小雨の言葉は人を想うものばかりだ
ひとつひとつ、ひたすら優しくて、やわらかくて、
それを与えられる度に胸が熱くなってぎゅっとする 泣きそうになる

「…もらってばっかりだ、小雨から」
「俺は、あいつに何ができる」

俺は、小雨に何を返せる
小雨に何を与えられる


「なあ」
「なんだ？」
「俺は、お前に何ができる？」
「どうしたいきなり…」
「俺は小雨からたくさんもらってる、心も体も言葉も。俺はお前に何をあげられる？」
「何言ってるんだ、俺だってお前からたくさんもらってるだろ」
「そうなのか？」
「天晴は俺のこと好きだろ」
「うん」
「触ってくれるし触らせてくれる」
「うん」
「好きって言ってくれる」
「…うん」
「ほら、心も体も言葉も、俺は天晴から貰ってる」
「……」
「納得してない顔だな」
「だって、俺ばかりたくさん貰ってる気がする」
「そうかあ？」
「小雨は俺に何をしてほしい？俺はそれをする」
「え〜？そうだなあ…じゃあ、もっとたくさん好きって言ってもらおうか」
「…それだけか？」
「それだけなんてとんでもない、それが一番嬉しいんだぞ？」
「んー…」
「お前は口数が少ないからな。もっと言ってくれたら俺はすご〜く幸せだ」
「……好き」
「うん」
「好きだ、小雨」
「ああ、俺も好きだぞ」
「俺はお前よりも好きだ」
「いや！俺の方が好きだな！」
「…お前が俺以上に返してくるから意味がない」
「はは、いいんだよそれで！この時間が最高に幸せだからな」
「…そうか」
「そうだ。そもそもお前が俺に何かしてあげたいって思ってくれたこと自体嬉しい。ありがとうな」
「…うん」