Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    あまや

    ⚠️閲覧ありがとうございます。こちらは店じまいして、ベッターへ移行予定です。ゆるゆる作業進めるのでもうしばらくお付き合いいただけると幸いです

    CP混在。タグをご活用ください
    リアクションありがとうございます☀︎

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 56

    あまや

    ☆quiet follow

    SSS/凪茨
    ⚠︎パラレル/アイドルしてません/日本でもなさそう。ADV的な雰囲気です

    ##凪茨

    閣下は失われた言葉を探して旅をしている。
    随分昔に住人のいなくなった雑草の繁茂する村を片っ端から検分したこともあるし、大都市の巨大な図書館に朝から晩まで引きこもって古文書を読み解いたこともある。戸籍を辿ってかつてその地域に住んでいた人間を探し当てレクチャーを受けたこともあったし、何日もかけて洞窟の壁画を模写したこともあった。
    閣下は言語学者でもなんでもないけれどその独自の研究結果については世の研究者たちも一目置くほどで、時おりフィールドワークに同行しないかと誘われることがあった。そういう時は誘ってきた偉い先生の連れがごまんといて手となり足となり働いてくれるし、バックの立派な研究所が資金も寝食も確保してくれるから助手兼サバイバル担当の俺の出る幕は少ない。だから俺はその空き時間を有効活用して、いつまで続くかわからないこの旅の軍資金集めのために、街でバイトをしたり出版社に閣下の著作を売り込んだりすることにしている。印税は部数がはけなければいうほど儲からないこともわかった。
    「お帰りなさい」
    「……ただいま」
    「どうやら今日は振るわなかったようですね」
    先生が準備してくれた野営地で出版社とのウェブミーティングを終えたタイミングで閣下も調査から戻ってきた。その顔がなんとなくしょげているように見えて苦笑しながらそう投げかければ、茨は私のことがなんでもわかるんだねと微笑まれた。
    「私は未だに君の言葉を理解できないというのに」
    「別にいいじゃありませんか」
    「ううん、良くない」
    きっと大事な言葉なんだ、ともう数えきれないほど聞いた返事が返ってくる。
    「私は知りたい、あの時、茨が私に伝えたかった言葉」
    閣下は失われた言葉を探して旅をしている。
    それは俺が忘れてしまった故郷の言葉だった。記憶を失う前、俺が彼に伝えたその言葉の意味を、彼はもう長いこと探し続けている。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖🙏🙏💖👏💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    あまや

    TRAINING習作/凪茨(主人公ジュン、下二人メイン)
    ⚠︎パラレル。アイドルしてません
    三人称の練習兼、夏っぽいネタ(ホラー)(詐欺)

    登場人物
    ジュン…幽霊が見える。怖がり
    茨…ジュンの友達。見えない。人外に好かれやすい
    おひいさん…ジュンの知り合い。祓う力がある(※今回は出てきません)
    閣下…茨の保護者
    三連休明けの学校ほど億劫なものはない。期末テストも終わりあとは終業式を残すのみではあるのだが、その数日さえ惜しいほど休暇を待ち遠しく思うのは高校生なら皆そうだろう。ジュンはそんなことを思いながら今日もじりじりと肌を焼く太陽の下、自転車で通学路を進んでいた。休みになれば早起きも、この茹だるような暑さからも解放される。これほど喜ばしいことはない。
    「はよざいまーす」
    所定の駐輪場に止め校舎へ向かっていると、目の前によく知った背中が現れた。ぽん、と肩を叩き彼の顔を覗き込むとそれは三連休の前に見た七種茨の顔とはすっかり変わっていた。
    「ひええ!?」
    「ひとの顔を見てそうそう失礼な人ですね」
    不機嫌そうな声と共にジュンを振り返ったのはおそらく七種茨であろう人物だった。特徴的な髪色と同じくらいの背丈からまず間違いなくそうだろうと思い声をかけたのだから、振り返った顔はジュンのよく知るメガネをかけた、男にしては少し可愛げのある顔のはずだった。が、見えなかったのだ。間違った文字をボールペンでぐるぐると消すように、茨の顔は黒い線でぐるぐる塗りつぶされていた。
    5826