注文の多いペットショップ「おい。次から仕入れ止めっからな」
場地圭介が唐突にものを言うのはいつものことだ。松野千冬も長年の付き合いでそれはもう、すっかり分かっていた。
だが、これが場地の「いつものこと」なのは分かっていても、意図はさっぱりわからない。場地の考えることを千冬が正確に読み取れた試しはなかったので、それもいつものことではあったが、今回のこれは久々に無茶だった。
それをどう言えばいいのか千冬が迷っていると、黙ってケージの掃除をしていた羽宮一虎が顔を上げる。
「……ペットショップが仕入れ止めてどーすんだよ」
「あぁ? そんじゃお前、どーすんだよ。このまんま猫増やすんじゃ出てけって言われてんだぞ?」
「だからって仕入れは止められないだろ」
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