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    saku_hpyuri

    hpyuのなにか

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    saku_hpyuri

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    孤独を愛する彼女と帰る場所の書き下ろし部分一部抜粋
    こんな感じにややオカルト?テイスト入ります。

    どこんっ!

     “それ”は、突如として地上へ振り落ちた。誰もが興味を持ち、誰もが関心を持った。人の手ほどの大きさをした“それ”は真っ黒い塊としてガラル地方のとある場所に落下した。
     それがなにか、この場にいる誰も知らなかった。ただただ、好奇心に駆られてしまい“それ”が落ちた場所に人々は集まる。
     ふと、人々は口を開く。
    『これはなんだろう』
    『隕石だろうか』
    『ずいぶんと小さいな』
    『ポケモンの隕石かな』
     口々に声を上げ、各々好き勝手な感想を述べる。
     そうして、誰かが言った。

    『触ってみよう』

     一人の若者が好奇心に駆られ、落下した“それ”に触れた。なんともない、ただの石にしか見えない“それ”は触れた途端、ぴきっと歪な音を響かせた。割れ目がめきめきと嫌な音をたてながらその場に木霊する。
     そして聞こえたのは、絶叫。

    『――――――――――――――――――ッ!』

     地上を振るわせる絶叫がその場に振り落ちる。
     鼓膜が振るえ、立っていることすらできない。
     絶叫を発しているのは若者ではない。歪な悲鳴を響かせながら、隕石と思われた“それ”が地鳴りを轟かせる。地面が揺れ、地割れが起こり、人々は口々に悲鳴を上げた。劈かれた悲鳴は、もはや誰のものかわからない。
     人々と共にいたポケモンたちも各々悲鳴を上げたり、威嚇めいたものを発している。
     
     その場には絶叫、絶叫、絶叫。

     鼓膜を破きかねない、けたたましいまでの絶叫に地面は唸りを上げ、大地を震わせる。劈く絶叫は、いつしか人々の悲鳴と共鳴し、より強固なものへと変貌した。
     めまいを訴えるもの、あまりの爆音に耳がイかれ立っていられなくなったもの、ただただ大地に身を竦ませ怯えるもの。

     そうして誰もが本能的に悟った。

    『これは危険だ。殺される』

     そう感じた矢先、ふいに頭上が翳った気がして、見上げると太陽を背に受け止めている不可思議な“もの”が空を飛んでいる。ゆらり。生まれた影は空を覆い隠すほどの巨体な体躯を揺らしている。
     骨組のような体躯、大きく広げられた翼らしき部分は隙間から光が漏れ出し、神秘さとグロテクスさを兼ねている。眼を見張って“それ”を見遣った。
     確認されているポケモンの中でも“それ”は一際大きかった。否、あんなポケモン、見たことがない。
     頭上にいる“それ”は口らしき部分を広げ、唸りを上げる。バーガンディに近い色味の骨格が不気味に上空を飛行し、地上にいる人々をねめつけるように見下ろす。瞳孔が入っているであろう場所はがらんどうの虚空だ。虚無を飾った眼はただただ唸りを上げ、人々を見下ろす。
     見下ろすがらんどうの虚空はなにもいわず、なにもしてこない。

     見下ろすその眼にあったのは、“無”
     感情などない、“無”がそこにはあった。

     そうして唸りは咆哮に変わった。

     一瞬にして大地は緑から赤へと色を変えた。
     人々やポケモンがいたであろう場所はなにもない。


     “それ”は、一瞬にしてすべてを薙ぎ払ったのだ。
     あとに残ったのは、すべてが“無”に還っただけの荒れた大地だけだった。
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    saku_hpyuri

    MAIKING孤独を愛する彼女と帰る場所の書き下ろし部分一部抜粋
    こんな感じにややオカルト?テイスト入ります。
    どこんっ!

     “それ”は、突如として地上へ振り落ちた。誰もが興味を持ち、誰もが関心を持った。人の手ほどの大きさをした“それ”は真っ黒い塊としてガラル地方のとある場所に落下した。
     それがなにか、この場にいる誰も知らなかった。ただただ、好奇心に駆られてしまい“それ”が落ちた場所に人々は集まる。
     ふと、人々は口を開く。
    『これはなんだろう』
    『隕石だろうか』
    『ずいぶんと小さいな』
    『ポケモンの隕石かな』
     口々に声を上げ、各々好き勝手な感想を述べる。
     そうして、誰かが言った。

    『触ってみよう』

     一人の若者が好奇心に駆られ、落下した“それ”に触れた。なんともない、ただの石にしか見えない“それ”は触れた途端、ぴきっと歪な音を響かせた。割れ目がめきめきと嫌な音をたてながらその場に木霊する。
     そして聞こえたのは、絶叫。

    『――――――――――――――――――ッ!』

     地上を振るわせる絶叫がその場に振り落ちる。
     鼓膜が振るえ、立っていることすらできない。
     絶叫を発しているのは若者ではない。歪な悲鳴を響かせながら、隕石と思われた“それ”が地鳴りを轟かせる。地面が揺れ、地割れが起 1299