだろ。デバイスで覆われた指先で押された最上階のボタンが点灯する。彼は俺のほうへ向き直り、先ほど首にかけたタオルで優しく俺の首筋から顎、耳の後ろへとなぞるように汗を吸わせていく。そうしてたどり着いた後頭部全体を覆うようにして、わしゃわしゃと、だけど優しく、労るように拭った。
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