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    はじめ

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    はじめ

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    突如として面あたにはまりました。
    くっつきそうでくっつかない二人が好きです。とはいえ何かの拍子にくっついてしまいそうな雰囲気も纏わせていたらなお良いです。

    #面あた
    face

    触れられない よりによって教室のロッカーに閉じ込められるとは思わなんだ。ラムのやつから逃げるために自ら選んだ場所とはいえ、まさか掃除用の箒の柄が取っ手に引っかかるとは予想外だ。押そうが引こうがロッカーの扉はうんともすんとも言わない。こうなりゃ誰かが気付くまでここで待つしかなかろう。
    「…はあ、ほんっとついてない」
     あからさまにため息をつきながら狭いロッカーを見上げた。予定では今頃ガールハントを楽しんでいる頃だったのに。あまりにも窮屈な空間にたまらず身じろぐと、すぐ隣からはっと息を飲む声が聞こえた。さらにはぐすぐすと鼻をすする音が続く。
    「………泣くなよ、暑苦しい」
     呆れたように呟けば、面堂がまた泣き言を言った。
    「…ぐす、だって」
     男の泣き顔は見ておれん。天を仰ぐ勢いでのけ反り、面堂の鼻先をつまんでやる。
    「だってもくそもあるかい。ええい寄るな鬱陶しい」
    「…だって…暗いよ狭いよ怖いよぉ…」
    「だあっとれ! お前の泣き言を聞いとる場合ではないんじゃ!」
     大声を上げれば上げるだけ暗所恐怖症かつ閉所恐怖症には酷なようで、汗ばんだ素肌をぎゅうぎゅうに押し付けてくる。制服の裾と裾が擦れるたびに、艶っぽいような埃っぽいような、なんとも形容しがたい匂いがした。
     ああ、このままでは、のぼせてしまいそうだ。
     ロッカーの隙間から僅かに挿しこむ光を指差すと、僅かながら面堂が気力を取り戻した。
    「ひ、ひかりだ…」
    「おう、そうだ、早くここから抜け出そうぜ。ところで面堂、この状況そろそろどうにかできんのか。一体全体お前の取り巻きは何しとんるんだ。次期当主のピンチに助けに来んで、なあにが部下だ」
    「…うっさい! ほんとにお前は口の減らんやつだな、たたっきっちゃる」
     どこからともなく取り出した刀を目の前に突きつけられる。こんな狭いところで、よおやるわ。どうせ切る気もないくせに。本当に切りつけられたところで、お前の真剣なんぞ、いつだって白刃取りしてやる。
    「…ほお、良いのかぁ? 俺が死んだらお前、この暗くて狭ぁいところで一人きりになるんだぞ?」
     睫毛が触れてしまう距離、くちびるが重なりそうなほど近くで煽り立ててやると、予想通り面堂は自分の置かれた立場を思い出したようだった。暗くて狭くて怖いと怯えながら、腕にしがみついてくる。暑いロッカーのなかで、指先が触れる。こっちだって、暗いし狭いし怖いわ、こんな距離で、お前と…。
    「………お前はロッカーにでも閉じ込められんと、俺に触れんのか…」
     呆れたように呟いて、面堂の頭に顎を乗せると、下から間抜けな声がした。
    「いま、何か言ったか?」
    「…いんや、なぁんにも」
     ラムの電撃によってロッカーが破壊される、五秒前の話。
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    はじめ

    DOODLE面あた
    名前を呼べばすっ飛んで来る関係。

    あたるくんの「面堂のばっきゃろーっ」を受けて0.1秒ですっ飛んでくる面堂くんも、呼べばすぐに来るって分かってる確信犯なあたるくんも大好きです。
    恋より淡い 校庭の木々の葉はすっかり落ちて、いかにも「冬が来ました」という様相をしていた。重く沈んだ厚ぼったい雲は今にも雪が降り出しそうで、頬を撫でる空気はひどく冷たい。
     期末テストを終えたあとの終業式までを待つ期間というのは、すぐそこまでやってきている冬休みに気を取られ、心がそわそわして落ち着かなかった。
    「――なに見てるんだ?」
     教室の窓から校庭を見下ろしていると、後ろから声を掛けられた。振り向かなくても声で誰か分かった。べつに、と一言短く言ってあしらうも、あたるにのしかかるコースケは意に介さない。
    「…あ、面堂のやつじゃねえか」
     校庭の中央には見える面堂の姿を目敏く捉え、やたらと姿勢の良いぴんと伸びた清潔な背中を顎でしゃくる。誰と話してるんだ、などと独り言を呟きつつ、あたるの肩にのしかかるようにして窓の桟に手を掛けている。そのまま窓の外の方へと身を乗り出すので危なっかしいたらありゃしなかったが、落ちたら落ちたときだ。
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