キャンディポップの憂鬱思い立ったら吉日。
ひゅうっと頬を撫でる風は凍てつくようなものではなく寧ろ心地よい。古い民家の縁側で何となく座り込んでボーッとしていたらいつの間にか夜になってしまった。
シュミレーターで選定したのは日本のとある田舎町。田んぼはあっても高速道路はあるし鉄道だって敷かれている。余人が想像する地方都市をもう少しランクダウンしたような中途半端なそこは立香からすれば郷愁に身を委ねたくなるような雰囲気に満ちていた。
マスターに暇などない、というのは少し語弊がある。休みはローテで組まれているし有事でなければそれなりに融通は効く。有給というと社会的過ぎるが似たようなもので唐突に時間が欲しいと進言してみたらあれよあれよと通ってしまった。これ幸いと与えられた余暇でやりたい事をしようと今ここにいるのだ。
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