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    あまや

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    あまや

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    SSS/凪茨
    中身も文章もふにゃふにゃ
    こどもの日の話

    ##凪茨

    「いばら」
    「は、」
    はいと、皆まで言う前に何かが頭から被せられた。パチリとまたたいて、荷物を落とさないように脇にしっかりと挟み視界に影を作るそれを引き抜く。手の中には新聞紙で折られた――兜? 声がした方へ振り向けば、閣下がしてやったり、という顔で笑っていた。
    「閣下?」
    「今日は端午の節句――こどもの日なんだって」
    「そういえばそんなようなことを朝ニュースでも言ってましたね」
    「うん。それでね、お昼に忍くんにあって」
    「しのぶくん」
    「流星隊の」
    「ああ、仙石氏ですか」
    「そう。それでね、今日、あそび部でこどもの日をやるからよかったら来ないかと誘われて」
    「へえ」
    「紙粘土で鯉のぼりを作ったり、鬼ごっこをしたりしたんだ。それから、ジュンと一緒に新聞紙でかぶとを作ったり。だから茨にあげようと思って、持ってきた」
    「それは……ありがとうございます?」
    「うん」
    上手に折れてますね、と添えれば得意げな顔をされた。親に褒められた幼稚園児みたいで、もうとっくに成人しているのにおかしかった。きちんと成長段階を踏んでいるということなのだろう。今日も健康で何より。
    「一日お仕事お疲れ様。茨が一生懸命働いてくれるから今の私たちがあるよ。だから今日はね、ご褒美があるんだ」
    「ご褒美」
    「そう、ちまき」
    「ちまき」
    「こどもの日に食べる食べ物なんだって。夕飯、ジュンと一緒に作ったから、みんなで食べよう」
    今日のお仕事は終わりのはずでしょう?
    俺のスケジュールをきちんとチェックしている閣下はそう言って脇に挟んだ荷物をするりと奪い取った。
    「今日は副所長もプロデューサーもおしまい。今からは十八歳の七種茨だよ」
    「なんですかそれ」
    不器用なお誘いにくすりと噴き出せば閣下も笑っていた。
    「さ、寮に帰ろう」
    「はい」


    「ところで、自分は一応日本国のルールに従えば成人なのですが」
    「男の子の健康を祈る日だから、間違ってないよ」
    「さようですか」
    「うん。ちまき、椎名くんが作ってくれたんだ」
    「それは楽しみですね」
    「早く食べたいね」
    「そうですね」

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    あまや

    TRAINING習作/凪茨(主人公ジュン、下二人メイン)
    ⚠︎パラレル。アイドルしてません
    三人称の練習兼、夏っぽいネタ(ホラー)(詐欺)

    登場人物
    ジュン…幽霊が見える。怖がり
    茨…ジュンの友達。見えない。人外に好かれやすい
    おひいさん…ジュンの知り合い。祓う力がある(※今回は出てきません)
    閣下…茨の保護者
    三連休明けの学校ほど億劫なものはない。期末テストも終わりあとは終業式を残すのみではあるのだが、その数日さえ惜しいほど休暇を待ち遠しく思うのは高校生なら皆そうだろう。ジュンはそんなことを思いながら今日もじりじりと肌を焼く太陽の下、自転車で通学路を進んでいた。休みになれば早起きも、この茹だるような暑さからも解放される。これほど喜ばしいことはない。
    「はよざいまーす」
    所定の駐輪場に止め校舎へ向かっていると、目の前によく知った背中が現れた。ぽん、と肩を叩き彼の顔を覗き込むとそれは三連休の前に見た七種茨の顔とはすっかり変わっていた。
    「ひええ!?」
    「ひとの顔を見てそうそう失礼な人ですね」
    不機嫌そうな声と共にジュンを振り返ったのはおそらく七種茨であろう人物だった。特徴的な髪色と同じくらいの背丈からまず間違いなくそうだろうと思い声をかけたのだから、振り返った顔はジュンのよく知るメガネをかけた、男にしては少し可愛げのある顔のはずだった。が、見えなかったのだ。間違った文字をボールペンでぐるぐると消すように、茨の顔は黒い線でぐるぐる塗りつぶされていた。
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