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    kth_0831

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    kth_0831

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    本屋で働きながら風颯氷ルートやってたら3年目1月に突然本多くんがデートの電話をかけてきてそのシチュエーション、いい!!となって書き始めたけど全然進んでない書きかけ(行マリ)

    3年目1月から本気出してくる本多くんの話 年が明けて数日が経ち、冬休みも終わりが見えてくる。正月気分もそろそろ抜けてきて、あとちょっとで卒業かあ、なんて考えていたときに、その電話はかかってきた。
     着信を告げる携帯を手に取って画面を確認する。
     本多くん。
     表示されていたのは少し意外な名前だった。

     本多行くん。一年生の頃からアルバイトしている本屋でのバイト仲間だ。学校も一緒だけど、バイト先で知り合ったからか学校の同級生というよりバイト先での友達という感覚が強い。

    「はい、もしもし」

     シフト応援の話だろうか。でも、それなら店長が打診してくるだろうし――実際、バイト初日に何かあったときのためにと連絡先を交換したけど本多くんの名前がわたしの携帯の画面に表示されたのは初めてだ。

    『もしもし! オレだけど!』

     シフトが一緒になる日にたくさん話してくれるから、本多くんの声は聞き慣れている。それでも電話越しに聞く彼の声は何だか新鮮だった。少しこわばっているようにも聞こえる。電話だからだろうか。

    『今度の日曜日だけど、空いてる?』
    「うん、空いてるよ」

     やっぱり急遽人手が必要になったのかもしれない。お正月休みが終わって日常が戻ってくるこの時期は一気にお客さんが増える。それにしても店長、本多くんにこんなこと頼むなんてよっぽど切羽詰まってるのかな。
     そんなことを考えていたから、本多くんが続けた言葉に咄嗟に反応できなかった。

    『じゃあさ、遊園地、行かない? ふたりで』

    ◇◆◇

     待ち合わせ場所には早めに着いた。まだ来てないだろうと思ってたから、遠くからでも目立つ金髪をバス停に見つけて驚く。

    (人違い……じゃないよね)

     髪の色は見慣れた本多くんのそれなのに、何だか雰囲気が違う。呼びかけようとして上げかけた手を中途半端な位置で止めて見ていると、彼が顔を上げた。
     遠くからでも、その顔がぱっと華やいだのがわかる。その懐っこい笑顔はもうわたしの知っている本多くんで間違いなかった。

    「本多くん、もう来てたんだね。何かいつもと雰囲気違うから一瞬人違いかと思っちゃった」
    「そっかな? うーん……あ!」
    「ん?」
    「私服で会うの初めてじゃない? オレたち。なるほど、だから新鮮なんだ!」

     言われてみれば確かに私服の本多くんを見るのは初めてだった。
     バイト先で着るシンプルな青いエプロン姿が、わたしのよく知る本多くんだ。制服姿も見かけることは多いけど、学校では同じクラスになったことがないのもあって長く一緒に過ごす時間はあまりなかった。
     今日の本多くんは、はばたき書房の青いエプロン姿とも着崩した制服姿ともイメージが違っていた。紺色のダッフルコートと落ち着いたデザインのマフラーが何だか大人っぽく見えて、自分の服装が子どもっぽいんじゃないかとそわそわしてしまう。

    「本多くん、私服だと何か大人っぽいね」
    「そう? 妹がね、デートに行くならこういうのにしろって。君の反応を見る限り正解だったのかなあ」
    「えっ、デート?」
    「? 違うの?」

     違……わないのかな。どうなんだろう。本多くんはそこにツッコまれるとは思ってなかったとでも言いたげにきょとんとしている。
     デート。本多くんとふたりで出かけると決まった時もそのワードは頭に浮かばなかった。

    『店長が商店街の福引で遊園地のペアチケットを当てたんだ。でね、いつもよく働いてくれるからたまには息抜きしておいでって』

     突然電話がかかってきたあの日、本多くんは楽しそうにそう言っていた。店長が福引で当てた遊園地のペアチケットを本多くんにくれて、本多くんがわたしを誘ってくれたという経緯だ。
     一緒に行くの、わたしでいいの? そう聞くと、君じゃなきゃだめだよ、と言われた。

    「だってよく働いてるのはオレだけじゃないでしょ? 君だってよく働いてる。ねね、だからさ、一緒に行こうよ」

     君じゃなきゃだめ。漫画やドラマで聞くような台詞に一瞬どきりとしたけど、本多くんは純粋にわたしの頑張りを認めてくれて、だから誘ってくれたらしい。そんなふうに言ってもらえることは素直に嬉しかった。

    「それでね、そのとき妹が――って、あ!」
    「えっ?」
    「バス来た! 小波ちゃん、行こ!」

     電話がかかってきた日のことをぼんやりと思い返しているうちに遊園地へ向かうバスが到着していた。慌てて本多くんに続き、バスに乗り込む。
     はばたきランドタウン行きのバス。友達や幼なじみたちと遊びに行った時に何度も乗ったバスだ。でも、本多くんと一緒に乗るのは初めてだった。
     ――私服で会うの初めてじゃない? オレたち。
     何でもないことのように言っていた本多くんの言葉が、今更実感を伴って脳内に響く。
     そうだ。今日は本多くんとふたりなんだ。そしてそれは校内でたまたま会ったとか、バイト先の休憩室で一緒になったときのような偶然によるものではない。意思を合わせて、今ふたりでここにいる。見慣れない本多くんの私服が、その現実をこれ以上なくあらわしている気がした。



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