「天使みたいな、」(LCB×執行) 真っ白な服に黄金の髪飾り、金色の翼……物々しい篭手は取り払われて、代わりに黒いグローブへ。そして、いつもきっちりと撫で付けられている意外と長い前髪がさらりと落とされたその姿を見て、シンクレアは一瞬ほう、と見惚れた。
鏡の世界から抽出された強力なE.G.O、その一つを今まさにムルソーが身に纏っている。天の執行官の補佐という名前のそれは、使用する技名にちなんで「執行」の愛称と呼ばれていた。
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ムルソーがダンテに命じられるがまま、その力を解き放つ。空高く舞い上がり、流星のようにまっすぐに相手へ拳を叩きつけた。鈍い音を立てて敵が崩れ落ちたと同時に、ひらひらと空からシンクレアに向かって落ちてきた羽が、ぱっと弾けて傷を癒やす。
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