始末屋×運び屋2狭い路地裏で所狭しと電気関係のパーツを売買している。それがこの場所におけるかつての様相。今はやたらと露出の高い服装に身を包んだ現実には存在しないであろう美男美女の絵で埋め尽くされた看板がビルの合間から顔を覗かせ行き交う人は足を止めてスマホを構える光景が散見。
「……」
呆然と立ち尽くしながら何故…と呆れに嘆息が漏れるがいけない…とかぶりを振りスマホのメールから目的を再確認する。そう遠くは無い距離だが何せ縁のない土地だ。土地勘がない以上頼りになるのは右手にある型落ちして画面にもヒビが入っている相棒だけなのだから。
甘い声で客を引くキャッチを躱しながら足を進めるも観光客も多く中々距離は稼げない。しまいには見知らぬ観光客に勝手に写真を取られる始末。どうやらキャラが何とか言っていたので誰ぞ似た架空の人物でもいたのだろうなと嘆息。しかし盗撮はいただけない。申し訳なかったが通り過ぎるフリをしてカメラごと斬らせてもらった。目にも止まらぬ速さで一閃、こうしてそれなりに高そうな一眼レフのカメラは見事真っ二つに切れてガシャンと道路へ転がり落ちた。更なる不幸はそのまま車のタイヤに轢かれて粉々になったことだろうか。
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