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    みちとせ🍑

    基本小説は支部 ここは短めのものあげる時とかに使う

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    みちとせ🍑

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    オリアカワンドロワンライ 呂布姫
    呂布姫ちゃんと清河卿が買い物をしているだけの話、カテゴリは友情と絆の中間。
    メインストーリー軸で書くか、序盤の呂布姫イベント軸で書くか悩んで後者になった
    旗袍:チャイナドレスの漢字表記
    寝起きに参加したので文章はぐちゃぐちゃです ごめん呂布姫ちゃん……

    偶にはこんな日が一度だけ、七泉郷の帰りに呂布姫が白地に紅の花が咲き誇る旗袍を羞恥に耐えながら着てくれた事がある。このような格好をするのは相手が貴女だからと言われた時、天刑宗として敵対していた時に抱いていた恐怖心のような名残はすっかり消え失せてしまったのだ。

    そして、案外呂布姫は……言葉を選ばずに形容すると、心を許した相手にはちょろいというか何というか。鍛錬に励む事はとても良いことだが、偶には本当に武器を握らない一日があっても良いのでは。そう思って呂布姫にもう一度あの服を着ている所が見たいとお願いしてみれば、清河卿も同じような格好をする事で許可が下りてしまった。

    「とは言っても、私は旗袍なんて持ってないから。街に行ってその場で買って着替える、で妥協できないかな」
    「……貴女が服屋に行くまでは私だけが旗袍を着る事になるのか」
    「嫌だったら今すぐに走って買って帰って来るよ!?」
    「別にそこまでしなくとも良い。着替えて来るから、貴女は門の前で待っていてくれ」

    ◇ ◇ ◇ 

    「店主、旗袍を置いていますか? できれば地味な……」
    「……今何と?」
    「何でもないよ!? 何も言ってない!」

    清河卿がこうしてできる限り地味な色の旗袍を探している理由は、呂布姫が今日は本当の本当に槍の一本も握っていないからである。

    城下に降りる時に「折角だから」とお互い武器を携帯しないことを提案したときは正直断られる前提だったが、案外呂布姫は乗り気であった。清河卿もちゃんと帝剣を保管してきているが、元々双槍を携えていた呂布姫が武器を下ろしてしまうと、その佇まいは鋭利な美しさの美人に他ならない。触れたら物理的に傷付く美しさが、一目見れば鋭く心に焼き付く美しさに進化したと言えば伝わるだろうか。

    (「そりゃ貂蝉さんの娘って聞いたら誰だって美人を想像するだろうし、実際呂布姫は顔立ちが本当に美しいけれど……」)

    貂蝉の美しさと、呂布姫の美しさは全くもって違う種類のものだと思う。可愛らしく時に妖艶な美しさと、鋭く冷たい、けれど時折柔和な美しさ。どちらも素敵な美だ。

    「決まったか?」
    「へ!? ま、まだだよ。呂布姫、服は似合いそうなものを探したあとで試着する必要があるって知ってるよね?」
    「知ってはいるが、実際にそのような時間をかけて買い物をした事が無い。私はお洒落とはそこそこ無縁な生を送ってきているからな」
    「……え~と、じゃあもしかして今日がゆっくり出かける初めての日?」
    「そういうことになる」

    初めてのお出かけ相手が自分になるとは。それなら尚更、こんな所で時間をつかっていないで呂布姫に清河郡の城下を満喫してもらいたい。清河卿は店主からこっそり出してもらった旗袍、それも横にある切れ目があまり短くないものを二点ほど選ぶなり試着室へと駆けこんだ。

    ◇ ◇ ◇

    「これで……どうかな……」

    ちゃっかり袖が長めの旗袍を選んだ清河卿だが、呂布姫にそれを咎められる事はなくてほっと胸を撫でおろす。そこで呂布姫の視線が自分の選んだ旗袍にずっと向いている事に気付いた清河卿は首を傾げたが、呂布姫はただぽつりと呟いた。

    「黒地に金の刺繡花か」
    「? あ、」

    色が地味な布地のものを選んでいたため本当に今の今まで気付かなかったが、清河卿が纏っている旗袍はまさしく普段の戦闘服を纏った呂布姫の姿に近い色をしている。おそらくこの場に星辰や銀屏がいれば先に揶揄いまじりの指摘をしてくれていただろうが、今日は二人で出かけているのでそんな事もない。

    「すごく呂布姫の色になっちゃった……!?」
    「貴女には存外、黒地の服も似合うものだ」
    「ありがとう……うーん、私が普段の呂布姫を格好良いって思っているのが無意識に出ちゃったのかな。照れちゃう」

    うーんうーん、と唸っている清河卿と対照的に、呂布姫は一瞬目を瞠ると何かに納得したように溜息を吐いた。

    「なるほど。こういうことか」
    「え、え?」
    「貴女の何気ない発言が恐ろしいと他の者に笑い混じりに言われた事を思い出して納得したところだ。何でもない」
    「恐ろしい??」

    そういうところだぞ、と少し困ったような呂布姫の手が伸びて来て、脇腹を両方からぐっと掴まれる。旗袍で身体の輪郭が浮き彫りになっているため同性相手でも恥ずかしいには恥ずかしいのだが、呂布姫は妙に真剣な顔で清河卿の腰を掴んでいるため視線のやり場に困ってしまうのも事実で。

    「呂布姫?」
    「細い」
    「え? いや呂布姫の体つきでそれ言う? 本気?」
    「私の体つきは鍛えられた末のものだ。貴女のそれは、どちらかといえば不健康的な細さだろう。もっと肉を付けなければやっていけないぞ」
    「ええ……???」
    「前、共に温泉に入った時から言おうと思っていた」

    戸惑うばかりの清河卿と、真面目な顔で肉を食べろと諭してくる呂布姫。結局その後は呂布姫の静かな圧と共に清河郡の肉料理屋を食べ回る事になり、清河卿は次から次へと口に肉を詰め込まれる事になったとか。

    「健康に過ごして、貴女には長生きしてもらわなければ困る」
    「呂布姫って結構、私のこと考えてくれるよね」
    「それはそうだ。貴女は私の、大切な仲間なのだから」


    「よりにもよってこんな、折角のお出かけを邪魔するなんて……!」

    いつものように手を帝剣へと伸ばしかけて、はっと我に返る。そうだ、今日は帝剣を置いてきているのだ。清河郡で争いが起こる事などあまりないが、まさか白昼堂々と天刑宗の残党がやって来るなんて。

    清河卿が歯痒そうに市民の避難指示を飛ばすだけ飛ばしている姿を横で見ていた呂布姫が……ふ、と口角を上げた。

    「そうか。こういう機会も中々ない」
    「え?」
    「剣を持たない貴女を、今日は私が守ろう」

    ──槍を置いて行くとは言ったが、それ以外の武器を持たないとは言っていない

    呂布姫は旗袍の切れ目に手を差し込むと、そこに隠していたのか、手に一つの短剣を握って不敵に笑った。

    「この服は戦いにくいことこの上ないが、天刑宗の下っ端ごときに遅れを取るような私ではない!」

    戦場と化した清河の大通りを、呂布姫が舞う。双槍を大きく振りかぶるのとは違う、俊敏さが映える戦闘。幼い頃から戦場に身を置いて来た呂布姫の強さの本質が垣間見えるような戦いの間、清河卿は大きく見開いた目にずっと紅白の彩りを宿していた。

    「……きれい、」

    戦う呂布姫は、うつくしい。
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    Replies from the creator

    みちとせ🍑

    DOODLEオリアカワンドロワンライ、開催ありがとうございます

    家園の歩練師さんの思い出で時間が進むごとに恋から愛に変わっていく感じがとても素敵だなと思ったのでそこらへんの雰囲気らくがきです

    オリアカの歩練師さんと孫権さん夫婦かわいくて好きなんですけど、あの、史実……二宮の変のことが頭を過ると陸遜の関連ダメージが入るのでかなり胃痛がします 史実って何?(知らないふり)
    あなただけにあなたの傍にいたいと、願った。

    ◇◇◇

    貴方に嫁いだ日の事を、よく覚えている。

    「後宮に入ったら、もうこのように臆病じゃだめだぞ」

    柔らかな声で諭してくれた貴方の顔が見られなくて俯いたままのわたくしを責める事も呆れる事もなく、ただ優しく頭を撫でてくれた貴方の手のぬくもりを。

    その瞬間はまるで時が止まってしまったかのようで、けれど、その永遠のような一瞬の静寂の中で──わたくしの心臓だけは、鼓動が貴方に聞こえてしまうのではないかというくらいに高鳴っていた。

    今思えばわたくしは、あの瞬間に恋をしたのだと思う。
    貴方を好きになることは──この世界のどんな事よりも当たり前に思えたのだ。

    ◇◇◇

    「今度の戦いには自ら顔を出すのですか?」
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    みちとせ🍑

    DONEオリアカワンドロワンライ「陸遜」の開催、ありがとうございます。

    陸遜が見た、ほんの少しだけ長くて、あっけない程に短い夢の話。

    熱が下がらず布団でワンライ参加したので誤字脱字が目立つかもしれません。
    ⇧の事情からちょっと前にスタートしたので1.5hくらいです。

    どうか陸遜が、他の誰でもない貴方がこの先、笑顔でいられますように。
    灼灼たる夢の先「……ん、陸遜」

    おーい、と呼びかけるような声。それから肩を軽く揺らされて、意識を引きずり上げるように瞼を開いた。ちかりと光に眩んで、幾度か瞬きを繰り返した先で二人分の影が目に入る。

    「っ、孫策殿、周瑜殿!?」
    「なんだ、やっと起きたな」
    「陸遜、休むのなら軒先ではなくせめて部屋に入りたまえ」
    「いえその、ああ……言い訳をさせてもらえませんか」

    身なりをささっと正して先ずは礼を。寝起きだろうがその身体に染みついた礼儀作法は消える筈もなく、ただ縁側に腰かけて柱に頭を預けていたせいか陸遜の冠は微かに頼りなく揺れていた。当人は後から気付くのだろうが、それを目の当たりにした周瑜はまだまだ若いなと笑みを零す。

    「別に言い訳なんかしなくていいぜ、この季節は縁側での昼寝が気持ちいいからな」
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