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    kurono_666_aka

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    kurono_666_aka

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    逆転if忘羨の小話。
    螺旋②の後の藍湛と兄上の話です。魏嬰が姑蘇で犬を見かけない理由について。

    前の小話
    https://poipiku.com/5523475/10090994.html

    沢蕪君は「あにうえ」と呼ばれたい②「兄上、金子軒の犬はどうなりました?」
    「今朝早くに金氏の門弟が金鱗台へと連れ帰ったよ。もう雲深不知処にはいないから心配ないと無羨に伝えてくれるかな」
     平静を装った弟の声にどこか喜色が滲んでいることに気づいて、藍曦臣は微かに笑む。
     魏無羨との仲が進展したのだろうか。
     だが尋ねたところで、この弟は内心を吐露してはくれないだろう。彼の中では自分はまだ共通の目的のための協力者だ。
     それでも「兄」と呼んでくれるのだから、今はそれで良い。

    (忘機、いつかお前にも無邪気に頼ってもらえるように私は頑張るよ)

     密かに決意を新たにする兄の胸中に気づくこともなく、藍忘機は「そういえば」と言を継いだ。
    「何度か彩衣鎮を訪れましたが、あの町は野犬こそいないものの犬を飼っている家は多いように見受けられました。魏嬰は大丈夫なのですか?」
    「そのことなら心配ない。彩衣鎮に限らず、無羨が町に出かけるときは事前に私が各家を訪ねて、あの子が町にいる間はなるべく犬を屋外に出さないでほしいとお願いしてるからね」
     投げかけられた問いに藍曦臣が朗らかに答えると、兄より幾分色素の薄い藍忘機の瞳がわずかに見開かれた。
    「沢蕪君自ら、ですか……?」
    「無理なお願いをするのだから、礼を尽くすのは当然だろう。さすがに姑蘇の外までは難しいけれど」

     犬の件を本人に確認したことはなかったが、念の為講じていた措置は間違っていなかったようだ。
     藍氏の領域内なら、魏無羨が犬に遭遇する確率は限りなく低い。確証を得たからには今後はさらに徹底しなければ。

    「ただお前も見た通り、最近は犬を飼う家がさらに増えていてね。特に若い娘さんの間で人気らしいのだけれど。このままでは無羨が町に行くときは、家から誰も出られなくなってしまうかもしれない」
     ふぅ、と小さな溜息とともに懸念を零す実兄を、藍忘機は眼を瞬かせて見つめる。

    (それは貴方のせいでは……)

     しかし年頃の女性が犬とともに屋内に留まってくれるのならむしろ好都合と、藍忘機は胸に浮かんだ答えを飲み込むことにした。





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    tuduri_mdzzzs

    DONE※シブに魏嬰の分と結をまとめてUP済。
    このあとは結書く。
    実は龍の化身である藍忘機の話藍湛視点


     藍忘機は緊張していた。何故なら魏無羨と恋仲になれたのはいいが、絶対に受け入れてもらわねばならない大きな秘密があったからだ。思いが通じ合ったのは天にも昇る心地であったが、これから明かさねばならない秘密が、藍忘機の心を深く沈めていた。

     藍忘機は龍の化身である。

     いや正確に言うならば龍神の使いなのである。藍氏本家直系は龍神の使いとして代々、人の身と龍の身、この二つの身を持っているのである。

     しかしそれを知るものは直系の人間とその伴侶以外いない。

     外弟子は当然ながら、内弟子でも知らぬことだ。しかし逆に伴侶は知らねばならない。知って、この事実を受け入れなければならない。何故ならば直系の子との間に子を産めば、それは龍の身となって産まれてくるからだ。大抵の者は自らの産んだ子を見て発狂する。母が二人も産めたのは今にして思えば奇跡だと、否、二人目までは大丈夫な者も多いのだそう。次こそはと願いその希望が叶わなかった時、ぽきりと心が折れてしまうと、いつだったか聞いた。それでも愛しまぐわうならば知らねばならない。龍の精を受け入れれば、男女に関係なく孕んでしまうのだから。
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