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    アンバーの色濃い血の流れに夢を見ているのと、こういう邂逅があってから酌み交わす酔夢で茶葉を堪能する鍾離がいてもいいんじゃないか、という思いつき捏造妄想メモ
    CP要素はありません。

    ※アンバーのキャラストに触れてます。未読だとわかりにくいです。
    ※あくまで妄言/小説ではない

    #原神
    genshin
    #アンバー
    amber
    #鍾離
    zhongLi

    「ねえ、エウルア。俺が国だ!って言う人は、オウサマってこと?」
    「...は?何よ急に。」

    昨夜、期間限定でバーテンダーをしていた旅人に作ってもらった酔い覚ましのドリンクも1杯では効果も虚しく。まだ少し頭がぼんやりとしているエウルアが鹿狩りで昼食をとっていたアンバーの向かいに座るや否や、謎解きのような質問を投げかけられ少し困惑した。
    そもそも、彼女たちの生きている現在この世界は神が統治する世界であり(自国は神が去って時が経つが。)国王という存在はおとぎ話の中か神であると同義でしかない。

    「じゃあ、あの人、神様の幽霊だったのかなあ〜。」

    アンバーはすぐ人と馴染むが、自分からものの経緯を説明することが得意ではなく、主語が抜けたり突飛な発言をすることは珍しくない。そんな彼女と親交のあるエウルアが特に気にするようなことではなかったが、アンバーにしてはややこしい話になりそうだ、と思った。

    「キミ、謎解き苦手なのに私に振ってくるなんて、いい度胸じゃない。」

    ましてや幽霊なんて...名のある貴族としてそういう類の不確定要素は論外だ、とエウルアは考える。そんなつもりじゃなかった!と謝るアンバー。
    ふう、といつもの仕草で髪を払い、ちゃんと聞くから、何があったか一からゆっくり話してみなさい。とエウルアが促すと、実はね、ちょっとおかしなことに遭ってね、と話し始める。
    いつもの快活さはなく、あまり会わない親戚に容姿を褒められ照れている子供のように、視線をやや下に向け身体を揺らすアンバー。
    貴族のレディ・エウルアは姿勢正しく真っ直ぐに彼女を見て話を聞いていたが、心の中でそっと天を仰いだ。
    (なによ、この心が擽られそうになるいじらしさは。由緒正しい家にもこんな作法は無いわ。この恨み、忘れないんだから...!)


    数日前、道を尋ねられた時の話に遡る

    偵察の依頼が入り、清泉町からアカツキワイナリーまでの道中の木陰で一休みしていた時だ。

    「すまないが、モンドへの道はこちらであっているだろうか?」

    高い位置から声がした。見上げると、長身の異国の男がそこに居た。服の装飾、身体の特徴からして隣国の璃月人であることはすぐにわかった。

    「もちろん!あってるよ!」
    「......?」
    「...?あ、っ、て、ま、す、よ?」

    言葉が通じなかったのだろうか、アンバーと目が合うなりその男はぱちぱちと瞬きを繰り返し、顎に手を添えると思案し始めた。
    はたから見たら品定めでもしているかのようで失礼極まりないが、なぜかこの男の視線は不快なものとは感じなかった。
    偵察騎士、成長途中とはいえ曲がりなりにも洞察力はある。
    男はただじっと、何かを辿り確認作業をしているよう…に思えた。私がこの人の知り合いにでも似ているのかな?

    「むむむ〜…」

    果敢にも見つめ返していたアンバーだったが流石にいたたまれなくなり、あの!と大きめに声を掛けると、男は納得したとひとつだけ頷いた。

    「ああ、これは失礼した。少し考え事をしてしまった。…モンドの者か?」
    「そう。私はモンドの偵察騎士、アンバー!」
    「アンバー...そうか。相応しい、いい名前だ。」

    何も知らない人なのに、相応しい、とはどこからきてるんだろうとは思ったが、最初の印象より随分ほぐれた男の表情を見て悪い気はしなかった。

    「褒めてくれてるんだよね?えへへ、ありがと!


    そこから、少し話をしないかと男に言われ、アンバーは承諾する。隣に腰掛けた男は年上なのはわかるが、見た目よりも更に上に思える言動があった。聞きなれない難しい単語が多く首をかしげたが、大人だらけの環境で育ってきたアンバーにとって男の雰囲気には馴染みがあり、隣にいると少し擽ったい気持ちになった。
    どうやら男はモンドに来たことはあるが、随分前のことで、通行手段も徒歩では無かったようだ。今回モンドにやって来たのはどうしてか尋ねると、自由に赴いた結果だと言う。
    アンバーも、どうして偵察騎士になったのかと問われ、自分の祖父の話から今までの経緯をなるべく伝わりやすいようにと話す。
    等々、思ったより話に花が咲いてしまい、そろそろというところで腰を持ち上げた男は、大きな手でアンバーの頭に軽く手を置く。予測しなかった行動に思わず飛び退くと向こうも己の手を見て驚いた顔をして、弁解する。

    「…。慣れ親しんだものをみるとつい...すまなかった。」
    「こっちもごめん!…なさい。びっくりしただけなの!」
    「そうだろうな。」
    「じゃあ、またね!あなたに自由の風の加護があらんことを!」 「ああ。感謝する。」


    数歩歩き、アンバーは男の背中を眺めた。
    アンバーは翼を広げ飛行するのが得意だ。鳥のさえずりのような翠と、草木の息吹を感じる匂いを纏い流れる自由の風を肌で感じることに長けていた。
    悠々と歩いてく男から流れてくる風は、色と匂いが、他の生命とは違うようにおもう。
    (でも、なんでだろう)
    頭を撫でられた時に見た大きな掌も、この風も、とても懐かしく、もどかしく感じるのは。自分がしでかしてしまう度、大丈夫だよと笑った祖父の顔が浮かぶのは、どうして。

    うずうずと湧き上がる気持ちを止める術ををアンバーは知らない。
    ぐっと両手を握り、ねえ、まって!と男を呼び止める。

    「うまくいえないけど、あなた懐かしい感じがするの!私の、おじいちゃんの"風"に似てるの!璃月の人だから...とはまた、違う気がして。なんで、かな。」

    思考が纏まらないまま話してしまったアンバーは、笑って一蹴されるだろうと身構える。が、立ち止まり振り返った眼差しはとても柔らかかった。
    同時にさわさわと周囲の木々が揺れる。

    「それは...」
    「!うわっ!」

    びゅうと吹いた突風に赤いバンダナと茶褐色の髪が跳ねた。ふるりと首を振り、視線を戻したアンバーはきらりと澄んだ琥珀色の目を見張る。
    一瞬、男の瞳にある独特な虹彩、黒髪の先に佇む色が黄金色に輝いていたようにみえたからだ。

    風がやみ、宙を舞い静かに落ちていく葉、木々の間から差し込んでくる光、立ち尽くし目に映る総てが荘厳な黈の雰囲気を僅かに漂わせるなか、男は笑みをたたえ、腕を組みこう言った。

    「それはきっと、俺が璃月だったからだろう。」




    それから程なくしたモンド、エンジェルズシェアにて。
    濃厚な煙霞繁葉の香りに包まれながら、思わぬ出逢いに道中はしゃいでしまったな、と鍾離は目の前の波紋に微笑みを浮かべていたとか、いなかったとか。




    少女、愛国の眼差しを知らずとも、郷愁の風にはためく
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    MEMOアンバーの色濃い血の流れに夢を見ているのと、こういう邂逅があってから酌み交わす酔夢で茶葉を堪能する鍾離がいてもいいんじゃないか、という思いつき捏造妄想メモ
    CP要素はありません。

    ※アンバーのキャラストに触れてます。未読だとわかりにくいです。
    ※あくまで妄言/小説ではない
    「ねえ、エウルア。俺が国だ!って言う人は、オウサマってこと?」
    「...は?何よ急に。」

    昨夜、期間限定でバーテンダーをしていた旅人に作ってもらった酔い覚ましのドリンクも1杯では効果も虚しく。まだ少し頭がぼんやりとしているエウルアが鹿狩りで昼食をとっていたアンバーの向かいに座るや否や、謎解きのような質問を投げかけられ少し困惑した。
    そもそも、彼女たちの生きている現在この世界は神が統治する世界であり(自国は神が去って時が経つが。)国王という存在はおとぎ話の中か神であると同義でしかない。

    「じゃあ、あの人、神様の幽霊だったのかなあ〜。」

    アンバーはすぐ人と馴染むが、自分からものの経緯を説明することが得意ではなく、主語が抜けたり突飛な発言をすることは珍しくない。そんな彼女と親交のあるエウルアが特に気にするようなことではなかったが、アンバーにしてはややこしい話になりそうだ、と思った。
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