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    みちとせ🍑

    基本小説は支部 ここは短めのものあげる時とかに使う

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    みちとせ🍑

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    がらがらさんメインスト72章まで読了おめでとう、のss
    前送ったモブ部下ちゃんの話
    しゅ~ゆさんの部下になりたいよね……

    江東の炎「あっ──!」

    天高く舞い上がった蝋燭の火。燭台から溢れんばかりのその炎は、まさしく、

    「……ここに、」

    つう、と頬を涙が一筋伝った。自分が悲しんでいるのか喜んでいるのかも分からなくて、口からはただ笑みが漏れるばかり。一度流れ出した涙はどうにも止まってくれそうになく、馬鹿の一つ覚えのように声を上げて笑った。墓前で気が狂ったとでも思われただろうか。此処に周瑜様がいれば、相変わらず風情も何もあったものじゃないなと苦笑されるに違いない。それでも良いと思った。それが良いと、心の底から思った。

    風に煽られて激しく揺れる炎の紅に、貴方の後ろ姿を思い出す。

    「此処に貴方はおられるのですね、周瑜様、」

    ──江東の兵たる諸君が戦わず降伏するものか!

    普段は寡黙な周瑜様が声を荒げた日のことを、覚えている。

    長江の岬に駐屯する曹操の百万もの大軍を前に兵からは恐怖の声があがり、孫権様がこの状況に苦悩している様は、その表情から誰しもが読み取れ、書簡を抱える腕に思わず力を入れてしまった事。紐で括り結んだばかりの書物たち。少しだけよれてしまった木簡を前に、不安で押しつぶされそうになっていた時の事だった。

    周瑜様らしくない、そう、あれはまるで──孫策様のような。江東の小覇王とまで呼ばれた方の面影を私は確かに見たのだ。孫氏の魂は死んでも江東を守るんだと声高らかに仰っていた孫策様の意志を、周瑜様は誰よりも理解していた。

    もっともっとこの国を良い所にする事が私の使命だ、と語っていた周瑜様の横顔を思い出す。

    「……周瑜様、私、周瑜様が呉の地を見つめる時の眼差しが好きでした」

    「貴方が孫策様と共に守り、導き、築き上げていこうとした呉の未来が好きでした」

    「周瑜様の、誰よりも呉を……江東を愛する志の高さが、私にはずっとずっと眩しかった……」

    貴方の力になれたのだろうか。知略では決して勝てはしないだろうが、部下として少しくらいは貴方の苦悩を減らすことが出来ただろうか。むしろ困らせてばかりだったような気もする。だけど、本当に心の底から叱られた事は無かった。

    「君、……まあいい。悪くない出来だ、次は此処を直したまえ。それで及第点はとれるだろう」

    「上司に頼み事とは随分と気楽なことだな……?」

    「この書簡を孫策の元に届けて欲しい。ああ、火急の用と言えば火急の用だな」

    此奴は駄目だな、と言いたげな瞳を向けられたこともあれば、信頼の眼差しを向けられた事もある。良くも悪くも何処にでもいる部下の一人として、周瑜様には良くして頂けたと思う。女だからと侮るような官僚が多い中、男女の贔屓目なしに公平な立場で扱ってくださった。

    「周瑜様は覚えているでしょうか、いいえ……あの御方はきっと覚えていないでしょうね」

    (「仕事の出来ない無能と仕事の出来る有能、其処に男女の区別など存在しない。なぜならば、役立たずは何処まで行っても役立たずなのだから」)

    淡々と説かれた言葉は決して自分に向けて放たれた言葉ではなかったが、その何気ない言葉に官僚試験前の自分がどれだけ勇気付けられた事か。声の主を探そうと廊下を曲がった先で、銀の髪をたなびかせている周瑜様の事の音色と出会った。

    「あれが、周瑜様……」

    そうして私は、周瑜様の力になりたいと心の底から願ったのだ。

    周瑜様も孫策様も亡き今、遺された孫権様と彼を支える諸侯たちを狙う者は少なくない。だとすれば自分には何が出来るだろうか。託されていったものと、失われていったもの、色々な事を考えているうちに泣き過ぎで頭に鈍痛が走った。

    「……私は、見届けます。貴方が形作ろうとした江東の繁栄を、この地の行方を、例えそれが望ましい結末では無かったとしても必ず最期まで」

    「だからどうか……江東の行く末を、炎のように高く燃え盛る貴方の志で照らしていてください」
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    みちとせ🍑

    DOODLEオリアカワンドロワンライ、開催ありがとうございます

    家園の歩練師さんの思い出で時間が進むごとに恋から愛に変わっていく感じがとても素敵だなと思ったのでそこらへんの雰囲気らくがきです

    オリアカの歩練師さんと孫権さん夫婦かわいくて好きなんですけど、あの、史実……二宮の変のことが頭を過ると陸遜の関連ダメージが入るのでかなり胃痛がします 史実って何?(知らないふり)
    あなただけにあなたの傍にいたいと、願った。

    ◇◇◇

    貴方に嫁いだ日の事を、よく覚えている。

    「後宮に入ったら、もうこのように臆病じゃだめだぞ」

    柔らかな声で諭してくれた貴方の顔が見られなくて俯いたままのわたくしを責める事も呆れる事もなく、ただ優しく頭を撫でてくれた貴方の手のぬくもりを。

    その瞬間はまるで時が止まってしまったかのようで、けれど、その永遠のような一瞬の静寂の中で──わたくしの心臓だけは、鼓動が貴方に聞こえてしまうのではないかというくらいに高鳴っていた。

    今思えばわたくしは、あの瞬間に恋をしたのだと思う。
    貴方を好きになることは──この世界のどんな事よりも当たり前に思えたのだ。

    ◇◇◇

    「今度の戦いには自ら顔を出すのですか?」
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    みちとせ🍑

    DONEオリアカワンドロワンライ「陸遜」の開催、ありがとうございます。

    陸遜が見た、ほんの少しだけ長くて、あっけない程に短い夢の話。

    熱が下がらず布団でワンライ参加したので誤字脱字が目立つかもしれません。
    ⇧の事情からちょっと前にスタートしたので1.5hくらいです。

    どうか陸遜が、他の誰でもない貴方がこの先、笑顔でいられますように。
    灼灼たる夢の先「……ん、陸遜」

    おーい、と呼びかけるような声。それから肩を軽く揺らされて、意識を引きずり上げるように瞼を開いた。ちかりと光に眩んで、幾度か瞬きを繰り返した先で二人分の影が目に入る。

    「っ、孫策殿、周瑜殿!?」
    「なんだ、やっと起きたな」
    「陸遜、休むのなら軒先ではなくせめて部屋に入りたまえ」
    「いえその、ああ……言い訳をさせてもらえませんか」

    身なりをささっと正して先ずは礼を。寝起きだろうがその身体に染みついた礼儀作法は消える筈もなく、ただ縁側に腰かけて柱に頭を預けていたせいか陸遜の冠は微かに頼りなく揺れていた。当人は後から気付くのだろうが、それを目の当たりにした周瑜はまだまだ若いなと笑みを零す。

    「別に言い訳なんかしなくていいぜ、この季節は縁側での昼寝が気持ちいいからな」
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