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    Polaris_bs11

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    Polaris_bs11

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    後でもう少し手直しするかもしれない

    のぞまね「あ、ねえねえ御田くんって好きな子いる?」
     昼休み、教室の中心で楽しそうにおしゃべりしている女子たちをぼんやりと眺めていた。別に彼女たちや話している内容に興味があったわけじゃないし、何なら見てもいなかった。強いて言うなら考え事をしている中で視線が向いた先がたまたまそっちだっただけ。
     家族の話とか、流行っている食べ物とか、誰が誰を好きらしいとか。クラスメイトが話していることっていうのは僕にはどうもひとつ壁を挟んだ向こう側のような、実感の湧かないものばかりで。それを偽りなく楽しそうに話している姿を見ていると僕がここにいること自体が嘘のような気持ちすらしてきて。
     そんなことを考えていたところに突然話しかけられたものだから、自分に聞かれていることにも一瞬気付けずに反応が遅れてしまった。
    「……いない、かな」
    「え~そうなの? じゃあ好きなタイプとかは?」
    「うーん、それもあんまり考えたことないかなあ」
     話を振ってくる彼女たちに他意がないことは分かっているけれど、繰り返される「好き」という言葉に胸の内がキリキリと痛みを訴える。このまま会話を続けるのは少し苦しくて、電話がかかってきた振りをして教室を出た。
     好きな人、だとか恋、という言葉を聞いたときに思い浮かぶ人。……本当はいるから。いつだってただ一人が。
     でもこれはきっと勘違いで、間違いなんだ。
     あの人は、僕にそれを望んでいない。あの人が僕を傍に置いているのはその計画のためで、僕の能力が使えるものだから。
     何も持っていなくて知らない僕が、あの人がくれる優しい言葉だとか撫でてくれる手のひらを、自分の中にある近しい感情と勝手に結び付けているだけ。
     だから、これは恋ではない。……そう何度自分に言い聞かせてもこうして事あるごとに思い浮かぶ感情は消えることは無くて、どうしてこんなこと一つ上手く出来ないのかと膝を抱えた。
     ……ああ、こんなことでは望海さんにだって捨てられてしまう。
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