乾いた陽射し 真昼の庭は、陽炎が立つほどの猛暑だった。
巣箱のまわりでは、褐色の羽をはためかせるミツムシたちが忙しなく飛び交っている。
オロルンは黒いマントを肩からずり落とし、片膝をつきながら小さなハケで巣口を掃除していた。
「いつも美味しい蜜をありがとう」
額から汗を垂らしながら、ミツムシに話しかける。
「ばあちゃん、楽しみにしてるんだ。だからもう少し協力してくれ」
巣箱の木枠をそっと撫で、ミツムシたちの羽音に耳を澄ませる。自分の手柄ではないとわかっていても、こうして蜜が溜まる様子を見るのは心から嬉しかった。
けれど、真上から照りつける日差しは、オロルンの体力をじわじわと奪っていく。紺色の髪は汗で額にはりつき、視界は白く霞み、ふらりと身体が揺れた。
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