さよならを教えないでそれは遠い、遠い過去の記憶
忘れていた、忘れかけていた、忘れようとした記憶
ぼんやりと曖昧でまどろっこしい記憶
暖かい様な、肌寒い様な、手の届かない、記憶
金色の麦畑の中で微睡むとその記憶が形を帯びて自分の心を包み込んで溶け込んで行く感覚
心地がいいのに飲まれるのが怖い感覚
思い出して認識すると壊れてしまいそうになる感覚
1人を自覚してしまう記憶と感覚
恐ろしくて頭を振って現実に戻る
そうだったのに
その記憶を、母に頭を撫でられて、数少ない手作りの食べ物を一緒に食べた曖昧な優しい記憶を
思い出してしまう程の、神聖な存在
「ネロ」
名前を呼ばれて顔を上げればその神聖な存在に頭を撫でられて抱きしめられる
「泣いてるの?」
頬を伝う雫は悲しいからではなくて
忘れていた何かが満たされていく感覚への、涙。
手放してきた、得られなかった、それらを与えられる今へ
さよならを教えないで
もう、さよならを知りたく無いから
解説
さよならを教えてと言うエロゲに多大に感化されて書きました。
精神衛生に良くないゲームだからメンタルがいい時に見てください。