眠れない夜の話夜の空は思ったよりも明るい。
月も星も良く視える。
久しぶりのベッドはあまり寝心地が良くなかったようで、ふいに目が覚めた。
起き上がりぼんやりと窓から外を眺める。
小さな溜息が漏れる。
我ながらその溜息に女々しいなと感じた。
世界のためなら例え人々に後ろ指を刺されても、罵られても平気だと思っていたが。
存外に好意を寄せている相手からの嫌悪にはさすがに堪えるようだ。
ふと相手の顔を思い浮かべる。
この間少しだけ手助けした時に随分と怒られたものだと。
「手出すなよ」
パチンと手を払わられた。
その時に叩かれた感覚が手の甲に過ぎる。
手甲をしているのでどちらかといえば叩いた相手の方が痛かったのでは?と心配した。
その想い人に自分がした悪逆非道とも言える仕打ち。
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