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    LBt71

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    LBt71

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    性癖だけで書くずぶ濡れ着衣ックスのつもりが転生になったもの
    フィガロだけ記憶あり 前後も書きたい(願望)

    無題 最寄り駅に降り立つと、雨音で周囲の声が聞こえないくらいの降水量だった。携帯を開いて天気予報を見ると、夜の間はずっと雨、少なくとも向こう2~3時間はかなりの雨量らしい。朝のニュースではそんなこと少しも言ってなかったはずだというのに、この時期は天気が崩れやすくて困る。俺は小さく溜息をついた。駅から家まではタクシーを使うほどの距離でもないし、かといってわざわざ今のためだけにコンビニの傘を買うのも勿体ない。どうしたものかと立ち往生していたところ、携帯の通知音が鳴った。「雨すごいね。今どこ?」とメッセージが1件。今日は特に約束してなかったはずだけど……? と不思議に思いつつ、駅前で雨宿りしてる、と返す。すると間もなく通知音が鳴り、確認するよりも先に背後から肩を叩かれた。

    「きみが傘持ってるんじゃないかと思ったんだけど」
    「……ってことはあんたも持ってねぇのかよ」

     フィガロは俺が働いている店の常連だった。今まで客に言い寄られたことは男女問わず何度かあった。誰であっても個人的なやり取りは断っていたというのに、この男とは何故だかずるずると「個人的なやり取り」を続けてしまっている。店主とも親しいから無碍にしづらいのも理由のひとつだが……それだけじゃない気がしている。最寄り駅が同じだということもつい最近知ったことだ。

    「この雨じゃタクシーも捕まらないかな」
    「あー……俺ん家なら、すぐそこだけど……来る?」

     


     家に着く頃には案の定2人して全身ずぶ濡れだった。衣服が吸った水を軽く絞って、タオル持ってくるから、と先に家の中へ上がった。洗面所からタオル2枚を手に取り、風呂も入るだろうからと、給湯器をセットして玄関に戻る。ぬれねずみのフィガロはいつもふわふわの髪がぺたんとしぼんで、頭から水を被った犬のようだ。頭にかかった水滴を払っていたフィガロは俺の足音に気づくとにこりと人好きのしそうな笑みを浮かべてタオルを受け取った。

    「にしても、まさかきみが家来る? なんて言うと思わなかったな。随分警戒されてるような気がしてたから」
    「いや、しばらくは止みそうにないし……あそこで立ち往生してても仕方ないだろ」
    「ふふ、警戒してたのは否定しないんだね」

     図星をさされてぎくりと肩が震える。面白がられているのを感じながらも、なんとなく断りづらい雰囲気を出すのがうまいこの男を相手に警戒しても無駄なんじゃないか……? なんて思っていた矢先、くん、と腕を引っ張られた。

    「正しい判断だね。それでも流されちゃうし絆されちゃうのは、きみの長所なのか短所なのか」

     きみにとっては短所かもね。
     呼気が触れそうな距離でそう呟いて、ちゅ、と唇を寄せる。触れた唇を、そんなはずはないのに、何故だか俺はよく知っているような気がした。あまりに突然のことでぼうっとしていると、舌が唇を割り開くように侵入してきた。慌てて身体を押し返そうとしたが、押し返そうとした腕ごと壁に押し付けられた。この細腕のどこにそんな力があるんだ? 髪の先から落ちる水滴が首筋にかかって気持ち悪い。舌が上顎を擦る度に、力が抜ける。飲み込みきれなかった唾液がこぼれて顎を伝うのも気持ち悪いはずなのに、強く拒絶できなかった。

    「ん、ぅ」
    「ほら、息して」

     耳元でそう囁くと、フィガロは子どもをあやす様に背中を撫でさすりながら、耳を柔く食んだ。わざとらしく音を立ててぴちゃ、くちゅと耳を舐められると、腹の底がぞくりと震えるような感覚がした。どうすれば快楽に溺れさせられるか、俺の身体を、俺の知らないところまで知っているような振る舞いに、どくりと心臓が跳ねたのは恐怖なのか、それ以外の何かなのかはわからない。
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