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    nmhm_genboku

    @nmhm_genboku

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    この話を書くまでのあらすじ

    フォロワーさんのイザ獅が良きだったので、私、書きました。
    イザ獅風味

    最近思ってる。獅音ちゃんやられすぎ問題……

    獅子の献身、王への忠誠この話を書くまでのあらすじ

    フォロワーさんのイザ獅が良きだったので、私、書きました。
    イザ獅風味

    最近思ってる。獅音ちゃんやられすぎ問題……
    ☆☆☆

    あの人から犬、と呼ばれるのは嫌いじゃなかった。はぐれ者で、喧嘩しか出来ない自分の事を、傍に置かせてくれる。ひとりぼっちの世界で、あの人だけは、暗い世界の中で輝いて見えた。だから、あの人から与えられたものは全て大事にしようと思っていた。与えられたチーム、与えられた任務、与えられた……

    「お前に族の頭は不釣り合いだ」

    目の前で鮮烈に彩る黒と金。ポンパドールの髪の男から繰り出された蹴りが、俺の意識を狩るために、仕留めるために音をあげ、着弾する時を今か今かと待ち望んでいる。

    「(あ、負ける)」

    その蹴り出されたつま先が、流れるような軌道を辿って、こめかみに当たる。そう理解したその一瞬。
    あの人の声が聞こえた。

    “やっぱりお前は駄犬だな”

    その声の後、ため息。負けを認める為に目の前の男が捉えた意識が一瞬で俺の中へと戻り、身体を屈ませる。ヒュオッ、と頭上を掠めるその蹴りの音を鼓膜の奥で捉え、あの人の顔を思い出す。負ける訳にはいかない。その一心だった。目の前のあの人が憎たらしいと憎悪を震わせた男に、負けを認める訳にはいかなかった。

    辺りがクソガキの攻撃を躱したことにより、ざわつく声が響く。それすら意に介さず、殴るために姿勢を低くして、拳を奮った。

    軽くない音が、クソガキの頬に入り、次いで崩れた体制を狙って無防備な腹の上。鳩尾を狙い振り上げる。ゴスッ、と重い音を響かせ、目の前のクソガキの肺の中に溜まる酸素を吐き出させた。しかしまだ、咳き込む程の威力を受けていない。

    喧嘩は駆け引きだ。相手の動きを読み、その先を予測し、自身の攻撃をぶち込むために追撃する。その繰り返しの先が、勝利であり、敗北だ。チームの構想において、勝者には栄光を与え、敗北者には挫折と解散が与えられる。

    敗北は、あの人の意思に反する。ずっと見てきたから分かるんだ。あの人は、弱い人間に興味が無い。俺がここで生きて栄光を手にし、この世界へと戻ってきたあの人を笑って出迎えてやれるまで、負ける訳にはいかない。

    「こ、のっ……クソ野郎が……ッ!」
    「マイキー!」
    「歩きたての赤ん坊みたいにふらついて、どーしたァ?」

    ハッ、と鼻で笑いながらも彼の想い人……黒川イザナに対するその執念が、男の全てを動かしていく。勝てる、勝てる、勝てる。攻撃を躱しながら、目の前のクソガキに対して攻撃を仕掛ける男、斑目獅音は今日が1番ノリにノッている時間だと、理解する。
    目の奥がバチバチと火花を散らし、目の前の男の攻撃を、スローモーションで送り続けている。脳が焼き切れそうだと半笑いしながらもその情報のコマ送りを脳が処理しようと動き始めたその瞬間、ゴッ、と脳が大きくゆれ、視界が一気に光と音だけに染まった。

    「は……っ?」
    「……お前、いらねぇわ」

    そう小さく呟いた男、佐野万次郎は、目の前で膝を着いた男を冷えきった目で見下ろしていた。強く気高い、自身の兄が創ったチームをボロボロにした男達。許し難い所業を行ってもなお、改善の余地なし。あの時、負けを認めた目を見せた瞬間から、一瞬にして熱を孕ませた瞳に変わったのを見て、マイキーは瞬時に潰すと決めた。その結果が、黒く美しい光沢を放つ龍の鱗を赤錆で締め付けた男たちのせいで、優雅に空を泳ぐ龍を地に落とした。ただ、それだけだった。

    「本日を持って!黒龍は!!解散する!」

    それは悲痛すら込めない、淡々と告げられた死刑宣告だった。


    その日から斑目獅音の心臓は止まったままだった。かの男から預かった命を、守りきれなかった自分自身に対する戒めが、ずっと命の鼓動を弾ませることを拒否していく。会いたい。獅音の心はずっとあの男に、あの、鮮烈な銀の光を弾く存在に、会いたがっている。

    「イザナァ……」

    ぽたり。命を繋ぐように、閉じ込めた感情が表に出た瞬間、獅音大きく吠えた。会いたい。あのアメジストをはめ込んだ美しい瞳の持ち主に、会いたくて会いたくて仕方がなかった。自身の飼い主として存在してくれるそんな男は彼以外居ないと分かりきっていたから、余計に会いたくて涙を流した。

    それから少しの年月が過ぎ、ようやく負債を支払う時が来たかのように、突如として獅音の目の前にイザナは現れた。

    「よぉ、駄犬 」

    迎えに来てやったぞ。
    くっ、とあの日見た幼い顔とはまた違う大人の男に成長したイザナの姿を見て、獅音の心臓がようやっと息をし始めたかのように強く鼓動を打ち付ける。肉体が、生きることに思考を燃やし、喉が乾く。上手く声が発せない中、ようやっと絞り出した声が、目の前の男に向けて腕を伸ばした。それを受け入れ、抱き返えされたその腕の強さに、心臓が痛みを覚えるほどに締め付けて、掠れた声で「大将ぉ、」と獅音は声を上げた。

    「また仔犬に戻っちまったな。狂犬と言われたお前はどこに行ったんだよ」
    「大将が、いなくなったから……ッ、俺、大将の心臓守れなかったッ……、大将が俺にくれたチーム、潰しちまったッ……!」
    「ンだよ、そんなことで俺の出迎えサボったのか?」

    あんなチーム、要らねぇよ。そう言って抱きしめた腕の力を緩め、ゴッ、とお互いの額同時をイザナは合わせた。ギラギラと輝くアメジスト。その美しき瞳の奥には燃え盛る炎が爛々と揺らめいている。

    「シンイチロー…俺の兄貴が死んだ」
    「ッ!?」
    「殺したのは東卍の連中だ。俺はアイツらが、ニィを殺したマイキーが一生許せねぇ」

    だから手伝え。そう言って後頭部に添えていた手を、獅音の指通りのいい髪へと移動させ、強く引き寄せる。踏ん張る足元とは裏腹に、視線だけはイザナの高さまで落とされ、僅かに見上げる形となった獅音の顎を掴みあげ、イザナは笑う。

    「駄犬。お前は一生、俺に尽くせ。その命、俺の野望のために使え」
    「い、ざな……」
    「返事は?」

    そうやって傲慢さながらに聞き尋ねたイザナのその顔を、獅音はずっと忘れないだろう。王が帰ってきた。自分の玉座を取り返すために、地獄の底から帰ってきたのだ。その喜ばしい復活の記憶を、獅音はずっと、忘れない。

    「この命。大将の為に、使わせてくれ」

    獅音の口からまろびでるように紡がれたその言葉を聞いて、イザナは笑った。王へと献上する最上級の供物として、この身全てを捧げてもいいとすら感じるほどの、優しい笑みだった。

    「それじゃぁ行くぞ」
    「ぇ、あっ…!?ど、どこに…?」

    慌てふためく獅音の言葉を聞いて、イザナはさっさとバイクを出せとせがみながら言ってやるのだ。王に相応しい新たな土地を拠点にするために、今から族を潰しに行くのだ、と。

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    PAST風間トオルがデレないと出れない部屋

    ⚠️アテンション
    ・未来パロ(17歳、高2)
    ・しん風
    ・中学から付き合ってるしん風
    ・以前高1の頃○○しないと出れない部屋にて初体験は終えている。(いつか書くし描く)
    ・部屋は意志を持ってます
    ・部屋目線メイン
    ・ほぼ会話文

    ・過去にTwitterにて投稿済のもの+α
    『風間トオルがデレないと出れない部屋』

    kz「...」
    sn「...oh......寒っ...」
    kz「...お前、ダジャレって思ったろ...」
    sn「ヤレヤレ...ほんとセンスの塊もないですなぁ」
    kz「それを言うなら、センスの欠片もない、だろ!」
    sn「そーともゆーハウアーユ〜」
    kz「はぁ...前の部屋は最悪な課題だったけど、今回のは簡単だな、さっさと出よう...」

    sn「.........え???;」

    kz「なんだよその目は(睨✧︎)」

    sn「風間くんがデレるなんて、ベンチがひっくり返ってもありえないゾ...」
    kz「それを言うなら、天地がひっくり返ってもありえない!...って、そんなわけないだろ!!ボクだってな!やればできるんだよ!」

    sn「えぇ...;」

    kz「(ボクがどれだけアニメで知識を得てると思ってんだ...(ボソッ))」
    kz「...セリフ考える。そこにベッドがあるし座って待ってろよ...、ん?ベッド?」
    sn「ホウホウ、やることはひとつですな」
    kz「やらない」
    sn「オラ何とまでは言ってないゾ?」
    kz「やらない」
    sn「そう言わず〜」
    kz「やら 2442