Ne sladkiy小さなショーウィンドウの中、僕は砂糖菓子でした。生まれたときから僕、あなたを模した、甘い作り物なのでした。
あなたも、きっと美しい砂糖菓子でした。けれど、あなたに可塑性があるかどうか、分からないままでした。だからいつだって僕、あなたそっくりになるように体を溶かしてきました。熱に浮かされたチョコレートみたいに。
僕たちずっと同じになれますね。いつまでも僕たち、綺麗でいたいな。綺麗なあなたが、大好きでした。
それなのに、いつからかあなたは砂に塗れてくるようになりました。食べ物である自覚はあるの?僕たちは芸術作品である前に、甘い菓子だって覚えて。
砂の中、眩く目を刺した光はいつだってあなたからの反射でした。だから僕にとって、あなたがどこで、何をしていたかなんて容易に分かることでした。
そうしていつも、あなたの形は変わり続けるのです。宝石にカットを施すように、彫像に鑢をかけるみたいに。僕はあなたでいたいから、だから不味い砂も飲み込みました。喉元を過ぎても主張し続ける砂を、なんとか冷まして送り込み続けました。
僕と唯一つだけ違うのは、透明であることでした。ただ綺麗なだけじゃない。ステンドグラスのように光を通して……その熱でさえ僕は溶けてしまいそうでした。腹の底の砂が鈍く光ります。僕はもう、あなたと違うのだと。反射光による熱と砂の温度の差で、僕は狂うように焼かれていくのでした。
いつかあなたの欠片を口にしたとき、これがあなたでないなら今すぐにでも吐き出してしまいそうなほど不味かったんです。きっとあの砂が混ざったからなんでしょう。だって僕たちは甘い砂糖菓子であるはずなんだから。やっぱり僕たち、ショーウィンドウの中にいなくちゃだめだったんだよ。でももう、僕もあなたも、砂まみれの甘くもなんともないただの置物になったのかな。僕がどれだけ砂を食んでも、たとえあなたの半分としたって、あなたはずっと透明なのでした。だからいつまでも、あなたは美しくいました。
「おまえ今日どうしたの、なんか変だよ……」
あなたは怯えた素振りでこちらを見ました。一切の温度を放棄したその目。本当に怖がっているはずもない、ただそうすると僕が甘くなると知っているだけの。
「きっと変になっちゃったんだよ、」
そんなあなたに無性に腹が立つ。僕を汚した喉を焼く砂を睨んで、原因に投げ捨てました。
「あなたはどうして綺麗なままなの。あなたと同じはずなのに、僕はすっかり汚れたんだよ」
アネモネを手折るように、僕はあなたの管を止めようとしました。限りなくやさしく、そう、今度は僕が砂糖菓子を作る側であるように。
硝子は混ぜものをしないときれいな透明にならないらしいよ。
いつか天使に言われたことを思い出しました。風に揺れる錦糸の頭を揺らして、あれは。あれは僕とあなたの関係も何も知らないはずなのに、なぜか見透かしたように口を突っ込んでくるのでした。だけどただの硝子になんて興味はなかったから、さっさと話を変えました。甘くもなんともないただの結晶に、なんの意味があって?
「だっておまえは、透明で綺麗なおれが好きなんでしょ。」
彼は最初から甘い砂糖菓子ではなかったんです。食べ物でないのに、どうして心配をしましょうか。
「だから、そういてあげてるの。」