ヒプマイ 寂雷×乱数(案10)『カミナリ』 スタボにて。
季節は六月。梅雨入りはまだだとテレビが言い、いい天気だと乱数は季節限定の甘いメロンシェークを飲みながらテラス席でのんびりしていた。スケッチブックを広げ、シャーペンでシャッシャッと芯と紙が擦れる音をBGMに休日の寂雷と電話。
「ねぇーねぇーこのメロンシェークスッゴク美味しいんだよ。あまーくて、果汁がジュワッ、風味がふわーって」
『キミの言葉は擬音が多いですね』
「えーダメ?」
『いえ、可愛いからいいですよ』
不意打ちの言葉にドキッとする乱数。
「べ、別に褒められても嬉しくないんだからね!!」
『そういう誤魔化すところも好きです』
また、不意打ちにドキッと胸が高鳴る。
「ちょっと僕で遊ばないでよ!! 休日だからって少し抜けて――」
と、恥ずかしさのあまり席を立ちスマホに向かって怒鳴り付けると視界に地を揺らす雷鳴と光が落ちる。「ひいっ」と言葉を失う乱数。気付けば外は大雨でバケツをひっくり返したような雨が降っていた。
「や、ヤバい。雷じゃん。聞いてないんだけど」
慌ててテーブルの上を片付け店内に行こうとするもバリバリバリバリッと破くような轟きに恐怖のあまり足がもつれ座り込む。
「ひっムリムリムリムリ!! ムリだって!!」
頭を抱え、続く雷鳴に身を震わせながら縮こまっていると腕を強く引っ張られ、「うわっ」と声が漏れる。
「えっ。じゃ、くらい?」
「おバカさん、大丈夫ですか?」
雨に濡れ寂雷の体は冷えていたが、怯える乱数を落ち着かせようと優しく抱き締める。思わず安堵か。乱数は涙をしながら頬を赤く染め「ありがとう、寂雷」と笑った。