ポイント・オブ・ノーリターン 2 硬質な足音が廊下に響く。階段を上るとブリッジへと続く扉の前に、小型の召喚獣が三匹固まっている姿が見えた。ケラックだ。彼らもアークに気が付いて寄ってくる。
「チョンガラはいる?」
扉を指しながら訊ねると、召喚獣が代わる代わる頷いた。だが通路が狭く、更にはケラックが纏わり付いて先に進めない。
記憶を頼りにポケットをまさぐると、紙に包まれた状態の、ファッジに似た砂糖菓子のバルフィが丁度三個出て来た。街に繰り出したちょこが、何かの気紛れでアークにくれたものだ。それをケラックに渡し、道を開けて貰う。楽しみにさしていたのに残念だな、とアークは思った。
扉をくぐると大量の煙に襲われ、反射的に目を閉じる。
「換気しろ、ヤニ食い共」
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