3年目1月から本気出してくる本多くんの話 年が明けて数日が経ち、冬休みも終わりが見えてくる。正月気分もそろそろ抜けてきて、あとちょっとで卒業かあ、なんて考えていたときに、その電話はかかってきた。
着信を告げる携帯を手に取って画面を確認する。
本多くん。
表示されていたのは少し意外な名前だった。
本多行くん。一年生の頃からアルバイトしている本屋でのバイト仲間だ。学校も一緒だけど、バイト先で知り合ったからか学校の同級生というよりバイト先での友達という感覚が強い。
「はい、もしもし」
シフト応援の話だろうか。でも、それなら店長が打診してくるだろうし――実際、バイト初日に何かあったときのためにと連絡先を交換したけど本多くんの名前がわたしの携帯の画面に表示されたのは初めてだ。
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