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    kurono_666_aka

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    POIPOI 30

    kurono_666_aka

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    逆転if忘羨の小話。
    階③と④の間くらいの藍湛と兄上の話です。

    次の小話https://poipiku.com/5523475/10091070.html

    沢蕪君は「あにうえ」と呼ばれたい「忘機、無羨との仲は進展しそうかな?」
     思いがけない問いかけに、拱手の途中で藍忘機の動きが一瞬止まる。
    「……何のことですか、沢蕪君」
    「兄上と呼んでくれて構わないよ。実の兄弟だろう」
     小さく溜息をついて藍曦臣は柔和な微笑みを残念そうに曇らせた。
    「無羨も、小さい頃は義兄上あにうえ義兄上あにうえとたいへん可愛らしかったのだけど、いつの頃からかそう呼んでくれなくなってしまってね」
     おおかた他の門弟に苦言を呈されたのだろう。気にすることはないと告げても、周りに気を使いすぎる程使う彼は二度と自分を義兄あにとは呼ばなくなった。
    「まったく余計なことをする輩がいるものだ」
     そう思わないかい?と尋ねられても藍忘機は答えに窮するしかない。 
    「はぁ」
    (何が言いたいのだ、この人は)
     何を考えているのかさっぱり分からないのに、こちらの心の内は見透かしてくる実兄。兄だと言われても実感は湧かないが、魏無羨がひどく信頼を寄せているのは気に入らなかった。
     困惑する藍忘機の態度に気づかぬはずはないだろうに、構わず藍曦臣は言を継ぐ。
    「そこでだ、忘機。無羨の道侶にならないか?」
    「は?」
     文字通り開いた口が塞がらない。
     自分とよく似た顔がぽかんと間の抜けた様を晒すのを藍曦臣は微笑ましく見つめた。
    「君、そういう意味で無羨のことを好いているだろう?」
    「……」
    「君と道侶になれば無羨は名実共に私の義弟だ。私はあの子にまた義兄上と呼んで欲しいのだよ。もちろん君にも兄と呼んで欲しい」
     にこにこと柔らかな笑みを浮かべ、確信を持って藍曦臣は弟に手を差し伸べる。
    「君にその気があるなら全力で協力するよ」
     案の定、なんの躊躇いもなく藍忘機は差し出された兄の手を取り強く握った。
    「よろしくお願いします、兄上」

     こうして長いこと離ればなれだった兄弟の間に固い絆が結ばれたのだった。



     
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    sgm

    DONEアニ祖師13話の心の目で読み取った行間埋め曦澄。
    人間らしい感情への羨望。
     夷陵の町ですれ違った時に、藍曦臣はその青年が知己であることに最初気が付くことができなかった。
     それほどまでに自分の記憶の中の彼と、頭から深くかぶった外套の隙間から見えた彼とは違った。だがそれも無理もないことだろう。
     蓮花塢が温氏によって焼き討ちにあい、江宗主と虞夫人、蓮花塢にいた江氏の師弟は皆殺しにあった、という話は身を隠しながら姑蘇へと向かっている藍曦臣の耳にも入っていた。江公子と、その師兄である魏無羨はいまだ行方知れずだとも。故に、魏無羨が共におらず江澄が一人で歩いていることに、藍曦臣は少しばかり驚きながらも、人気のなくなったところで声をかけた。驚き振り向いた彼の瞳に光があることに安心する。
     自分の姿を見て驚く江澄と会話し、藍曦臣は当然のように彼を姑蘇に連れて行くことにした。
     当初、江澄は魏無羨が自分を待っているはずだ、探さなければと、藍曦臣との同行を拒否した。
     一人では危険だ。
     これから自分たちは姑蘇へと戻り他の世家と共に温氏討伐のために決起するつもりだ。そうすれば江澄がどこにいるか魏無羨にも聞こえ、あちらから連絡が来ることだろう。闇雲に探すよりも確実ではないか。
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