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    ohmita

    おひさまぱっぱか快晴レース↓

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    ohmita

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    『羽化』の前提のような、ふわおりの出会いの小話+小学生ふわおりの設定メモです。
    パスは『羽化』と共通です。

     物心ついた時から「可愛い」と言われてきた。「可愛い」ものを色々見て、なるほど自分のつくりは中々「可愛い」ようだと自覚した。まん丸のお目目が可愛いね。さらさらの髪が可愛いね。ちいちゃなお口が可愛いね。まあ確かに、見目はよく出来ている。
     じっと見つめるかにっこり笑えば九割は上手くいった。だめな時は悲しげに瞬きしたらいいだけ。何もかも簡単に済んで退屈だった。
     可愛いを振り回して、嘘ついて、からかって謝って舌出して一生それでいいんだと思ってた。

     打ち砕いたのは冷めた青い目だった。
     丸い赤い可愛い瞳に見つめられてもにこりともせず、抑揚なく言い捨てた。
    「使える楽な手段にばかり頼る馬鹿だな。」
     照れ隠しや軽口ではなく面と向かって馬鹿、なんて言われたのは初めてだった。
    「……どういうこと?」
    「それを自分だけの特権と勘違いした挙句味をしめて使い倒しておきながら飽きている。つまらないなら自分からその道を選ぶのを止めたらどうだ。」
     そしてじっと見つめ返し、微かにも笑わず鼻を鳴らした。
    「この狭い田舎から出ないなら確かにお前は『世界一』だろうな。」
     その子は真っ白な髪をしていて肌も真っ白で、後から聞いたが生まれながら日光に弱く日中外に出ることも稀だったそうだ。同い年と聞いてとても驚いた。
     村よりもっと狭い中で暮らしているはずなのに、知らないことを全て、知っているように見えた。そして外に出ていないからこそ、きっと彼の知っていることこそが純粋な真実であると思った。
    「どうしたらいい?」
     彼の言うことを完全には理解出来なかったから知りたかった。親と教師より彼の方が楽しませてくれる、それは確かだった。
     でも彼は冷めた目をするだけで距離を縮めてくれない。
    「自分で考えもせずそうして人に頼れば退屈に決まってる。その外見を理解して使ってきたなら多少知恵はありそうだが、甘え過ぎて使い方を忘れたか。」
    「……分かった。じゃあ考えてきたら話すから、良いか悪いか教えて。また会いたい、名前教えて?」
     必死に手を伸ばして服の裾を掴んだ。その子は一瞬嫌な顔をして、でも織部の手を離させる為に上から重ねた手は、無理に引き剥がそうとせずに優しかった。
    「不破大黒。」
    「……不破くん。僕、織部明彦。」
     灯籠が神社の参道にぼうっとした一筋の道を作る、七夕祭りの夜だった。



    ==========================


    ⇒小学生ふわおり設定

    織部家:
    村の中でも新興住宅地っぽいとこに住んでる。
    織部パパ;
    出世街道にのって現在は首都圏に単身赴任中(土日とかは帰ってくる)単身赴任先でゴリゴリに不倫してる。
    織部ママ:
    ちょっと少女趣味で洋画好き。パパの不倫に気付いてるけど怖いほど一切無視してラブラブを装ってる。
    明彦:
    両親のペッラペラな愛の維持と双方の親類へ完璧な立ち回りをする為の愛嬌を幼少時に身に着ける。地頭の良さから抜群の空気読みにならざるを得なかった。
     
    不破家:
    昔からの豪邸に住んでる。
    不破パパ:
    自分の子が天才児だったからすげーびっくりしてる。個人事業主。
    不破ママ:
    同上。息子にどう接していいか分からずちょっと病んだ。ヘレルと親戚。
    ヘレル:
    ママの親戚。大黒とそっくりの外見をしている。内面も似たように神童だったので、学があり村の中でも権威のあった祖父(大黒の曽祖父)に育てられた。大黒のことは幼い頃の自分のように思ってる。
    大黒:
    両親とうまくいかなくてヘレルに預けられた。
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    ohmita

    PROGRESSひゃくこいに出す予定の尾鯉 大体3パートになる予定で最初の1パートできたので進捗さらし✋全部書き終えたらチョイチョイ手直しするからとれたての味が読めるのは今だけ!オトク!
    ㍾最終話後おがた生存ifあとまあ細かいところはワイがこれまで書いたとこ読んでもろて
    ひゃくこい用(書きかけ) 勇作の声がしたような気がして振り返る。
     声といえど正確な響きはとうに忘れた。朧げに残っている呼び方や言い方の癖から勇作のように聞こえただけだ。
     あの日はっきりと顔を見たことは覚えているのに、あれ以来鮮明に思い出せない。眼差しや唇の動きの断片がぼんやりと結ばれ、かろうじて勇作の形を作る。
     もう十年も経たぬうちに擦り切れて消えるのだろう。それでも共に過ごした年月の倍以上かかるのだから、思い出はまるで呪いだ。

     幻聴は兆しだったのか、その日の夕から頭痛がし始め、半刻経たぬ間に右目の内から抉るような酷い痛みに変わった。直に治るだろうと高を括っていたのが仇になり、どうにもならなくなってから飲んだ鎮痛剤は効き目が遅い。動くにも動けないが横になって眠れるものでもない。ただ布団の端を握り締めて耐え、時折薄目を開けては今日は来るなと部屋の空白を睨んだ。だが、願えば願うほど、天は嘲笑って嫌がらせをする。
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    recommended works

    1405Barca

    REHABILI現パロ尾鯉のギャグです。赦して。
    別に無趣味というわけではない。
    私大入学を機に都内に越してはや一年、灰の降らぬ生活にも慣れた今日この頃。ゼミに定期的に顔を出し、アルバイトも適度にこなし、サークルに入らない代わりにと近場の道場に度々足を運ぶ日常は同世代から見ても怠惰ではない。しかしながら大学生活二度目の春を迎えた鯉登音乃進にとって、それは惰性と断じる他ない日々だった。
    そもゼミ活動が本格化するのは3年次からであって、今は文献の読み方・引用のやり方など基礎的な学習であるし、アルバイトは音乃進と同じく進学と共に上京し、今では大手の営業職に就く兄から紹介された家庭教師をそれなりの頻度でこなすだけ。幼年から続けてきた示現流も、人目の多い都会の道場で猿叫することは叶わず。つまるところ、どれも時を忘れて熱中できるほどのものではないのだ。あと一年待てばゼミも本格化し憧れの鶴見教授と個人面談もあるのだが、彼のよかにせ教授は現在ロシアで調査発掘に勤しむ多忙な日々を送っていると聞く。院生でも声を掛けにくいと聞く熱中状態の鶴見教授に、ほやほやの一年目ゼミ生がアクションを起こせるはずもなく、画面びっちり敬愛と近況で埋め尽くしたメールを削除して、肌寒い春の夜風に撫でられながら音乃進は自室のパソコンの前で小さくキェェと鳴いた。
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    はも@🐈‍⬛🎏原稿

    SPUR ME恋音展示が間に合わない文量になったので、現在できてるところまで公開します!本当にすみません!完成したら完全版をpixivに投稿しますので、よろしくお願いします。
    函館に引っ越してきた鯉登くん(16)が冬季鬱っぽくなったのを、ここぞとばかりに手を差し出して手に入れようとする尾形百之助(21)の話です。
    極夜にて「尾形はあたたかくて、すきだ」
     そう言って尾形の膝の上に形の良い丸い頭を置いて少年が呟く。少年の声は声変わりが済んでもまだ少しばかり声が高く、甘い。
     尾形、おがた。何度も甘い声で名前を呼ばれ、尾形はくつくつと肩を揺らして笑う。
    「なぁ、もうここで暮らせよ」
     艶のある黒紫の髪を撫で、少年の耳を指で柔く揉む。たったそれだけなのに、少年の耳が赤く染まる。黒い瞳がゆっくりとこちらを向く。気が強い性格で、誰にも弱ったところを見せようとしなかった子どもが、今は縋るような目で尾形をじっと見つめている。
     この少年には自分しかいない。言葉で言われなくとも、少年の視線、表情、態度で解る。それが尾形にとって他の何にも変えられない幸福――黒くどろどろした幸せが自身を染めていく感覚にうっすらと微笑んだ。
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