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    とばりしゃす

    @TobariTwst
    文字の墓場。

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    とばりしゃす

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    フロ監♂
    まだ、付き合っていない未来捏造フロ監♂。
    書きたいとこだけ書いてます。

    まだつきあってないんですってね。 まさか卒業後もこの世界で過ごす事になるとは、思いもしなかった。本当は夢でした──ぐらいの軽いノリで元の世界に帰れると思ってた。
     不思議なことがたくさん起きて、学園の『そんぼー』だとか、『なんたら』の危機だとかトラブルに巻き込まれ、命が何個あっても足りない事件に両足どっぷりはまっていた日々は──二度と戻ってくるな。そんな日はまったく懐かしくもなんともない。今この平穏は永遠に続けばいい。
     浅いため息をついた監督生──今はその肩書きもないただ雑用係だが──ユウは箒の先に顎を置き、上向きに空を見上げた。
     そんな時呑気な電子音がした。今度は深いため息をつき、ズボンの後ろポケットに入れてあるスマホを手に取る。届いたメッセージを確認すると、ユウの表情が変わっていった。

     そこは学園の外にある喫茶店だった。この世間とは切り離されたような島の店には、ユウ以外の客はいない。カウンターテーブルとテーブル席が四つほどあるこじんまりとた店内。アンティーク調の内装は統一感があった。壁に飾られた古びた黄金色が剥がれ落ちている額縁に飾られた絵画。緩やかなオルゴール音楽が流れた店内に、焦げたコーヒー豆の香りが心地よい。
     ユウは一番奥のテーブル席に一人座っていた。二人掛けの焦茶色をした四角いテーブルはところどころ塗装が剥がれている。その上にまだ口をつけていないコーヒーがある。すでにぬるいコーヒーに表情をなくしたユウの顔が写っていた。かれこれ十五分ほど同じ体勢で黒いその水面を睨んでいるのだが、実のところ、ひどく緊張している。もう喉はカラカラで、胃に不調をきたすほどだ。
     同時に期待しているのも確かだった。
     久しぶりに彼に会える。
     会ったら、何を話そうか。グリムのやらかした話をしようか。それともオクタヴィネル寮生の話。それとも──いや、そんな話をして何が楽しいというのだ。首を横に振る。
     不意にオルゴール音楽をかきけしドアベルが鳴る。するとユウの肩は驚きで上がった。そして、出入り口の方を見る。喫茶店に入ってきたのは明るい髪色をした背の高い男だ。
     仕立てのいいスーツを身にまとい、まともな職についているように見えない男は垂れた目をしている。気だるげに店内を見渡し、ユウを見つけると顔を色を明るくさせた。

     男はフロイド・リーチ。ユウの一つ年上で人のなりをしているがその実『人魚』である。そして、ナイトレイブンカレッジの卒業生だ。同級生であり腐れ縁の友人、そして双子の片割れとともに起業し、忙しい毎日を送っている。
     店内はバックグラウンドミュージックのみ。それ以外はコーヒーを淹れる音がわすがにするだけだった。
     ユウはフロイドとコーヒーを見比べながら、時々窓の外を見た。つまるところ、目のやり場に困っている。足を広げだらしなく椅子に座っているフロイドは何を考えているのかまるで分からない。長い指がとんとんとテーブルを叩く。
     何がいけなかっただろう。
     最初は機嫌が良かった。だが、話をしているうちに顔色が変わっていった。たしか、オクタヴィネル寮の新しい寮長の話や新しい教師が赴任したとか、変わりばえしない話をしていたはずだ。
    「あのさ、別にオレそんなこと聞きたいわけじゃねぇんだけど」
     一段と低い声。確かになんの面白みもない会話だった。だからといってそんなに不機嫌になることもないと思うが。
    「じゃあ、言うけどさ、」
     テーブルを叩くのを止める。
    「オレだってこの間、美人なお姉さんに声掛けらたもんね。連絡先も教えてくれたし。今度店にも来るってさ」
     得意げな見下す視線を受けながら、ユウは瞬きを繰り返す。そして、瞬きの回数だけ頭の芯が冷えていった。
    「──は、はあ、」
    「どうしようかな。オレ、モテるし。ああ、小エビちゃんはそんなふうに声かけられたことないから、よく分からないか」
     ふと笑う唇が薄くなる。その顔は腹が立つほど整っていた。
     なぜそんな話をわざわざするんだ。モテる事を自慢しようと言うのか。それこそ興味ない。むしろこっちこそ、そんな事聞きたいわけじゃない。
     ユウはぐっと込上げる何かを拳をつくる事で和らげようとした。
    「……それは、それはよかったですね。でもフロイド先輩は飽きっぽいし……だらしないから──ちゃんとしないと、すぐにお姉さんにも捨てられちゃいますね」
     だが口からは嫌味がすらすらと流れ出す。
    「──あ?」
     目の下にシワができるまでの予備動作はなかった。それでなくとも見下ろされている圧力はとんでもない破壊力があるというのに。
     せっかく久しぶりに会えたのに──すぐにころころと変わる機嫌に振り回された挙句これだ。ひきつりそうになる口元を何とか締め言葉を続ける。
    「……ちなみに俺だって。この間、告白されましたよ」
    「?」
     低いドスの利いた声が腹の底に響く。フロイドがテーブルへ身を乗りだし、ユウは身を引いた。まさかの反応に背中に汗が流れる。そして、何より近くなった顔との距離に気づき、さらに汗が吹き出しそうだ。
     ふたりしてフリーズする。しばらく沈黙の中、顔を突き合わせていた。不意にフロイドがゆっくりと椅子へ戻っていき、椅子の軋む音がする。フロイドはだらしなく背にもたれ、手を口元にあてた。
    「……まさか、それ、」
     視線がよろよろと逸らされ、続いて顔まで横を向いてしまう。そして弱々しく視線だけが戻ってくる。
    「それ……なんて、答えたの?」
    「……え、」
    「だから!」
     ばん、と大きな手がテーブルを叩く。
    「なんて、答えたのかって、聞いてんだよ!」
     その迫力が肌にまでぴりつかせる。
    「──は、」
     店内に緊張感が走った。その後は重苦しい空気が天井から落ちてくる。フロイドは動揺を隠せず口元を触ったり、後ろ髪をかいたり落ち着きがない。ユウはきょとんとするしかなかった。
     その間にも「あ、」とか「う、」とか「これは、違うくて」と聞いてもいない言い訳するフロイドを見ていると、圧力がふっと消えていく。
     先程までの苛立ちすら、どうでも良くなってくる。なんならアタフタするフロイドを可愛いだなんて思ったりすると──笑いが込み上げてきた。笑ってはいけない。そう思えば思うほど、口元がひくついてくる。
     首の後ろに手を置いてフロイドは俯いてしまった。スーツを着こなす大の男が肩を項垂れさせ小さくなっている。
     ダメだ──もう。押さえきられない。
    「──っふ、」
     それでも堪えようとして、奥歯を噛む。だが、く、く、と肩が揺れてしまう。それを隠そうと俯き、横をむく。
    「な、え──小エビちゃん、」
     泣いていると勘違いしたフロイドが不安げな声を上げた。
     その途端、吹き出していた。
    「ふっ、ふふふ、っ、す、すみません、」
     片手をフロイドに向けて、大丈夫とジェスチャーする。
    「は? え? なに笑って──、」
    「いや、ふふ、ほんと、すみません。んっふふ、なんだろこれはって思ったら笑えてきて、」
    「──は……、」
    「……断りましたよ、告白は。コクられたのだって男性でしたし、ふっ、ふふふ、」
     一度笑い出すと止まらない。
    「はあ? 何それ、ほんと、小エビちゃんって」
     男に好かれんね──と小さな声で言う。
    「はあ、ほんと──、おかしいでしょ、」
    「……つーか、笑いすぎじゃね」
     笑いすぎて目じりにたまる涙を指の背で拭う。
    ふと視線を向けたフロイドをみて、ユウは固まった。そこには思ってもいない表情のフロイドがいる。目を細め柔らかい表情。
     まるでそれは──。
     色違いの瞳と目が合う。さっきまでの簡単に人を殺せそうな目とは正反対だ。
     笑いも吹き飛んで、フロイドに魅入っていた。
     人魚はこうやって人を魅了するのか──そんなことをぼんやりと考えていた。
    「なに、今度はオレの顔になんかついてんの?」
     変な小エビちゃん──ふいと横を向いてしまった。口先をとがらせ、顎に手を置き頬杖する姿も様になる。困ったな。ほんと。ずっと前からこの目の前にいる人魚に魅了されていたのだが。それを伝えるのはまだ出来そうにない、ようだ。
     ユウは伏せ目がちに冷たくなっているだろうコーヒーの水面を見た。弱々しく口元を緩め、感情を持て余すヘタレた自分が写っている。
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    とばりしゃす

    TRAININGフロ監♂
    フロ→→→監♂でフロさんが鼻血だしたりぼっ〇するお話。少し下品かもしれません。妄想と捏造しかありません。誤字脱字に慈悲を。気づいたら修正します。2021.10.04誤字修正
    アイスとキミとあれとそれ 空調設備が壊れたらしく、学園の中は熱砂の国に変わり果てていた。そんな日の昼休み。サムの店には涼しむための品物を買い求める生徒でいっぱいだった。
     その中にフロイドの姿もある。ふらふらと店内を進み、あふれる生徒らの間を縫って冷凍庫の前まで向かう。微かに冷気が感じるが、体から熱をとりのぞけるほどではない。
     それはアイスを陳列する冷凍庫だった。中身がすぐ分かるようにガラス張りになっている。
     フロイドは選ぶというよりも、手を伸ばすところにあるアイスを手にとった。自分のものと兄弟のもの、そしてもうひとつ。
     店内はそう広いわけではない。しかしこうも人が多いと、レジまで行くのも一苦労だ。フロイドはとこ奥を見るような目をする。目の下にわずかなしわがいった。他の生徒らより体が大きい分──と、いうよりは不機嫌なフロイド・リーチとかかわるなかれという不文律のため、生徒らはフロイドの纏う空気を察知すると道を譲るのだ。そうしてできた、いわば不機嫌ロードを何食わぬ顔で進む。
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